授業詳細

CLASS


「ひんやり」老舗氷問屋がつくる「あったかい」人がつながり合う場所〜古民家が100年を超えるために。

開催日時:2018年09月16日(日) 10時30分 ~ 12時00分

教室:澤田商店

レポートUP

先生: 澤田 知子 / 有限会社 澤田商店 取締役 (studio source 兼務)

カテゴリ:【FAAVO名古屋栄コラボ授業/くらし/食】

定 員 :15人

※参加費としてお一人様1,000円頂戴します。(かき氷付き)
※6歳までのお子様に関しては、参加費500円を頂戴します。生徒登録及び、参加表明の必要はございません。
※この授業はFAAVO名古屋栄にチャレンジしている、またはチャレンジをした方を先生としてお招きし開催するコラボ授業です。
近年、御園座がリニューアルし、オフィス街や地下の飲み屋街などの飲食の場としてもにぎわいのある伏見エリア。大通りから2本ほど中に入ると明らかにまわりとは違う雰囲気を放っている澤田商店さんの建物があります。



かき氷屋さんのイメージが強い方もいらっしゃるかもしれませんが、現代では貴重な「氷問屋」が本業なのをご存知でしたか。

かき氷を提供し始めたのはここ15年のおはなし。お店に入ると30kgもある氷の塊が専用の刃物でカットされるのを目の前で見ることができます。澤田商店さんでは「氷」を楽しんでほしいという思いから氷を活かしたメニューが並び、食べても頭がキンとしないのでついつい2杯目に手が伸びてしまいます!



ここで氷問屋業界のお話を少し。

1955年代では初期電気冷蔵庫が普及していなかったため、当時の氷問屋さんは氷室に氷の塊を入れて氷自体の冷気で食材を冷やしていたそうです。

それが1964年から電気冷蔵庫が普及しはじめた影響で、氷問屋は減少し始めました。さらに製氷機の普及によって「まちの氷問屋」は急速に激減していった中、今も続く氷問屋「澤田商店」は3代続く老舗となりました。店舗の表にかかる大きな看板は、なんと90年近くそのままになっていて歴史を伝え続けています。

今回の授業では、貸切の店舗をお借りして名古屋市の認定地域建造物資産に認定されている建物見学や氷問屋としての歴史を聞きながらクラウドファンディング挑戦に至った古民家への向き合い方を考えます。

そのあとはまだまだ残暑厳しい名古屋の夏にぴったりなかき氷を生徒さん自ら作ってみましょう!

後半は、かき氷を食べながら澤田先生と一緒に考えるワークショップを予定しています。

かき氷ラバーズな方をはじめ、町家に興味のある方、伏見でコミュニティスペースをお探しの方におすすめです。

【スケジュール】
10:00 受付開始
10:30 授業開始、自己紹介
10:50 名古屋市認定の建物見学
11:00 かき氷カットの見学/本格氷でかき氷づくり体験
11:30 ワークショップ
12:00 授業終了

授業コーディネーター:荒木萌

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FAAVO名古屋栄との取り組みについてはこちらをご覧ください。

FAAVO名古屋栄コラボでチャレンジ中のプロジェクト
「ホッとする場として街にあり続けたい。都会の氷屋さんをリノベーション!」
昭和初期から伏見で氷問屋を営む澤田商店さん。



創業から3代に渡り、70年近く、まちを見守ってきました。本業の氷卸と共に、15年前からはかき氷、6年前からは冬に焼き芋を提供する商店さんです。



今回は、氷問屋さんの仕事についての座学、氷作り・かき氷作りの体験、登録地域建造物資産に認定されている建屋の見学、それらを踏まえ、澤田商店さんにふさわしい新しいかき氷を考案するという、冷静な頭と温かい心情が要求される授業となりました。



大ナゴヤ大学恒例の30秒自己紹介では、皆の大好きなかき氷のフレーバーを絡めた参加動機を語って頂きました。参加動機には、30年前の喫茶店のアルバイトで経験したアイスコーヒーで氷の重要性に目覚めた、趣ある建物に興味があった、氷問屋のお仕事を見たい知りたい聞きたいという声がありました。

フレーバーでは宇治金時という大人の意見から、苺ミルク、抹茶練乳など2種類の組み合わせがイイ!、という各自の溢れ出るかき氷愛が語られました。

澤田商店さんの創業は戦前・昭和の始まり。戦争で当時の建屋が焼失し、1949年に再建。表通りの屋号を示した看板が唯一、創業時代から変わらないものだそうです。



店内には軒先まで建屋が拡張された事による柱や氷室の跡、扉など随所に歴史ある古民家の佇まいが感じられます。氷卸という仕事は、かつては、町のどこにでもあるものだったそうですが、1964年の電気冷蔵庫の出現、更には製氷機の普及により氷問屋さんは急減し、お店の数は現在、最盛期の1/3。

そんな中でも澤田商店さんは名駅から東区周辺までの飲食店やホテルを商圏とし、相手の欲しい時にひんやりをお届けしてきた、氷のかんばん納入の先駆け。

澤田商店さんの看板商品である氷は純粋の氷をじっくり冷やします。純水の氷とは文字通り不純物がない透き通った硬く溶けにくい氷の塊。



じっくり冷やす理由は、急冷により、不純物が全体に混ざる形で凝固してしまうのを防ぐ為だそうです。澤田商店の仕入れ先さんでは、48時間かけてじっくり製造されているそうです。

寸法は1050mmX560mmX260mm。重量にすると135kg(300ポンド、36一貫)。単位がポンドなのは、明治時代に製氷技術をイギリスより導入した為で、現在はJIS規格になっています。

座学の後、氷カット、かき氷作りに入ります。まずは氷カット。

36貫(135kg)の固まりを1貫3.75kgにしたのがブロック氷。ブロック氷を造るには大きな鋸で線を入れます。綺麗に線を入れるのがブロック氷作りのコツ。



切断面が斜めとなる事を防ぐ為、アイスピックで割ります。割る作業を実体験してもらった参加者さんからは、「思ったより力が要らなかった」という声があり、割る度に歓声があがりました。

そして参加者一同お待ちかねのかき氷作り。





かき氷の氷は直ぐに削らず、寝かすことが大事。艶が出るまで寝かし、氷を削ります。

今回試食頂いたのは黒蜜と白蜜。澤田商店さんの黒蜜は一番搾りの黒糖が原料で、黒蜜を実食した参加者さんからは、黒砂糖が持つ独特な癖がなく、さらりとしているとの声を頂きました。



実食の合間には、名古屋市の登録地域建造物資産に認定されている建屋で来年より改修予定の2階部分をグループ毎に見学しました。細工が彫られた欄間に懐かしさを感じる、といった声を聞く事が出来ました。



実食・見学後は、澤田商店さんにふさわしい新しいかき氷の考案。

梅酒、酒粕といったお酒の視点、ずんだもちや甘酒ぜんざいとの和スイーツの視点、アボガド、豆乳といった健康の視点、町の豆腐やさんとコラボがいいかも、澤田商店さんだけに留まらない、賑わいをつくる視点からもアイデアが上がりました。

授業の最後には講師の澤田知子さんより「これからもまちと共に。新しく来た人とずっとここにいる人を繋ぐ存在でありたい。まちの財産として皆に愛されるお店でありたい」という締めの言葉を頂きました。



授業を振り返って
今回の講師・澤田知子さんは元々、店舗内装や販促物の制作が本業のお仕事。どうせなら賑わいを作りたいと思い、義兄の本業の氷問屋さんを手伝い始め、澤田商店さんのクラウドファンディングの取組に至っているそうです。

お店が臨時休業の授業中にも、カチ割り氷を買い求めに来られ方や、道行く歩行者がふらりと立ち寄ってしまう姿が印象的でした。もっと楽しい、ちょっと懐かしい雰囲気は、店主さんのみならずその場所に関わる人のあたたかい愛が成立させていると強く感じました。



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FAAVO名古屋栄でチャレンジ中のプロジェクト「ホッとする場として街にあり続けたい。都会の氷屋さんをリノベーション!」(9/27まで)

レポート:白倉 幸治
写真:あいざわけいこ

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

澤田 知子 / 有限会社 澤田商店 取締役 (studio source 兼務)

岐阜県生まれ。2004年夫婦で店舗内装の事務所を立ち上げる。 数年前より夫の実家である澤田商店の改装や販促に携わるようになるうち、古いながらも味わいのある建物をもっと活用し、 絶滅寸前の氷卸という家業を再生する道がないかと模索を始め現在に至る。 沖縄、特に宮古島が大好きで、好きが高じて宮古島マンゴーのかき氷をメニューに入れてみました。

今回の教室

澤田商店

住所:愛知県名古屋市中区栄1-13-31
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昭和の初めより氷卸を生業とし約90年…。製氷販売と共にかき氷や焼いもを提供しております。来春のリニューアルを目指しクラウドファンディング挑戦します!もっと楽しい、ちょっと懐かしい、そんなお店を目指します。