授業詳細

CLASS


SAKAE CAMP

開催日時:2013年10月12日(土) 14時00分 ~ 2013年10月13日(日) 7時00分

教室:名古屋テレビ塔

レポートUP

先生: 吉田博 / 名古屋市消防局防災部防災企画課防災企画係長
大西和博 / 名古屋市環境局事業部作業課 主事

カテゴリ:【くらし/公園】

定 員 :25人

※参加費:2,000円
※寝袋はお持ち帰りいただけます。(費用込)
※テントは二名で使用していただきます。
※参加にあたって、参加同意書に当日ご署名をお願いいたします。
通勤で、買い物で、デートで… 栄にいる時、大きな災害が発生しました。

どこにどんな危険があって、どうやって自分の身を守るのか?
皆さん正しい行動をする事ができるでしょうか!?

「自分が被災したら」

普段ぼんやり考えていても、具体的にはよくわからない。
結局体験しないとイメージできない。
そういったプログラムに参加するのも敷居が高そう。
多くの人がこんな風に感じているのではないでしょうか。

そんな皆さま、お待たせしました!
サカエのシンボル、名古屋テレビ塔の下で実際に泊まってしまおうというこの授業、
【SAKAE CAMP】の登場です!

「マチにはどんな危険があるの?」
昼間と夜の2回、街を歩いて自分の目で見て確かめましょう。

「災害のための設備、どこにどんなものがあるの?」

ぼくたちが知らなかった、まちにある災害対策を詳しく先生に教えてもらいましょう。

「避難所で過ごすってどんな感じ?」
テントと寝袋でちゃんと眠れる?非常食だけで足りる?
テレビ塔の下で、一晩体験してみましょう。

緊急時に初めて出会った人同士、どうしたらみんなで気持ちよく過ごせるのか?
避難所は、誰もがお客さんではありません。避難所運営も一緒に体験してみましょう。

2度と開催出来ないかもしれないこのSAKAE CAMP!
一緒に避難所体験をして、気付きや学びをシェアしちゃいましょう!

※本授業は「ボウサイをデザインする。非常食定期宅配サービスyamory」とのコラボ授業となります。
◎yamory 公式WEBサイト
http://www.yamory.com

■yamory facebook ページ
https://www.facebook.com/hijoushoku.yamory

■協力

株式会社ロゴスコーポレーション

<1日目>
14:00受付開始
14:30オリエンテーション/自己紹介
15:30街歩き1
16:45【授業1】街の危険について
17:45【授業2】避難所について
18:45ワークショップオリエンテーション
19:15仮設トイレのお話&組立
20:00テント設営
20:30夕食・休憩
21:15街歩き2
22:30街歩き全体発表
23:30就寝

<2日目>
5:00起床・身支度・体操・朝食
5:45フィードバック
6:30テント撤収・片付け・アンケート記入
7:00終了
急に涼しくなり、秋めいてきた日曜の午後。
ゆったりとした時間の流れる、栄のテレビ塔の下に、今回の参加者たちが集まってきました。参加者たちの目の前には大きなテント。さて、一体何が始まるのでしょうか?!

◆yamory岡本ナオトさん「若い人たちにも、防災に関心をもってもらいたい!」

避難所が津波で流された陸前高田の語り部さんの言葉、「なぜ避難所が危ない場所にあったのに、自分たちのまちのことを考える事ができなかったのか。みんなにはもっと考えてほしい。」というお話しが忘れられないと述べたのは、yamory代表の岡本さん。そんな彼の思いから、楽しく「防災・減災」が学べる企画が実現しました。

そして早速、参加者20名の自己紹介がスタート!
「以前バイトをしていたテレビ塔の下で、今度は寝てみたい!」
「今日のファッションのテーマは、“もしライブ帰りに被災したら”です。」
「過酷だと聞いていますが、体力には自信あります!」
今日から夜がぐっと冷え込むという予報ですが、みんな無事に一晩過ごせるのでしょうか?! うーん、すでに強い風が吹いているのは、気のせいだと信じたい!

◆いざ、街歩き!知ってしまうとホントは怖い?! 栄のまちなか!

買い物、デート、仕事などで栄にいるときに、もし大きな災害にあったらどうしたらいいの?まちの中心であるテレビ塔から、避難所となる学校までは、どの道を行けばいいんだろう?どんな危険を知っておけばいいんだろう?そんな「はてな」をもって、グループごとに名古屋市消防局の方と一緒に街歩き開始です!

「道の真ん中と端では、どっちを歩くのが危ないでしょうか?」
実は水害時には、道の真ん中を歩くほうが危ないんだとか。マンホールが水圧ではずれるからだそうです。もしそのとき真上を歩いていたら?よく見えない足元で、マンホールの蓋が外れていたら?…そう考えると怖いですよね!!
「電線には、危険な電線とそうでないもの、2種類あります」
電話線は大丈夫ですが、電力会社の高圧電線はすごーく危険なんです!
もしも電線が切れていたら近づいてはいけません。磁場が発生し、1mほどの距離に近づくと身体が吸い寄せられるんだとか。。。流れている電流は、なんと7700V!

普段何気なく歩いているところに危険があったり、一方では災害時に役立つものも隠れていたり。街歩きツアーをしながら、いろんな発見をし、みんなで考えました。充実のあまり、ほとんどのグループが時間内に戻って来なかったんですけどね!笑

◆名古屋市消防局 吉田博さん「お互い助け合って、どうにか生き延びてほしい」

夜はテントで寝泊まりだというのに、既に外では風がビュービュー吹いてます。大きなテントまで吹き飛ばされそう!そして寒い!ということで、急遽テレビ塔の中で吉田さんのお話を聞くことになりました。

家具を固定するなどして「生き残る」ことも大事ですが、せっかく生き残れたのなら、きちんと「生き延びる」ことも大事。吉田さんは、一番大切なのは「水とトイレ」だと言います。実は数日食事を取らずとも、水があれば人間なんとか生きられるものなのです(なんてったって人間の半分以上は水分ですしね!)。もちろん摂取するだけでなく、排出しなければなりません。しかし、この「トイレの使用」というのが、災害時には意外と大変なのです。

そして、もう一つ大切なことが「やさしさ」です。避難所でも配布される食糧の平均は0.8食。実は市として貯蓄できる食糧自体も、あまり多くないのです。だからこそ、家庭に非常食を用意しておく必要があるのですが、だからと言って在宅避難で家にこもりきり、というのも、実は後から大変になってしまいます。「非常食がなくなってしまった。近くの避難所にもらいにいこう」。プライバシーもないような環境で、肩を寄せ合い、避難者たちはなんとか毎日を生き延びている中、これまで何の手伝いもしてこなかった人が食糧だけもらいに来たら…?自分たちはやさしさを持ち合って助け合えるでしょうか。

自分の命がかかっている。大切な人の安否が心配でならない。そう、みんな心の余裕はないんです。そんな過酷な状況においては、意識してやさしさや助け合いの精神をもたなければなりません。災害が起きた時のことを想定してシミュレーションをするのは難しいですが、周りの人に「思いやり」をもつことなら、今すぐにだって始められますよね。

◆では、実際に避難所の運営を体験してみよう!!

じゃあ避難所では、どうやってお互い助け合いながら過ごしていけばいいだろう?
今回、名古屋市の避難所運営マニュアルを参考に、各班に分かれて協力しながら、避難所運営のシミュレーションをしてみました。

総務、施設、救護、食糧、物資。この6つの班に分かれて、まずはみんなに守ってもらうルールを考えました。なんだか作戦会議みたいな雰囲気です。参加者の表情は真剣ですが、時には誰かのアイディアにどっと笑いが起きることも。

数に限りのあるランタンを、どうやって使おうか?
テントで寝る2人組の組み合わせは、誰と誰にしよう?
食糧はどうやって分配しよう?
メンバーの手元には、発注表や供給依頼伝票。
…なんと、思った以上にリアルなシミュレーションです!

そしてミーティングが終わった班から、ルールを全体に伝え、作業に入ります。
「総務班からアナウンスです。掲示板に名簿を貼りました!」
「レンガもって来てー!」
「救護班です。本部に医薬品を用意しました!」
あちこちで声が飛び交うようになり、班ごとや全体での連帯感が生まれ始めました。
なんだかちょっと、楽しそうです。

◆トイレとおかゆともう一度街歩き

避難後、特に大変になるのがトイレです。名古屋市環境局の大西さんからお話を頂き、その後はみんなで実際に仮設トイレを設営してみました。

はじめに、阪神大震災時のトイレ事情を聞いてびっくり。
公園の公衆トイレは水が出ないため、便の山になり、公衆トイレ全体が便器に。
それだけでなく、道端や木陰で排便が行われることもあったそうです。
災害時。普段当たり前にできたことができなくなります。トイレもその一つです。
そんなとき、私たちはどうやってトイレを使えばいいのでしょうか。

まず大前提なのは、「既存のトイレを使う」ということなのだそうです。
災害の規模によってこれが使えないときに登場するトイレのひとつが、下水道式トイレです。たしか街歩きのときに、小学校の前に「震災用」と書かれたマンホールを見かけました。震災時、このマンホールを開けて、学校の倉庫にある仮設トイレセットをその上に組み立てると、ちゃーんとトイレになります!このマンホール、各避難所ごとに1基あり、名古屋市内全体で800基の計算です。当然役所の方が全て設置するのは難しく、私たち一般の人たちが設営することになります。避難所運営の体験時と同様、助け合いの精神で自分から動いていかないといけないんだ、と感じました。

その後は待ちに待ったご飯の時間!一列にならんで、お水とパウチのおかゆを受け取ります。冷たいおかゆ。もっと食べたいおかゆ。でも、「もしもこれが災害時だったら…?」と思うと、ちゃんとご飯が食べられるだけ幸せです。(ちなみに味はついていたし、想像よりも美味しかったです!)

さて、腹ごしらえをした後は再び街歩きに出かけます!
昼間と夜では、まちの様子はどう違うかな?
昼間に見つけたマンホールの表示や危険個所は、夜だとどう見えるだろうか?

テレビ塔の会議室に戻って来たグループから(まずは室内の暖かさに感動し!)、「街中の危険個所ベスト3」の発表準備に取り掛かります。地図を使って、危険個所をおさらいし、一番いい発表にしようぜ!と意気込むグループも。おかげで発表時には笑いも起き、気になることろは消防局の方にじっくり質問する場面も見られました。

◆そして、いよいよ「キャンプ」

外に出ると、また一段と寒くなっていました。
2人組になった参加者に、渡されたのはテントのセット。
スタッフは黙って見ています。
さあ、自力で組立開始!!

この部品何に使うの?
え?!みんなどうやって組み立てた?
なんて言いながら試行錯誤。
時刻は午前0時過ぎ。組立て終わったところから、みんなすぐに就寝しました。
(ちなみに、このとき使ったLOGOSさんのシュラフは持ってかえれました!)

◆SACAE CAMPに参加してみて感じたこと

チリンチリン!とけたたましくベルが鳴りました。
眠そうな参加者たちが、次々とテントから顔を出してきます。
朝5時の栄はこんなに寒かったのね!

ラジオ体操と朝ごはん(今日も元気におかゆです!)を済ませた後は、みんなで輪になって、この1日のことをふりかえりました。
「ご飯の塩気などの、ささやかなありがたみや、骨盤が当たって寝づらいなどの、かすかな不便が見えてきた。」
「このプログラムを一言で表すなら“矛盾”。眠いし寒いし空腹だったけど、楽しかった!」
「モノも大事だけど、情報共有やちょっとした雑談など、人とのつながりがすごく大事だと気付いた。」
「避難所に行ったら助かるって人任せに思っていたけど、自分で生き延びないといけないって思った。」
などなど。
ちょっと過酷?な体験を通じて、みんなの意識にも少し変化が現れたようです。

「ありがとうございましたー!」
そう言ってみんなが帰っていくとき、このメンバーに変化が生まれたことを確信しました。
ひとりひとりが当たり前のように、イスを片付け始めたのです。
自分の分だけではなく、ほかのイスも片付けていきます。

こんなこと、ほんとうに小さなことですが、被災して心に余裕のないとき、こんな風にお互いちょっと気が配れる仲間だと、少しは過ごしやすくなりますよね。ってか、それって災害時に限ることないじゃん!!

普段の生活の中でも、こんな人たち、こんなコミュニティが増えていったら素敵だよなあ、と感じたのでした。

ボランティアスタッフ/小野茜

※写真をクリックすると拡大します。


 

この授業への皆さんからのコメント

1. 今回は日程的に参加出来ませんでしたが、レポートを拝見させて頂きました。
皆様、非常に有意義な時間を過ごされたように感じました。
と同時に、自分の目で見て、かつ、同じように考えたいなと思いました。
是非もう一度、同じようなイベントを開催して頂きたいです!!
2014年01月07日(火) 2時22分(まちゃ)
2. まちゃさん、コメントありがとうございます。
大ナゴヤ大学での授業では次回開催があるか分かりませんが、SAKAE CAMPは今年も秋に開催予定です。
ぜひこれからもyamoryの活動に注目して下さいね!
http://yamorybosai.com
2014年01月29日(水) 16時17分(岡本ナオト【授業コーディネーター】)
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先生

吉田博 / 名古屋市消防局防災部防災企画課防災企画係長

名古屋市消防局採用後、地域防災、防災行政の職務に通算9年間携わっています。 仕事中は、どうすれば、住民の皆さまが防災・減災に関心を持って行動していただけるか、試行錯誤しています。 週末はPTAの体育事業に参加し、気分転換と健康維持に努めています。 最近は、休みに仕事が入ることが多く、少々運動不足の状態です。

大西和博 / 名古屋市環境局事業部作業課 主事

1976年静岡県沼津市生まれ。1999年大学卒業後、メーカー勤務。 2008年名古屋市役所環境局入庁:ごみ指定袋、ポイ捨て防止、ごみ収集作業計画に関することなどの事務を行う。2013年現在:災害用トイレの配備、し尿収集作業計画に関することなどの事務を行っている。

今回の教室

名古屋テレビ塔

住所:名古屋市中区錦3-6-15先

TEL:052-971-8546


■授業について全ての連絡・お問い合わせは、大ナゴヤ大学までお願いいたします。
 TEL:070-5459-8213(代表)
 E-mail:dai-nagoya@univnet.jp

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※最寄駅
地下鉄名城線・東山線「栄」下車3番もしくは4番出口を上がって徒歩3分
地下鉄名城線・桜通線「久屋大通」駅下車南改札を出て4B出口を上がってすぐ