授業詳細

CLASS


トマトから学ぶ、農業のこと・食のこと。

開催日時:2013年06月15日(土) 14時00分 ~ 15時30分

教室:石原農園第1圃場

レポートUP

先生: 石原 雅大 / トマト農家

カテゴリ:【食】

定 員 :9人

※授業料として1,000円(トマト狩り代金込み)頂戴いたします。
※授業当日は、13時30分に名鉄 佐屋駅に集合し、スタッフの車で現地まで移動します。
教室へ直接おこしにならないようお願い致します。
今回の授業は、名古屋から少しだけ遠出して、
愛西市にあるトマトやミニトマトを作っている石原農園さんのトマトハウスで開催します。

父の代からトマト農家だった石原さんは、
「褒められたい」という思いで、自らミニトマトの栽培を始めました。
大玉トマトと同じように栽培しても、味が良く、
小さいので目の前で食べてもらって「おいしい!」って言ってもらえることが、とても興奮するそう(笑)

そんな石原さんのこだわりの「カラフルトマト」や「空飛ぶアイコ」は、食べたらやみつきになると好評で、
若者に人気の飲食店でも使われています。

「空飛ぶアイコ」は、その名のとおり頭上に実る珍しい栽培形式で作られていて、
石原さん曰く、そうする事によって「トマトの味が格段に上がる」うえに、
この設備に変更する時のコストがそれほどかからなかったそう。農業という仕事は、
私たちがイメージする以上にクリエイティブな仕事なのかもしれませんね。

石原さんの作ったとれたてのミニトマトを食べながら、
「農家さんの生活スタイルって?」
「ミニトマトをつくる上で、気をつけていることは?」
「ミニトマトの美味しい食べ方は?」
など、みんなで農業、トマト談義に花を咲かせませんか?


13:30 受付開始(佐屋駅集合)
13:45 スタッフの車で農園へ移動
14:00 授業開始、ガイダンス、自己紹介
14:10 石原さんの仕事のこと、農業のことを教えてください。
14:30 農園見学・トマト狩り
    (とれたてのトマトをいただけます!)
14:50 トマトのことをもっと詳しく教えてください。
15:10 感想シェア、アンケート・写真撮影
15:30 授業終了(車で駅まで移動します)

(授業コーディネーター:大野 嵩明)
6月15日、梅雨入りしたのにちっとも雨が降らなくて・・やっと名古屋にも恵みの雨でしたね。そんなこの日、大ナゴヤ大学は名古屋を飛びだして愛西市にあるトマト農家さんを訪れました。
生徒さん達はワクワクしながら第一歩をビニールハウスへ踏み入れました。
入り口でふと頭上を見上げると緑の葉っぱが絨毯の様に天井に生い茂っています。
・・・そして、たくさんのプチトマトが浮いていて。頭の上にトマト??

石原さんは農業を始めて10年のトマト農家さん。趣味は山登り・カメラ・ハードロック。
「トマト作りは楽しみの一つです。仕事と割り切れません」とおっしゃいます。
農業を始めて1、2年は毎日同じ仕事。普通の大きさのトマトを箱詰めして市場に出荷して・・仕事の充実感はあったが何か違うと漠然と思うようになった。それは「人と会ってない。」こと。そんな時、研修先で数本のミニトマトの苗をもらった。ミニトマトが収穫出来たので友達に配ったところ
「これ・・・めちゃくちゃうまいな」
友達の真っ直ぐな飾らない言葉がとても嬉しかった。
「トマトを食べる人の顔が見える喜び」これだ!
石原さんはその時、市場にトマトを出荷するだけではなく、皆に来てもらえるような農園にしようと決意しました。
「(友達が旨いと言ってくれたから)裸の王様でもいいと思いました」
この数本の苗を育てたことがきっかけで、石原さんのミニトマト作りがスタートしました。

「では皆さんで散歩がてら回りましょう」と石原さんの言葉について、生徒さんたちはトマト畑を歩きながら観察。(その様子は写真でご覧くださいね。)
現在では石原農園のトマト6000~7000本のうち7割が大きいトマト、3割がミニトマト。またトマトの色なのですが、本当にカラフルなんですよ。
「キャロルセブン」赤色
「グリーンゼブラ」その名の通りグリーンの縞々
「イエローミミー」黄色
「オレンジキャロル」オレンジ
「ピッコラカナリア」オレンジ
「リコピナブラック」濃い紫
そして冒頭に書きました頭上のトマト。その名も『空飛ぶアイコ』
アイコは8年前開発された人気の品種。皇太子殿下の愛娘、愛子様にちなんでつけられました。縦長で形はロケットのような、可愛らしい赤いプチトマト。
苗を普通は地面に対して垂直に植えるのですが( 天井まで届かない高さに調整する。)
石原さんは茎をまげてさらに成長させました。もともとトマトはぐんぐん育つ植物だそうです。茎が曲がっているとトマトは危機感を覚えまた伸びようとする。葉も生い茂り陽の辺りが均等になると、養分が行き渡りトマトもより糖度を増すのです。
「僕が飛ばせたんで・・・単純だけど分かりやすいかなとそのままの名前、うちのアイコは『空飛ぶアイコ』になりましたと石原さん。

その次は普通のプチトマト畑を回りながら石原先生はトマト作りについて説明してくださいました。
うちは水耕栽培。トマトの苗の下を肥料を混ぜた水が流れています。(なるほど苗の下の部分にはシルバーのシートがかぶせてあります。) 水に空気を混ぜて根が酸欠しないようにすると茎がよく伸びるのです。そして土での栽培と大きく違う点は、土という物質がないので根が土にぶつかって止まったりしない、混毛がなくトマトがよく育つ・・その結果太陽さえあれば、土で育てるより1.5倍育つし、収穫量も1.5倍になるそうなのです。

「何か質問はありますか?」の先生の問いに
「一本の茎から何個のトマトが育ちますか?」と聞かれた生徒さんがありました。
「大きいトマトの苗一本だと約100個ですね」と先生。

石原農園ではトマトの収穫期は8月に植えて10月~6月が収穫期。つまりほぼ一年中とれる。いつでも食べられるのです。水耕栽培は、管理がしやすい、水と肥料と均等に流れているから、良くいうとみずみずしいトマトになる、悪くいうと水っぽくなる・・ただしこれをもともと甘くておいしいキャロルセブンやアイコという品種を植えることでカバーし、さらに美味しいといってもらえるようなトマト作りを目指しているそう。

「ではキャロルセブン、食べてみてください」と石原先生。
トマトの上手なもぎ方、そしてその苗の中で一番おいしい場所にあるトマトの見分け方を聞きながら試食タイムです。そしてその次は「空飛ぶアイコ」をパクリ。
どれにしようかな?と見上げる生徒さんたちはとても楽しそう♪
すぐに「おいしい~」って声がたくさん聞こえてきましたよ。

そして、ここからはトマトを育てるにあたっての先生の想いを聞くことに。
「農業って大変だろうな。せっかく育てても実らないと、商売にならないだろうし」・・・わたしたち素人でも想像したりすることなのですが・・
石原先生はまず率直な気持ちをおっしゃいました。
「これおいしいですね。無農薬ですか?有機栽培ですか?と聞かれるのが嫌です。」
「僕は農薬を月に一回撒いてます。水耕栽培は水が腐敗すると育てられないからです。
農薬を撒くのは満月の夜の前後で虫が産卵する時期を見計らって行います。一本一本に撒くので時間は2時間かかります。それに農薬は夜までに乾かさないといけない・・僕は正直言って農薬を使うのは面倒なことだと思います。」
そう言った上で石原先生は厳しい目で、でも丁寧に・・農薬について思うことを述べてくださいました。
「僕は、社会が敏感になり過ぎていると思います。人間だって熱を出せは風邪薬を飲む。たとえ小さな副作用があっても必要と思って飲む。農薬も植物にとっては事前に病気を治す薬だと思うんです。
石原さんが追及する農業の形、石原さんが選んだ水耕栽培。コスト面、安全面を得た上で追及する美味しさ・・・石原さんは熱く語られました。現場ならではの、飾り事なしの言葉です。
また石原さんが水耕栽培のコストについて話されたのですがきっぱりと
「重油代はかかります。でも昔よりはかからない。重油代の問題は最初から厳しかった。僕は厳しいことを、マイナスを(最初から)考えない、それよりも何とかここから利益を出そうとイメージします。」
・・石原さんは常に前を向く熱い方だなと私は思いました。農薬の事も、トマトをいかに美味しくするか、そして順当な利益を得るために一番自分が納得する形でトマトを作っているんだなと感じました。
有機栽培、無農薬そして農薬を使うこと、賛否両論あると思います。しかし農薬のことをこんなに間近に一般消費者が聞けることなんてないなと思いましたし、しっかり生徒さんたちは熱心に聞いておられました。

「いやー真剣に喋りすぎちゃったかな?」と言って石原さんはにこっと笑うと
只今試作過程のトマトジュースを生徒さんに振る舞ってくださいました。最初の試作品だからちょっと焦がしちゃったみたい・・と言いつつも皆が笑顔になるのを見ながら
「これ、ぜったい作ろうと思うんです」と石原さん。トマトジュースは濃厚でとても美味しかったです。石原さんの目は時に真剣で、時にキラキラしていました。これが生産者さんの顔なんだなと私は思いました。

最後に生徒さんの感想をみんなでシェアしました。
「常識が覆されました」
「初めて生産現場を見て楽しかったです。明日からもトマトを美味しく頂きます。」
「ミニトマト、実はあんまり好きじゃなかった。でも今日のお話は感動しました」
「石原さんと私は歳が同じ。同年代がこんなに頑張っているかと思うと考えさせられました。」
「やっぱりトマトってかわいいなーと思います。」
「トマトはサラダの花だと思ってた。でもこれからは見る目が変わりました。」
「石原さんが散歩がてら農園を廻りましょう・・・と言われた時、今日は来てよかったなと思いました・・・ご馳走さまでした」
生徒さんの言葉「ご馳走様でした」には皆の笑顔がこぼれました。

そういえば、授業前スタッフが訪れた時にトマト狩りをしているご家族がいらしたのですが、「おいしいわぁ」って声がよく聞こえてきました。子供たちの声が農園に響いていました。
「これめちゃくちゃうまいな」という友達の言葉をきっかけに始めたミニトマト作りが、今は美味しいトマトを求めて「人が集う場所」にもうなっているのですね。
今回の授業ではただトマトを試食したり、楽しく見学するだけではなく、農家さんの生の声を聞き、「農業の現場」をまざまざと見られた気がします。
生徒さんの最初の30秒自己紹介で、トマト色の服を着てきて下さった方、トマトが大好きだから来てくださった方、毎朝欠かさず365日トマトを食される方などいらしたのですが
みんなトマトが好きな方ばかり・・
「トマトから学ぶ」授業を楽しんで、また考えて頂けたのではないでしょうか。

トマトって世界で一番愛されている野菜なんですって。
私たちがこれからもたくさんおいしく食べられるよう
トマトを一生懸命作ってくださる石原さんたち、農家の方がいらっしゃいます。

空飛ぶアイコ」いい名前だな。
本当に空を飛んでます。とても美味しかったです。



(レポート:ボランティアスタッフ 松田直子
 写真:ボランティアスタッフ 小林 優太)

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

石原 雅大 / トマト農家

愛知県愛西市で桃太郎トマトをメインに、おいしいミニトマト、空飛ぶアイコ、カラフルトマトを作っている、フツウのトマト農家です。
ホームページ:http://ishiharafarm.jimdo.com/about-farm/
facebookページ:https://www.facebook.com/ishiharanouen?fref=ts

今回の教室

石原農園第1圃場

住所:〒496-0909
愛知県愛西市落合町中通13

授業当日は、佐屋駅に集合し、スタッフの車で現地まで移動します。
※名古屋駅方面より名鉄でお越しの方
名古屋駅(12:50)⇒佐屋(13:22)<名古屋本線準急 佐屋行>
名古屋駅(12:56)⇒須ケ口(13:08)<弥富行きへ乗換>⇒佐屋(13:30)