授業詳細

CLASS


名古屋は輝く「国際都市」だった?~戦前名古屋と松坂屋初代当主から探る~

開催日時:2019年02月09日(土) 13時00分 ~ 16時00分

教室:揚輝荘

レポートUP

先生: 高木 傭太郎 / ちくさ文化の里づくりの会 会長 
揚輝荘ボランティアガイドの皆さん /

カテゴリ:【歴史文化/国際】

定 員 :15人

※参加費は300円です。(南園拝観料)
※本授業への申し込みは抽選方式です。2019年1月25日(金)23:59まで抽選を受け付けます。(抽選は2019年1月26日(土)に行います。)
※抽選後、定員に満たない場合やキャンセルが発生した場合は2019年2月8日(金)13:00まで先着順で申し込みを受け付けます。
※受付場所は揚輝荘北園入り口テント前です。12:45から受付開始します。
※講義会場は揚輝荘北園会議室です。
※揚輝荘園内を歩きますので、暖かい服装でお越し下さい。
現在策定中の名古屋市次期総合計画(2019年度から5年間想定)では「名古屋を国際都市」にしていくという方向性が発表されました。(中日新聞朝刊2018.08.18 18面 市民版)

このように「名古屋を国際都市にしていこう」という試みは、実は戦前の名古屋にあったということをあなたはご存知でしょうか?日中戦争前の1937年の3月から5月まで「名古屋汎太平洋平和博覧会」という日本初の国際博覧会が現在の名古屋市港区で行われていたのです!この事実、知っていましたか?

さらに、名古屋の代表的な百貨店といえば松坂屋。

2020年に、松坂屋大丸は名古屋市と共同で新店舗の開発を行うことが昨年10月に発表されました。(中日新聞夕刊2018.10.11 1面)

この松坂屋当主も戦前名古屋の都市発展に多大なる影響を与えています。さらに松坂屋初代当主である伊藤次郎左衛門祐民(すけたみ)(1878-1940)はシャム(現在のタイ)、中国などのアジア諸国と深い国際交流がありました。

今回の授業ではこれらの背景をもとにして、松坂屋初代当主伊藤次郎左衛門祐民(すけたみ)の名古屋における国際交流活動、そして日中戦争前に行われた名古屋汎太平洋平和博覧会をテーマに、名古屋の国際都市化について考えてみたいと思います。

まず前半は揚輝荘北園の普段は入れないモダンテイストな会議室で、ちくさ文化の里づくりの会の高木さんに伊藤祐民の活躍、国際交流事業の話、そして日中戦争前に催された名古屋汎太平洋平和博覧会について話していただきます。日中戦争前当時の貴重な映像も見せていただけます。

後半は揚輝荘北園・南園をガイドの皆さんの案内で巡ります。伊藤祐民の国際交流の片鱗を見たり、当時のモダン建築を味わったりしてみましょう。

名古屋の知られざる国際都市の一面を学んでみませんか?

<スケジュール>
12:45 受付開始
13:00 授業開始 導入
13:05 講義    
14:00 北園見学
15:00 南園見学
15:40 感想共有、アンケート記入
16:00 終了

(授業コーディーネーター: 進藤雄太朗)

四季折々の表情を見せ、主である松坂屋初代当主 伊藤祐民さんの遊びが心が溢れるモダン建築「揚輝荘」にて、国際都市 名古屋を探る授業が幕を開けました。



まずは、揚輝荘修繕当初から関わって来られた、ちくさ文化の里づくりの会 会長 高木 傭太郎さんを講師にお招きして、写真や当時の貴重な映像を交えて名古屋が100万人都市に成長してゆく道程と、飛躍的に国際化を進めた「汎太平洋平和博覧会」についてお話いただきました。



博覧会は480万人もの人々で賑わい、映像からも目を引く建物や国内外問わず楽しげな人々が溢れ、空前の発展が垣間見えました。

旧き街の発展に水路が不可欠だったように、近代の街も「港」や「鉄道」といった人や物の流れが重要なこと、そしてとりわけ私鉄周辺の開発の様に、それを担う当時の豪商が発展の鍵を握っていたようです。



名古屋は早い段階で行政が鉄道の権利を得たため、他の大都市と比べ整然とした開発を遂げたそうですが、伊藤祐民さんはじめ名古屋の豪商達の経済的な協力や、海外視察で得た見識を活かした舵取りが発展に欠かせなかったと思います。

講義の最後に先生は、祐民さんは国際交流の在りかたを「力で抑えつける」ではなく「友好を築く」ことに重きを置いたとお話下さいました。



講義で祐民さんに親しんだ後は、ガイドさん達に揚輝荘を案内いただきました。





訪れた人を楽しませる仕掛けがたっぷりで、各地の珍しい建物の移築や、お客様をビックリさせる隠し通路、旅先での感動を形にしたもの、外の光や風景と調和したものなど、二時間ほど見て回っても時間が足りない位盛りだくさんでした。







ガイドさんの温かい人柄が滲み出る楽しい語り口で、お客様も笑顔が絶えない時間でした。



案内の途中、地下室にてガイドさんと高木先生が「自分達が関わった当初は荒れており、地下室も水が溜まっていた」と話して下さって、今目の前にある美しい揚輝荘は、こうして守って来られた方々のご尽力の賜物でもあるのだと胸が熱くなりました。



私個人の感想なのですが、万博で国際交流を築いた名古屋も、人々を助けたり楽しませる祐民さんも、「力」ではなく「相手を驚かせたり喜ばせたりして心を掴み、信頼を得て味方にしてしまう」所が似ていて素敵だと思いました。

今だからこそ、こうした名古屋らしい国際交流が多くの方々に浸透していったら嬉しいと思います。

生徒さんも「是非また足を運びたい」と皆さん喜んで下さって、良い授業になって本当に良かったです。



レポート:かな
写真:大野嵩明

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

高木 傭太郎 / ちくさ文化の里づくりの会 会長 

1947年名古屋生まれ。名古屋大学文学研究科日本史専攻博士課程単位取得退学。 大学院時代は織田信長の研究、その後重点を近代も含む東海地域史研究に移す。 東海地域の大学非常勤講師を長年勤めながら、名古屋市史・東浦町史の編さんに参加。その一方、東海地域各都市の社会教育の講師を務めながら、ちくさ文化の里づくりの会(代表)・志段味の歴史と文化に親しむ会(世話人)等、名古屋市内の歴史と文化を生かした街づくりに参加している。

揚輝荘ボランティアガイドの皆さん /

今回の教室

揚輝荘

住所:名古屋市千種区法王町2丁目5−17

名古屋市営地下鉄東山線「覚王山」駅下車、北へ徒歩10分
地図を見る

松坂屋創業者・伊藤次郎左衛門祐民氏の別邸。
現在は名古屋市に寄贈され一般公開されている。
建築・歴史・庭園など多面的なまちづくり資源を有する貴重な建築。