授業詳細

CLASS


私たちは何を食べ、どんな未来をつくるのか〜奥大和の暮らしから考える

開催日時:2018年11月03日(土) 14時00分 ~ 16時20分

教室:SHAREBASE

レポートUP

先生: 東 善仁 / Next Commons Lab奥大和ディレクター
安西紗耶 / NCL奥大和事務局
中友宏 / NCL奥大和事務局

カテゴリ:【くらし/食/はたらく】

定 員 :15人

※ドリンク代として500円いただいております。
※集合場所はSHAREBASEです。
 みなさん、「奥大和」という地域をご存知ですか?

奈良県の南部エリアを指す地域名で、地図で見るとおよそ奈良県の7割くらいが奥大和と呼ばれるエリアになります。ここは自然が豊かで、高原気候を生かした有機農業や発酵醸造なども盛んです。また歴史的な社寺や史跡も豊富。いまは「移住」や「ローカル起業」をキーワードに人々が集まる地域の一つです。

 その豊かな資源を中心に、これからの「未来の食のスタンダード」を探るNext Commons Labo奥大和(NCL奥大和)のみなさんと、これからの食と農をローカルでつくるディスカッション、その為の取り組み「NCL奥大和」のメンバー募集説明会を兼ねて大ナゴヤ大学の授業を開講します。

 NCL奥大和では、コミュニティの拠点基地として、シェアキッチン+食のライブラリーを兼ねた「アグリベース奈良」の計画も進みはじめています。
アグリベース奈良は様々な人が食農のアイディアを形にしやすくなったり、アイディアを交換できるコミュニティスペースや設備があればもっと社会が面白くなる!そのような拠点を奈良につくりたい!という思いで取り組まれています。

例えば、現在、スローフード、低糖質、ヴィーガン、グルテンフリー等、食のジャンルが細分化され、それだけではなく野菜や畜産での育て方に対しても消費者のこだわりが強くなり、食のカスタマイズ性が増すなかで、食農に特化した様々情報や知見を集めたアーカイブのような場所をつくることで人と人が出会い新しいアイディアを生み出す場所をつくるということ。

そして、食品関係は衛生の問題上法律での取り決めも厳しく、”トライ”することが難しい仕組みになっています。沢山の人のアイディアの中に面白い商品構想や未来へつながる社会へのピースが1つでも多く実現されるコミュニティをつくることです。





奥大和は三重県から程近いところに位置しています。私たち、大ナゴヤ圏にも農作物の豊かな三河エリア。豊富な水産資源がある伊勢・志摩。醸造文化が盛んな知多半島、酢や味噌、醤油などの調味料も盛んです。八丁味噌といえば岡崎市。など、東海三県にも実は豊富な資源が眠っています。
 あれ、少し奥大和の挑戦しようとしているプロジェクトと似ている部分、ありませんか?

 今回の先生はNCL奥大和の事務局として活動する3人。これまでの取り組みのほか、2018年度NCL奥大和のが仲間を募集している6つのプロジェクトについて紹介していただきます。
・野菜のアップサイクリング(UPCYCLING FOR VEGETABLES)
・里山の暮らしをつなぐ宿(CRAFT TOURISM)
・やさしいパン(UNIVERSAL BREAD)
・学び育つ、里山ようちえん(SATOYAMA KINDERGARTEM)
・会いに行く料理人/みんなの食卓(LOCAL DINING)
・ビールが醸す 産業と文化(SHARE BREWARY)

 現在、奈良県で取り組む「Next Commons Labo」の活躍から、私たちも学び普段の生活を見直しませんか?みなさんの背中を押すひと時になれば嬉しいです。

 当日は、地域の味覚を楽しんでいただくためにクラフトビールや、地域ブランドのお茶などを皆さんに振る舞いたいと思います!お楽しみにしていてくださいね!

【タイムライン】
11/3(土)
13:40 - 開場
14:00 - スタート
- オープニング・チェックイン(10 - 20min.)
- NCL説明(60min.)
- 「未来の食をつくる」を考えるWS(40min.)
15:50 - エンディング・感想共有・集合写真
16:00 - 16:40 終了、アンケート回収、質問などあれば意見交換
17:00 - 完全撤収

(コーディネーター:山田卓哉)

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Next Commons Laboとは
Next Commons Lab”は、さまざまな領域で活動するメンバーが集まり、プロジェクトを通じて地域社会と交わりながら、 ポスト資本主義社会を具現化する議論と実行の場です。

奥大和の他には、遠野(岩手県)、加賀(石川県)、南三陸(宮城県)、弘前(青森県)、南相馬(福島県)、湖南(滋賀県)、西条(愛媛県)、宮崎にて活動しています。

授業コーディネーター:山田卓哉

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キャンセル料について
安定的な運営のため、開催2日前以降のキャンセルはキャンセル料を申し受けます。あらかじめご了承ください。やむを得ずキャンセルされる場合は、yamatakku@gmail.com までお早めにご連絡ください。

【キャンセル料】
2日前〜前日のキャンセル:参加費の50%
当日のキャンセル、無連絡不参加:参加費の100%
※代わりに参加できる方がおられる場合、キャンセル料は不要です。その旨をご連絡ください。
※無連絡不参加の場合、以後のご参加をお断りすることがございます。
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11月3日といえば? そう、文化の日。

皆さん、何かしら「文化的なことをしたい!」と思うのでしょうか、11月はいつにも増して、さまざまな地域でイベントが開催されているように感じます。そんな中、名古屋・伏見のsharebase.InCにて「私たちは何を食べ、どんな未来をつくるのか〜奥大和の暮らしから考える」の授業が行われました。

当日は、暑くはないけれど、ちょっと歩くと冷たい飲み物が欲しくなるような……。

そんな気温だったこともあり、ウェルカムドリンクとして用意していた水出し茶や奥大和で醸造されたビールが、一層美味しく感じられました。当日用意したのは、煎茶とほうじ茶。ヤマタク学長自らが仕込んだものです!



まずは恒例の自己紹介タイムです。
今回、授業タイトルに「食べる」「暮らし」という単語があったこともあり、食や暮らしに関心があるから、食品関連の企業に勤めているから、というきっかけの方が多いように感じました。

他にも、就職を機に名古屋で生活し始めたけれど、学生時代は奈良の学校に通っていた方や、出身が名古屋方面で、今は関東で生活しているけれど、たまたまこちらに帰ってくる用事があったから、という方も。飛び入り参加も多く、皆さんの関心の高さが伺えます。



今回登壇されたのは、「Next Commons Labo(以下NCL)奥大和」事務局の皆さまです。

奈良県出身で、編集やイベント運営、まちづくりなどさまざまな活動に取り組まれてきた東善仁さん。いつか地元に仕事を作りたいと思っていたそうで、縁あってNCL奥大和のプロデューサーに就任されました。



製薬会社の企画営業としてキャリアスタートし、食農事業立ち上げと同時に沖縄へ移住、有機農業・畜産の6次産業化に従事した後、関西に戻り会社員とNCL事務局メンバーの二足のわらじをはく安西紗耶さん。



東さんと同じく奈良県出身で、製薬会社の製造部に長年勤務し、自らの「暮らしの在り方」を模索するため、NCLへの参加を決めた中友宏さん。



それぞれ経歴の異なるお三方が、現在は事務局メンバーとしてともに働かれています。

はじめに、NCLとはどんな組織なのでしょうか?

NCLがめざすのは、「アップデートされた共同体の形の探求」。小さなムラ社会を形成していた日本は、戦後の高度経済成長時代を経て、一極集中型の社会構造が生まれました。そして現在、社会の構造は少しずつ歪みと問題が顕れてきています。

その一つ一つを個別に解決するのではなく、新たな社会構造=ポスト資本主義社会を発明する。

それがNCLの掲げるミッションです。



そしてNCLでは、このミッションを達成すべく、地域の課題と起業を紐づけ、働く現場をつくっていくサポートに取り組んでいるのです。国内10ヶ所以上に活動の場を広げており、中でも奥大和では、食農に関連する起業をサポートするべく活動されています。



……文字だけの説明だと、なんだか小難しく感じてしまいますね。

百聞は一見にしかず。NCL奥大和で進行中のプロジェクトの紹介をしていただきましょう。

と、その前に。

そもそも奥大和ってどこ!?と感じている方もいるのではないでしょうか。なんでも、奈良県南部および東部地域を総称して「奥大和」と呼ぶそうです。(……広すぎやしないかい?)

奥大和中でも宇陀市は、大阪から電車で1時間と、エリアの中でアクセスが良く、いわゆる「里山」が残る地域だそうです。そして奈良県は、薬草や薬、お茶、酒、漬物など、さまざまな「口にするもの」が生まれた土地としても知られています。

「多くの木簡が残っている、つまり歴史を記録するということが盛んになったのも、奈良がはじまりだから、発祥の地になるのも当然よね!」と安西さん。た、確かに……。

そんな歴史ある地域で活動するNCL奥大和がテーマとするのは、「未来の食のスタンダード=フードコモンズをつくる」。

このテーマを軸に、現代社会の仕組みの中で狩猟生活をおくる、馬とともに生きる社会を形成する、ハーブを用いたクラフトビールを醸造する、グリーンツーリズムなど、さまざまなプロジェクトが進行しています。

切り口は違えども、風土に根ざし、生命をつくる食を守ることが土台にあると感じました。



NCLや、NCL奥大和のことを紹介が一区切りついたタイミングで、一度アイスブレイク。

3人程度でグループとなり、どんなプロジェクトに興味を持ったのか、自分ならこんなことがしたい、といったことを話し合ってもらいつつ、質疑応答タイムです。

起業に際して、移住が伴うことがほとんどなため、「メンタルヘルスのサポートが重要」と語る東さん。メンタルケアを担う先生をつながりに持つだけでなく、事務局としても、起業する方と対話を重ねることで、寄り添うことを大切にしているそうです。



また、地域に新しい人が入ることに抵抗を感じる地元住民も少なくないことは想像に難くありません。中さんは「協力的な方が多いし、人同士のつながりも広がっています」と語るとともに、こう続けました「確かに、最初は少なからず距離があったんです」。

そんな状況が変わるきっかけとなったのは、「もの」が出来上がったことだと、安西さんも続けます。



「事務局のオフィスができたり、実際に目標としていたお店や商品などが開店したりしたことで、起業家の皆さんの『本気度』が、地域の皆さんに伝わったのだと思います。『言っていたことが、ちゃんとできたじゃん!』って。そうなると、皆さんも楽しみにしてくださるんですよね」

グループトークでは、皆さん各プロジェクトの内容や取り組みに関心を持ちつつも、「移住」「起業」という単語から、中には「自分には到底できることではない……」と、気圧されてしまう方もちらほら。(私もその1人……)

しかし「関わりたい」という思いがないわけではありません。では、何か方法はないのでしょうか?

そこで紹介されたのが、現在クラウドファンディングを行っている「AGRI BASE NARA(アグリベースナラ)」設立プロジェクト。「食+農の図書館」と「シェアキッチン」の設立に向け、現在資金を集めているところだそうです。

このプロジェクトの紹介を紹介するなかで、特に印象的だったのが「助け合う関係」という言葉でした。

トップダウンの関係性ではなく、隣り合う人たちがお互いに助け合う。自分一人だったら途方もなく大変に思えることも、少しずつシェアすることで、解決していける、人同士の関係性を、場所をつくることで醸成していきたい。

このプロジェクトからは、そんな願いが込められていると感じました。

そしてこの「助け合う関係」こそが、ポスト資本主義の在り方の一つである、とも思えました。

さて、いよいよ授業も大詰め。再度グループにわかれ、「未来の食をつくる」を考えるワークショップのスタートです。これまでの内容を振り返りつつ、自分たちだったらどんなことがしたいか、できるか、といったことをディスカッション。



こんなプロジェクトがあったらいいな、といった発想で、いろいろなアイデアがあがりました。

授業を振り返って、改めて「新しいことをする」ために、どんなことができるのかを考えるきっかけをもらえたと感じました。

起業に限らず、フリーランスとなることや、業種を変えての転職など、自分の中で「何かを変える」ということには、大なり小なり「恐怖」と「不安」がつきまとうことだと思います。

ご自身だけでなく、一緒に生活する家族や、ともに仕事に取り組む仲間がいれば、それはより大きなものとなるでしょう。

そうして、「新しいこと」に挑戦することをためらってしまう。「そこまでの強い思いはないから」と。でも、もしかしたら「“自分で”新しいことをする」だけが、選べる手段ではないのかもしれません。

「こうあったら良い」と思うことを、(物理的であれ心理的であれ)離れていても、応援できる。それが今の時代では、容易に実現できるようになりました。

「関係人口」という言葉が登場したように、自らで何かを成すだけではなく、何かを成そうとする人たちを支援する、といったことも、「新しいこと」に関わっていくための、手段の一つです。

その上で、いま、私たちにできることは何か。

改めて考えるきっかけをもらえる授業でした。



レポート:伊藤 成美
写真:あいざわ けいこ

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

東 善仁 / Next Commons Lab奥大和ディレクター

奈良県(旧都祁村)出身。WEBマガジン「greenz.jp」のプロジェクトマネージャーとしてイベント運営や編集を担当し社会課題やまちづくりに関心を持つ。団地集会所を活用したコミュニティルーム「茶山台としょかん」の運営を経て、地元での新しい働き方にチャレンジするためNext Commons Lab奥大和のディレクターに。神戸と二拠点を往復しながら里山と都市の関係づくりを実践中。兼業米農家の長男。

安西紗耶 / NCL奥大和事務局

兵庫県(赤穂郡)出身。2008年ロート製薬に入社。企画営業部門に従事。健康の根源にある食と農の重要性と可能性を感じ、生産現場の課題解決に挑戦したいと、2013年に同社の食農事業の立ち上げメンバーとして沖縄県石垣島へ移住。有機農業・畜産の6次産業化に従事。主に養豚現場で、地域資源での飼料開発や肉質向上と環境負荷の軽減の両立など、循環型畜産モデルへ取り組み、離島発のブランド豚を立ち上げる。2015年よりフィールドを関西へ移し、官民連携による食農産業創出・ソーシャルビジネスへ取り組みを担当している。

中友宏 / NCL奥大和事務局

奈良県(山添村)出身。2006年ロート製薬入社。11年間工場の製造部で勤務する中で、資本主義の大量生産、大量消費の流れの限界を肌で感じ、そのような仕組みだけではない新しい生き方・働き方を模索したいとNext Commons Lab奥大和の事務局メンバーとして社内公募でジョイン。主に人事総務・施設管理業務を担当。2児の父で食の在り方の大切さ、里山での暮らしを子供にも伝えながら活動中。

今回の教室

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