大ナゴヤ大学

授業詳細


レポートUP

イスラームを知る~名古屋モスクから世界を見つめる~


カテゴリ:【 歴史・文化】
定 員 :20人

参加対象:どなたでも
開催日時:2016年01月24日(日) 14時00分 ~ 17時40分
教室:宗教法人 名古屋モスク
先生: サラ クレシ好美 / 宗教法人 名古屋モスク 渉外担当理事 
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・参加費として1,000円を頂戴します。
・女性の方は頭髪を隠すためのスカーフをお持ちください(お持ちでない方へは無償で貸出いたします)
・イスラームに関して質問がある方は、以下のフォームよりお聞かせ下さい。どんな些細な質問でも受け付けております。また授業後、近くのハラール食レストランで食事を希望される方は、該当欄にチェックをお願いいたします。(1000~1500円程度)
 【ご質問受付フォーム→https://ssl.form-mailer.jp/fms/d5d99c3f403194
昨今、IS(Islamic State)の報道が世間をにぎわせています。
彼らはイスラームを自称し、ご存知の通り世界のあらゆる場所で非道な行いをしています。
そんな中、名古屋にあるイスラームの礼拝堂「名古屋モスク」では、
このような声明を今年の1月に発出しました。(リンク先をご覧ください)
http://nagoyamosque.com/3107.html

「イスラーム」と聞いて、漠然となんだか怖いというイメージを持っていないでしょうか。
はたして私たちは、イスラームのことをどこまで知っているのだろう。
そもそも名古屋にモスクがあるということ、ご存知でしたか?

この授業ではイスラーム教徒=ムスリムの方から、そもそもイスラームとはどういう宗教?
というところから詳しく教えていただきます。
そしてモスク内をぐるりと見学し、実際の礼拝の様子を見せていただきます。
壁にかけられた時計や式台、礼拝前に使用する“ウドゥ”、彼らの聖典“クルアーン”など…
初めて目にするものばかりかもしれません。

1日5回のお祈りのタイミングや“ハラール”と呼ばれる食事の特徴、
ラマダーン(=断食の月)ってムスリムにとっては実際どうなの?
アルコールって絶対にダメなの?
信仰を唱えるだけでムスリムとして認められるって本当?
そんな、聞いたことはあるけどよく知らないイスラームのあれこれを、この機会に直接聞いてみましょう。

イスラームがどんな宗教かまったく知らなくても大丈夫。
ちょっと聞きにくいかもしれない世界情勢についても触れていきます。
ぜひ生の声を聴いてみてください。

授業が終わるころには、きっとイスラームを少し身近に感じられるはずです。
それが、平和へ近づくための第一歩になるかもしれません。


【タイムテーブル】
13:45 本陣駅3番出口集合
14:00 授業スタート・自己紹介
14:15 講話① イスラームとは
15:00 モスク内&午後の礼拝見学
15:20 講話② イスラームのあれこれ
15:55 Break Time
16:00 グループに分かれて感想シェア&質問タイム
16:20 講話③ 質問に対する回答 他
17:00 記念撮影、アンケート
17:20 夕方の礼拝見学(任意)
17:40 礼拝見学終了・解散

(授業コーディネーター:井上麻衣、仙石智津子)

サラ クレシ好美 / 宗教法人 名古屋モスク 渉外担当理事

今回の教室:宗教法人 名古屋モスク

住所:名古屋市中村区本陣通2-26-7
※集合場所は本陣駅3番出口(13:45)。
地図を見る

2016年1月24日(日)、授業参加者19名とスタッフが名古屋市中村区本陣の名古屋モスクに集まりました。
モスクに入るためにはイスラームの戒律によってヒジャブ(スカーフ)を用いて女性は髪を隠さなくてはなりません。
女性の参加者は、自ら持参したり、スタッフが用意したものを借用したりして神妙な面持ちでモスクに入りました。



自己紹介

講師は宗教法人 名古屋モスク 渉外担当理事のサラ クレシ好美さんです。
彼女は元キリスト教徒でしたが結婚を機にイスラームに改宗しました。
さて、参加者(老若男女)やスタッフの自己紹介の中で、この授業に参加する動機も千差万別です。
 •コーランを読みたい
 •近くに住んでいるが、モスクが近くにあることを初めて知った
 •以前から興味はあったが知る機会が無かった
 •近々インドネシアに行くので予め知っておきたい
 •学生時代の勉強を深めたい
 •中東情勢が気に掛かる
 •ハラールについて知りたい
などの動機が示されましたが、今回参加希望者が直ぐに定員に達したことから、
最近の社会的関心の高さが背景にあることは疑いのないところでしょう。




この社会的関心の高さというのは、最近のイスラーム過激派と称される複数のグループ、
又は個人によるテロによる影響もあるでしょう。のちの講話でも度々中東の情勢に話が及んでいました。

------------------------<補足>(ウィキペディアより)-----------------------
【イスラームの六信五行】
イスラームの信仰の根幹は、六信と五行、すなわち6つの信仰箇条と5つの信仰行為から成り立っている。六信は次の6つ。

 •神(アッラー)
 •天使(マラーイカ)
 •啓典(クトゥブ)
 •使徒(ルスル)
 •来世(アーヒラ)
 •定命(カダル)

このうち、特にイスラームの根本的な教義に関わるものが神(アッラー)と使徒(ルスル)である。
ムスリムは、アッラーが唯一の神であることと、その招命を受けて預言者となったムハンマドが真正なる神の使徒であることを
固く信じる。イスラームに入信し、ムスリムになろうとする者は、証人の前で「神のほかに神はなし」「ムハンマドは神の使徒なり」
の2句からなる信仰告白(シャハーダ)を行うこととされている。
また、ムスリムが取るべき信仰行為として定められた五行(五柱ともいう)は次の5つとされている。

 •信仰告白(シャハーダ)
 •礼拝(サラー)
 •喜捨(ザカート)
 •断食(サウム)
 •巡礼(ハッジ)

これに奮闘努力(ジハード)を6つめの柱として加えようという意見もあるが、伝統的には上の5つである。
これらの信仰行為は、礼拝であれば1日のうちの決まった時間、断食であれば1年のうちの決まった月(ラマダーン、ラマダン)に、
すべてのムスリムが一斉に行う(苦しものとされている。このような行為を集団で一体的に行うことにより、
ムスリム同士はお互いの紐帯を認識し、ムスリムの共同体の一体感を高めている。集団の一体感が最高潮に達する信仰行為が
巡礼(ハッジ)であり、1年のうちの決まった日に、イスラームの聖地であるサウジアラビアのメッカ(マッカ)ですべての巡礼者が
定まったスケジュールに従い、同じ順路を辿って一連の儀礼を体験する。
------------------------------------------------------------------------

講話
まずは同じ一神教であるユダヤ教・キリスト教との違いをご説明いただきました。
先生はもともとキリスト教のプロテスタントからカトリックを経てイスラームに改宗された方。
それぞれの特徴をとらえた説明に、「へぇ~」との声がそこここから上がりました。



【一神教】
一神教(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム)は時間の流れが直線的。対して仏教は回旋的(輪廻転生)。
一神教はそれぞれ異なる特徴を持つ。

■ユダヤ教…厳しい戒律(モーゼの十戒)をベースにたくさんの律法がある。「安息日には労働をしてはいけない」という教えに基づくと、
例えば火を使用することは労働とみなされるため温かいものを食べることができなかった。他に病人を癒すこと、
900m以上歩くことさえも労働とみなされた。

■キリスト教…ユダヤ教の厳しさに対し、庶民の立場に立ったのがイエスキリスト。厳しい戒律を取り払い「寛容」を掲げたものの、
イエスとその集団は「戒律をないがしろにし神を冒涜している」としてユダヤ教徒から恨まれた。父なる神・神の子イエス・聖霊の3者が
一体で神を成すという三位一体の考えを持つ。

■イスラーム(イスラム教)…ユダヤ教は戒律が厳しすぎるし、キリスト教は律法を守ることに対して寛容過ぎる。
そんなユダヤ教とキリスト教の中道をゆく教えとしてアラブ諸国を中心に広まった。神の前では皆平等であり、
預言者は〝予言〟する者ではなく神の言葉を預かる一人の人間であると考える。

続いて、イスラームにおける物事の考え方を教わりました。

【意志は行為に勝る】
○全ての信仰を完璧に行うことができなくとも、行おうとする意志や意図は行為に勝るということ。
意思が何よりも重視される。例えばメッカへの巡礼にお金が無くて行けなかったとしても、
行こうと思ったという意思、努力は神に認められる。この考え方は日々の生活のあらゆる面で柔軟に取り入れられている。

○ジハードとは信仰を守る為の努力行為であって、過激派による戦闘行為ではない。
「聖戦」という日本語訳が間違った認識を生んでしまっている。教科書に「右手に武器、左手にコーラン」と書かれていることもあるが、
そもそもイスラームで左手は不浄とされており、左手にコーランを持つことはあり得ない。

○偶像崇拝は無い。建物の装飾はアラビア文字で飾るなどする(アラビア文字の〝習字〟もある)

【神の意志】
イスラームにおいて、人間は神の意志に従って行動しなければならず、そこで、いかにして神の意志を知るかが重大な問題となるが、
神の意志はクルアーン(コーラン)およびハディースによってのみ知ることができると信じられている。

■クルアーン…イスラームの始祖である預言 者ムハンマドが受けた啓示、つまり神の言葉の集合体。

■スンナ…預言者ムハンマドが人間として語った言葉及び行いのこと。

■ハディース…スンナが収録された本。

神は慈愛に満ちているが、イスラームにおける神は「困ったときの神頼み」ではなく、人間との間で「神の意思に従って行動することで、
来世で救済される」という一種の契約を交わしているようなもの。

【性差や食事】
○形式的な〝平等〟ではなく実質の「公平」を重んじる。
女性の行動に制限があるのは男女の役割分担や特質を考慮しているからであり、実は女性に優しい宗教ともいえる。
日本では平等を標榜しているが、イスラーム国家のバングラデシュ、パキスタン、トルコなどにおける女性の政界進出は
日本よりもはるかに凌いでいる。イスラームだから女性は勉強してはならない、というのは誤って伝えられていること。
実際は、女性の進学率は イラン66%、サウジアラビア61%である。

○女性がスカーフで顔を隠すのは、美しい部分を見せないようにすることで、
未然に男性を誘惑せずトラブルを回避するという“生活の知恵”(子どものスカーフは各家庭の方針による)。
またアルコールも“酩酊させるもの=正常な判断ができなくなる”ということで禁じられてきた。

○イスラームの教えで「許されている」という意味のアラビア語がハラール(ハラル)。
反対に「禁じられている」と言う意味の言葉が「ハラーム(ハラム)」。ハラールやハラームはモノや行動が「神に許されている」のか
「禁じられている」のかどうかを示す考え方。例えば、嘘をついたり物を盗んだりすることは「ハラーム」とされる。

○『豚』は、その派生物を含めて全てが禁じられている。豚以外の肉についてもイスラームの教えに則った方法でと
畜・加工処理されなかった肉についてハラームとみなされる。これはまだ自然科学が発展していなかった頃、
経験的に豚肉は雑菌が多く、食することを避けるという暮らしの知恵がその基本となっていたのかもしれない。


世間を騒がすISに関しては、「イスラム国」という表現が誤解を招いており、
実際のイスラームの教えにはまったくもって反しているとのことでした。
イスラームが平和を愛する宗教である何よりの証拠として、アラビア語の「こんにちは」は「アッサラーム アライクム」。
これは「あなたの上に平安がありますように」という意味だそうです。
ISは世界で約16億人いるムスリムのわずか0.0018%。事件が起きるたびに、彼らと同一視されることに戸惑っているそうです。
名古屋モスクへ全く根拠のない誹謗中傷の電話や手紙が届いたり、
ムスリムの子どもたちが学校で嫌がらせを受けることもあるそうで、子供たちを守るためにも名古屋モスクのHPからコメントが
都度発出されています。ぜひお目通しください。
http://nagoyamosque.com/category/recent-state/comment

モスク内&午後の礼拝見学
アザーン(礼拝への呼びかけ)が館内に流れ、参加者全員で3階の礼拝室(“祈祷”ではない)へ移動し、
ムスリムのお祈りを実際に見学しました。



【礼拝】
イスラームの礼拝はアラビア語でサラートといい、一日に5回の礼拝が義務づけられている。
朝の礼拝は日の出前までに、夕方の礼拝は日没時に行うこととされている。

礼拝は信心を深めるためのもので、いわば神様へのご挨拶。
祈祷(願い事をして自分のご利益を望むもの)とは全く異なるそうです。
1日に5回神様へご挨拶するわけですが、旅行中などやむをえない場合は「意思は行為に勝る」の考え方のもと、
2回目と3回目の礼拝は日没までに、4回目と5回目の礼拝は就寝までにまとめて行ってもいいそうです。
この日の礼拝でも途中から駆け込んで参加する方がいたりと、イスラームの意外とゆるい一面を垣間見ることができました。

<参考:名古屋モスク礼拝時刻表(見学可)http://nagoyamosque.com/about/prayertime

グループに分かれて感想シェア&質問タイム
4つのグループに分かれ、スタッフも交えながらグループワーキング。
どのグループもお互いに自己紹介を交えながら、活発なトークが交わされていました。
その中で、以下のような質問が講師の先生に出され、和気藹々とした雰囲気で応答して下さいました。



1.結婚の馴れ初めは?結婚に際して改宗するのか?
馴れ初めは「神のお導き」とのことで詳しく教えてもらえませんでしたが、旦那様はパキスタン人で、
パキスタンではムスリム以外は結婚できないそうです。そして改宗を決意するまでに7年を要したとのこと
(旦那様から「長かった…」とのコメントに一同笑!)。イスラームでは意思が何よりも重視されており信仰を他者に
強制することはできないので、自分から改宗したいと思うまではキリスト教徒のままだったそうです。

2.他の宗教に対する考えは?
農耕民族は共同で作業することが多く周囲に合わせ全てを受け入れる必要があったため多神教になったのではないか、
狩猟民族は厳しい自然環境の中で一つを選ばないと生き残れないため一神教になったのではないかとの見解でした。
そもそも先生はキリスト教から改宗された方。そしてイスラームは平和を愛する宗教。他の宗教を認めない!
というような考えは一切持ち合わせておられませんでした。

3.ムスリムでないとお祈りはできないのか?
誰でもできるそうです。そして断食月のイフタル(日没後の断食明けのお祝い)は普段会わない知人や親戚を招いたり
招かれたりの楽しいひとときだそうで、断食期間は太ったり、「もうラマダーンが終わっちゃう」なんて声も飛び交うそう。
名古屋モスクではラマダーン中は毎晩イフタルを提供しているそうで、誰でも気軽に来所して参加してほしいとの言葉もいただきました。

4. スンニ派やシーア派とは?
ムスリムの約9割を占めるスンニと残りの約1割であるシーア。これらの違いは預言者ムハンマドの後継者をめぐって生まれたそうです。
預言者ムハンマドのいとこで4代目カリフ(指導者)であるアリーの血統を正統とみなすシーアに対し、スンニは信者の話し合いで選ばれた
者がカリフになるべきだとする考え方を持っています。ただし、もともとアラビア語で「シーア」とは「派閥」を意味するそうで、考え方の相違に
よって派閥ができてしまっただけの話であり、シーアもスンニも個人レベルでは宗派など気にされないそうです。

最後に、イスラームにもキリスト教の『隣人愛』のような考え方はあるのか?との問いに対し、
そのような考え方は全ての宗教に共通しているとの答えをいただきました。
仏教では慈悲という考え方が、そしてイスラームではザカートという行為があります。
世の中には数々の宗教がありますが、弱者を守ろうという考え方は共通しているようです。


当日は、講師の方の分かり易く丁寧な説明で、実に内容の豊かな授業となりました。
おそらく参加者の中の多数派である自分は、普段、宗教とはあまり縁の無い暮らしをしています。
当日はアザーンの流れる中、皆で礼拝を見学していると日常とは異なった時間が流れているような感覚を抱きました。
イスラームだけではなく、宗教全体と人間の暮らし、現代社会などを、いつもとはまた別の方向から考え、
見つめることが出来たのは、新鮮な驚きでもありました。



モスクからの帰り路、幾分か自分の中である種の「視点」が広がった気がしていました。
豊かで有意義な授業を展開してくださったムスリムの方々に感謝いたします。

(レポート担当 ボランティアスタッフ 河辺正太郎
 カメラ担当 ボランティアスタッフ 屋木 紗也加)

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