大ナゴヤ大学

授業詳細


レポートUP

レトロな建築物が残るまち東区、名古屋の輸出陶磁器産業の”記憶”を巡る-橦木館、名古屋陶磁器会館、日本陶磁器センタービルまで-


開催日時:2018年05月12日(土) 10時00分 ~ 12時30分
教室:文化のみち界隈
先生: 加美 秀樹 / 文筆家、写真家、美術家
カテゴリ:【まち歩き/歴史・文化】
定 員 :15人

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【参加費用】
※参加費としてお一人様1,500円頂戴します。(橦木館への入館料、保険料含む)
※中学生以下は、保護者同伴に限り参加費不要。(事前に事務局まで連絡ください。)

【集合・解散場所】
※集合場所(受付開始9:45〜):文化のみち橦木館 入口前
※文化のみち橦木館(〒461-0014 名古屋市東区橦木町2丁目18番地 地下鉄 桜通線「高岳駅」1番出口より北に徒歩10分程)

【その他】
※雨天決行。警報や注意報が発令されるなど荒天時は中止します。中止の場合は、開始時間の2時間前までに連絡いたします。
自分の住んでいるまちの記憶。皆さんは、どれぐらい知っていますか?
いろんな角度からまちを見る目線を持つことで、自分の住んでいるまちがもっと面白くなる。
「まちの”記憶”を学ぶ」という目線で、これから名古屋の街中を巡っていきます。

5回目の「名古屋の”記憶”を巡るツアー」は、
輸出向け陶磁器絵付加工の日本の中心地だったころの面影が残る東区界隈を巡ります。

名古屋と陶磁器が結びつかない方も多いかもしれまんが、
東区には、絵付工場や貿易商社が集積し、日本から海外へ
輸出される陶磁器の7~8割がこの狭い地域で絵付けされていた時代がありました。



大正時代後半になると、輸出陶磁器業といっても、
実に多種多様な業態が営まれるようになり、生産・加工に不可欠な各種原料、
薬品業、運送業、包装業などが競い合ってこの地域に集中していきます。

今回の授業では、文化のみち橦木館の指定管理を受託しているNPO法人橦木倶楽部の
立ち上げに関わるなど東区のまちに詳しく、考現学的視点で街中や郊外をフィールドワークの
活動もしている加美秀樹さんを先生に迎え、東区界隈に残る名古屋の輸出陶磁器産業の記憶を学びます。

名古屋の輸出陶磁器産業の発展に尽力した井元為三郎さんの別宅「文化のみち橦木館」からスタートし、
土日は休館日で入れない名古屋陶磁器貿易商工同業組の事務所として建てられた
「名古屋陶磁器会館」を、この日だけ特別に見学させていただきます。



名古屋のまちのことを知りたい、陶磁器に興味がある、
レトロな建築物が好きな方、一緒に名古屋のまちを巡りましょう!

【コースルート】
橦木館→旧春田鉄次郎邸→絵付長屋→三田村商店→名古屋陶磁器会(館内、特別見学)
→浅井木毛→大洋ビル→日本陶磁器センタービル新館・旧館

【スケジュール】
9:45 受付開始 文化のみち橦木館 入口前
10:00 授業開始、導入
10:05 まち歩き開始 橦木館へ
11:15 名古屋陶磁器会館 見学
12:30 終了・解散


授業コーディネーター:大野嵩明


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キャンセル料について
安定的な運営のため、開催2日前以降のキャンセルはキャンセル料を申し受けます。あらかじめご了承ください。
やむを得ずキャンセルされる場合は、dai-nagoya@univnet.jpまでお早めにご連絡ください。
※電話連絡も可能ですが、打ち合わせなどで電話に出られない場合があります。留守電にメッセージを残してください。
Tel:070-5459-8213(受付時間:10:00~17:00 ※定休日:土・日・祝)

【キャンセル料】
2日前〜前日のキャンセル:参加費の50%
当日のキャンセル、無連絡不参加:参加費の100%
※電話でのキャンセルは当事務局の営業日、営業時間内にご連絡いただいた日を基準とします。
※代わりに参加できる方がおられる場合、キャンセル料は不要です。その旨をご連絡ください。
※無連絡不参加の場合、以後のご参加をお断りすることがございます。
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加美 秀樹 / 文筆家、写真家、美術家

昭和34年(1959)名古屋市昭和区鶴舞(名古屋大学附属病院)生まれ、一宮市千秋町で育つ。愛知学院大学を卒業後、デザイン・オフィス・タロウにてコピー・ライター、新名古屋新聞社にて経済記者の職を経て、昭和63年(1988)4月に編集事務所「彗星倶樂部(コメット・クラブ)」を設立。業務内容は、企画・編集・取材・原稿・撮影ほか。
昭和61年(1986)から野外活動研究会に所属し、考現学的視点で街中や郊外をフィールドワークしながら観察と記録を継続。考現学の研究テーマは、近代建築、金鯱意匠、看板標識、昭和以前の旧式生活道具類(火鉢、乳母車、井戸ポンプ…)、神仏妖怪、古今の日本文化ほか。
平成18年(2006)、旧・井元為三郎邸(現・文化のみち橦木館)の保存・管理・活用を目的に、仲間と共にNPO法人橦木倶楽部を設立し、名古屋市から指定管理業務を受託。理事(〜2013)を務めながら、「橦木館で楽しむ絵本の世界」その1、その2(2012)「大日本銭湯展」(2013)等の企画・製作・監督を務め、橦木館の認知度を高めると共に集客を図り、後者では開館以来最多入館者数(1817人)を記録。
平成28年(2016)4月に「まちかどの近代建築写真展」の招聘・招待作家参加、11月にはドイツ人作家クレメンス・メッツラー氏との二人展「名古屋近代建築今昔〜旧き建ものに、想いを馳せて」を開催。

今回の教室:文化のみち界隈

住所:名古屋市東区

集合場所:文化のみち橦木館(名古屋市東区橦木町2丁目18番地)
※地下鉄 桜通線「高岳駅」 1番出口より北に徒歩10分程
地図を見る

名古屋市東区から中区に至る、名古屋の近代化の歴史を伝える建造物などが数多く残る地域の総称。

午前10時、名古屋市東区「文化のみち橦木館(しゅもくかん)」前に参加者が集合、講師の加美 秀樹(かみひでき)さんの軽快な語り口から授業が始まった。

先生の話から、当地「文化のみちエリア」は、明治から昭和にかけて陶磁器の上絵付けをする工場と日用品食器などを輸出する貿易商社が集積し、日本の輸出陶磁器の中心地だった当時の面影をうかがい知ることができるらしい。



先ずは集合地からスタート。


橦木館(橦木館の“橦”は初期に誤記されたものがそのまま伝わってしまった。)
橦木館は大正末期から昭和初期にかけて建てられ、陶磁器商として活躍した井元為三郎の旧邸宅で、平成21年7月17日に開館された。



約600坪の武家屋敷の敷地割り(この地域の多くは武家の敷地が分地されずに広いまま<600〜1000坪ほど>引き継がれてきた)に、庭を囲むように大正浪漫あふれた洋館、和館、茶室や、裏庭に東西二棟からなる蔵が残されている。

洋館には、当時の流行を先取りしたステンドグラスが各所に配置されている。今は、市民の文化活動の拠点として、文化のみちの歴史・文化を伝えているということだ。

太平洋戦争末期、名古屋は米軍の空襲によって、中心部の50〜60%を焼失し、東区も爆撃に晒された。ところが、この界隈は洋風建築が多いことを米軍側にも知られており、彼らが後に利用することを前提に爆撃せず、思惑通りに戦後は進駐軍将校の住宅地として利用されたという。



さて、いよいよ館内見学。門から館内に足を運べば、昭和初期に流行ったスクラッチタイルによって特徴付けられた直線的な外観、大正ロマンの香に溢れるアール・デコ調の玄関が目に飛び込んできた。タイル(「ダイヤ」と「モンキー」形の珍しい“幻のタイル”)やステンドグラス、ランプなどが当時のままの装飾であり、これらに大理石や花コウ岩を用いた贅沢な玄関となっていた。



他にも、ステンドグラスは洋館各所に見られたり、窓ガラスも当時のものが一部残っていてまだ技術水準が低かったために波打ったりして、否が応でも情緒的な雰囲気を醸し出していた。ビリヤード台が置ける広さのゲームルーム、高級感溢れるバスルーム、さらに展示室は、洋館2階と和館にあり、当時使われていた陶磁器などが展示され、名古屋陶業や文化のみちについても紹介されていた。

和館では、和室の透かし彫り欄間、猫間障子、北側廊下など贅沢な作りが其処彼処に見られた。和館、洋館をつなぐ緑豊かな庭園の一角には2畳半中板向切の構えの茶室がそっと佇んでいた。



旧春田鉄次郎邸
橦木館を出て左手に山吹谷公園(江戸時代から続く公園)、山吹小学校(明治5年学制頒布と共に第六義校として飯田町禅隆寺に創設された)を左手に見ながら西進。国道19号線に出て北上、明治37年に立てられた礼拝堂を持つカトリック主税町(ちからまち)協会の角を右折東進し、旧春田鉄次郎邸へ。



この邸は、陶磁器貿易商として成功し、太洋商工株式会社を設立した春田鉄次郎が武田五一(建築家、旧名古屋高等工業学校第二代校長。京都市役所本館、名和昆虫博物館など設計)に依頼した住宅で、大正13(1924年)頃竣工、延床面積約370㎡、景観重要建造物に指定されている。戦後、米軍第五航空隊司令部により一時接収されていたが、現在はフランス料理店として営業中、一部を見学用に開放している。



アールヌーボーの余韻が漂う洋風数奇普請。洋館と奥にある和館から構成されている。戦後、米軍は使用に際して、和室の畳敷を板の間にしたり書生部屋を浴室に変更したりするなどの改造のほか、キッチンや洗濯・リネン室兼ボイラー室を増築した。和室は橦木館と同じ様に彫刻の欄間が参観者の目を引き、他にも蒸カマドや米びつ、大きな丸テーブル、子ども用食卓椅子(座面と背もたれが革製)、柱時計などが展示され、当時の贅沢な暮らしを偲ばせた。

絵付長屋
旧春田邸の見学を終えて、勾配が他に比べて緩やかな為に馬車道として利用されていた主税町通りを東に進み、旧豊田佐助邸、名古屋文化のみち堀美術館、主税町長屋門、絵付け長屋(一世を風靡した名古屋の陶磁器産業の生産量の増加に伴い生まれるが、生産量減衰により、今は建物のみが残る)を過ぎて、国道19号線に着く手前の細い下町街道に入り北上。しばらく進み古民家風建物の三田村商店に到着した。



三田村商店
昔は絵の具に毒性が在った為に、取り扱いに関しては関係する資格が必要だったりして職人の確保が難しかったこともあり、近年は陶器用絵付け絵の具を取り扱う会社は少なくなってきている。その中で、三田村商店は、窯業原材料の専門商社として1946年に創業。戦前後の陶磁器輸出業で栄えた東区で事業を継続している数少ない会社の一つで、現在は却ってその希少性ゆえに海外からも頻繁に問い合わせがあるという。



店先では、思わず見とれてしまうような美しい皿が多く展示してあって見入っていると、お店の人が転写を用いた絵付けをする実演を見せてくださり、見学者からは歓声が上がっていた。見事に絵を皿に写していく様を見ていると、平面への転写はそれほど難しくはないが、曲面の多い陶磁器は熟練した腕が必須との説明を受けた。



個人的に思ったことだが、今はコンピューターを使用した柄を転写することも多いそうだが、仕上げにはどうしても人間の腕が欠かせないことが、逆にこの業界の新たな方向性を指し示しているような気もした。

名古屋陶磁器会
通常は1階のみが公開されているが、今回は特別見学ということで、業務中にも関わらず見学を許された。当館は昭和7年、当時の名古屋陶磁器貿易商工同業組合の事務所として建設された。鉄筋コンクリート3階建、スクラッチタイル張りの外壁で、当時の名古屋陶業界の力を内外に示していた。



組合事務所としての役目を終えた現在は、レリーフのある天井などでアールデコ調の昭和初期のレトロな雰囲気が注目され、映画(「ALWAYS 三丁目の夕日」)やドラマ、ファッション雑誌の撮影場所として、1階はギャラリーと絵付けなどの教室として利用され、会館はデザイン関係のテナントが多く入っているそうだ。展示コーナーには、かつて輸出された数々の魅力的な陶磁器製品(連合軍による占領下時代に輸出した製品「Made in Occupied Japan」の裏印有り)が多く展示されていた。





浅井木毛
かつては陶器移送用の梱包材を扱っていたが、現在は看板だけ残っているとのこと。余談だが、今回は時間の都合もあって見学はできなかったが、偶然にもこの会社には、筆者が貿易業務に就いているときに度々お世話になったことがあった。もう20年以上も前のことであるが、当時のことを懐かしく思い出し、個人的には感慨深いものが蘇ってきた。

日本陶磁器センタービル新館・旧館 大洋ビル
昭和6年に陶磁器関連の愛知県、岐阜県の組合が相互協力の必要性から日本陶磁器工業組合連合会を設立。昭和9年に当会が旧館を建て、陶磁器産業の中心ともいうべき重要な役割を担った。戦災復興の一環である桜通拡幅の際に、旧館を現在地に曳き家し、機能の拡充のため前面に新館を増築し、一体的に使われた。当時の陶磁器産業の隆盛を物語っている旧館は、外壁にスクラッチタイルが使われ、スチールの窓枠など随所に当時の意匠的な特徴が見られる。





今回の授業は予定通り、12時半に終わったが、今年1、2を争うような暑さの中、参加者から「暑いなぁ」との声も聞かれた。しかし、そんな暑さも忘れるほどに、半日の授業時間ではとても足りない、質量共に豊かな授業内容だった。参加者の皆さんは驚きや感動の声をあげながら熱心にメモを取ったり写真に収めたりしていた。

振り返ってみれば、新旧様々な人の活躍や願いが積み重なって名古屋の歴史が作られてきたことを再確認できた授業であり、名古屋への愛着がより一層強まった感もする1日であった。



レポート:長老(河辺正太郎)
写真:八町 順子、越野 龍彦

※写真をクリックすると拡大します。


 

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