授業詳細

CLASS


自分の舌をどこまで信じる?お菓子から見つける「わたしのいいもの」

開催日時:2019年05月18日(土) 15時00分 ~ 17時30分

教室:モーヤーコ

レポートUP

先生: 山口未樹 / 認定特定非営利活動法人ポパイ理事長
宮本恵美子 / 焼き菓子Noisette(ノワゼット)オーナーパティシエ
服部浩太郎 / 隠れ家ギャラリーえん店主

カテゴリ:【くらし】

定 員 :15人

※申し込み期間:5/17(金)14:00迄
※参加費:2,000円頂戴致します。(当日のお菓子代を含む)、別途1drinkをお願いしております。
※集合場所: モーヤーコ
名古屋市北区志賀南通2-51<地下鉄黒川駅 4番出口 徒歩3分程度>
(東側の駐車場を入って,建物東側出入口よりお入り下さい)
「いいもの」をつくれば売れる時代は終わったと言われます。

PRや広告は必ず必要な時代になり,
そしてさらに今は個人が商品と共に自らのキャラクターや商品ストーリーを
うまく発信して皆さんの手元に届くことが増えました。

自分が良いと思った商品を買うときに,
素敵な広告で,とても人柄が素敵な店員さんに対応してもらえると
とっても満足だし,嬉しいですよね。

でもそれってホントに「いいもの」だったのかな?


今回の授業では,小さなお子さんから大人までみんな大好きな「お菓子」を食べながら,
皆さんにとってホントに「いいもの」を探ります。

情報を隠したいくつかのお菓子を食べてみて,価格を自分なりに考えて頂きます。
その後にそれぞれのお菓子をつくっている方に材料,商品ストーリー,生産過程のお話しを伺います。

お話しの後は同じ価格になるのか?
あなたが感じた「いいもの」は商品なのか?
あるいは店員さんの対応なのか?
実は違う何かかも?
お菓子にぴったりなコーヒーも一緒に飲みながらゆっくり考えます。

広告あるから良し悪しでもなく,
友達が言っているから良し悪しでもなく,
見た目や雰囲気に騙されない
あなたの「いいもの」を一緒に探してみませんか?

<スケジュール>
15:00 授業スタート,自己紹介(10分)
15:10 アイスブレイク(名前を伏せたお菓子をつかった価格付けWS)
15:25 各お菓子のプレゼンテーション
15:55 改めて値付けWS(自分にとっての価格を考える)
16:10 コーヒーのプレゼンテーション
16:25 価格発表(設定された価格差の理由を言葉にしてみる)
16:45 プレゼンテータークロストーク
17:15 まとめ,記念撮影
17:30 授業終了

【授業コーディネーター名】
山田卓哉 酒井悠行
木のぬくもりが感じられる施設内の作業場所。
ここは移転して間もない焼き菓子やオリジナル商品を扱う
就労継続支援施設モーヤーコ。

こんな素敵な場所で行われる今回の授業は
「わたしのいいもの」について。

広告や商品のストーリー、原材料、お店での対応…
様々なことが一つの商品に含まれていることが多い。
ではこのような情報抜きで商品を手に入れた時
自分はその商品の価値をどうとらえるのか。
それを試してみよう!という授業。

11人の生徒さんが集まって授業スタート。
「福祉関係の仕事をしていて興味がありました。」
「おいしいお菓子が食べれるから来てみました」
と様々な授業参加のきっかけが聞こえてくる。

今日の授業の流れは
2つのお菓子を情報がない状況で食べ、価格付け。
その後それぞれのお菓子のプレゼン。
最後にもう一度同じお菓子を食べ再度価格付け、
という流れ。

では3チームに分かれて早速実食。
AとBの二つ抹茶のパウンドケーキが
生徒さんの前に用意された。






小豆が入ってる!こっちはチョコ!
Aはスタバっぽい。好きだなぁ!
Bはなんとなくこだわっている感じがするな!
などなどいろんな声が各チームから聞こえる。




そしてテーブルごとに平均価格発表。
Aの方が若干Bよりも平均価格が高い結果に。

次はA・Bそれぞれの
パウンドケーキのプレゼン開始です。

「プレゼン後は価格上がらないとダメかな~(笑)」
と冗談を言って話し始めたのが
今回の教室モーヤーコの運営をしている
NPO法人ポパイの理事長、山口未樹先生。



2005年NPO法人ポパイの設立で
障がい者支援に関わることに。
初めてのことで何をすればよいか試行錯誤の日々を
過ごしていた中、お菓子作りしてみたら?
という声をかけられ軽い気持ちで開始。

特にこだわりもなく始めたため、
たくさん作って安く売ることをしていたが、
売れないし売れても利益が少ない。
では逆に環境にやさしく・
体に負担のかからないお菓子を
届けたいという想いをのせて
価格が高くても共感してくれる人に
買ってもらうことにしては、と考え方を変えた。
そしてお店の名前にも想いをこめた。

「もーやーこ」とは名古屋弁で
「わけっこ、持ち合い」を表す言葉。
いろんなものやアイディアをわけっこ、
持ち合いできたら、という想いからこのお店の名前に。



買った人へのメッセージ、与えるイメージ、
作り手の想いがたくさん詰まった、
詰めすぎているかなと
時々想うパウンドケーキです。

とAのパウンドケーキのプレゼン終了。

次はBのパウンドケーキのプレゼン。

少し緊張しながら話し始めたのは、
焼き菓子Noisette(ノワゼット)のオーナーパティシエの
宮本恵美子先生。



2018年8月から豊川という土地で仕入れから販売まで
全て一人でお店を切り盛りしている。
もちろん価格付けも。
このお店ができるまでを宮本さんは
熱い想いで語ってくださいました。

専門学校に通った後、数年間の修行後、
23歳の時に一般の会社に転職。

しかし、せっかく学んできたことを活かしたい、
という思いからまずは月一で焼き菓子の販売を開始。
本格的にお店を持つことを考え、
空き家を改装してお店を構えることを目指した。

初のクラウドファンディングに挑戦するも、
様々な壁にぶつかった。
しかし応援してくれる方々のおかげで目標金額達成!
お店のリノベーションもすべて専門の人に任せず、
自分で手をかけられるところは仲間と行った。
こうすることで今後同じように
豊川で新しいことを始めたい人ともつながれ、
道しるべにもなりたかったという。

宮本先生のパウンドケーキは
出来立てを届けたいという想いから、
脱酸素剤を使わず、
また添加物も使わないというこだわり。
豊川でお店をするので、その土地の食材を使ったり、
価格設定も適切な価格を考えたりしているとのこと。



二人のプレゼンを真剣に、
中にはメモを取りながら聞いている生徒さんたちは
聞き終わった後、
2つのパウンドケーキを再実食。
今度はテーブルごとに相談してA・Bの
価格を決めてもらうことに。




考えている間にコーヒーのいい香りが。



この授業3人目の先生、「隠れ家ギャラリーえん」の店主
服部浩太郎先生が奥様と一緒に
一つ一つ丁寧にコーヒーを淹れてくださっている。
各チームの価格付けが終わったころに
コーヒーのプレゼン開始。

「“カフェ”を“発明”だと思っています。」
と服部先生。
それはコーヒーを飲む空間は、
交流の場にも議論の場にもなり
新しいものが生まれる場になり得るから。
そんな場に合うコーヒーにするため、
雑味や濁りのないコーヒーを提供している。
そうすれば長時間話しながら
飲んでいてもずっとおいしく飲めるから。
無農薬のコーヒーを使っているが
お店でそのことを主張することはしない。
それは何気なく手に取ったものが
無農薬やオーガニックのものであってほしい
という想いから。

今回用意していただいたコーヒーは
“甘くて苦い”コーヒーと
“さわやかで軽い”コーヒー。
この2種類のコーヒーはポパイの利用者さんが
描いた絵からイメージして作ったという。
パッケージから作ることは初めてで
面白い挑戦だったと服部先生。



おいしくて想いの詰まったコーヒーと
パウンドケーキをいただいた後に、価格発表。

1回目の結果よりも価格が上がったり、
両方とも同じ価格になったり、全く変わらなかったり。

話を聞くと価格を上げたくなるが、
客層や売る場所を考えると簡単には変えれない。
やっぱり第一印象が本当の自分が思う価格だと感じる。
一人で1全部行っていたり、
こだわりがあるなら価格を上げてもいいと感じた。

と様々な結果に。実際の価格も発表された。



各チームの意見を聞き、
あえて価格を上げないという考えに驚いたという声や、
PR方法に左右されがちなこの時代に
きちんと自分の基準で選ぶ人がいることに安心した、
という先生の感想も聞けた。

授業の最後のクロストークでは
“価値を感じるときは何か”という話題に。
限定とか希少性のあるも・自分の気分が上がるもの・
作り手の想いを知ったものを手に入れるときなどなど。
価格は気にせず自分が「いいな」って思うものに
価値を感じるという声が多く感じた。

「わたしのいいもの」それは一人ひとり違う。
私にとっていいものは
今までの経験で自分の中に形成された価値観に基づいて
「好き」とか「ほしい」って思えるものかなと
今回の授業を通して個人的に感じた。
そしてそれはこれからも変化していくのだろうなと、
考えることができた授業でした。



レポーター:加藤千明
写真:石坂喜和

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

山口未樹 / 認定特定非営利活動法人ポパイ理事長

1974年4月生まれ。2005年NPO法人ポパイの設立に関わり職員へ。はじめて障がい者支援に携わり試行錯誤の日々を送る。2011年に美術家によるワークショップの開催をきっかけに、施設に創作活動を取り入れる。障がい者の“表現”を仕事と捉え、国内外で様々な活動を展開する。2019年文化庁「障がい者による文化芸術活動推進事業」を受託し、障がい者の国際交流と舞台芸術の発表を行う。 2012年2月より同法人理事長。社会福祉士、精神保健福祉

宮本恵美子 / 焼き菓子Noisette(ノワゼット)オーナーパティシエ

1990年愛知県豊川市産まれ 幼い頃からパティシエになるのが夢で、高校卒業後18歳で、大阪あべの辻製菓専門学校に進学。 1年後19歳で尾張一宮市のPatisserie RÉGAL、21歳で東京渋谷区 PatisserieVIRONにて修業を積む。23歳で地元に戻り、一度会社員に転職したものの、自分の可能性をもう一度試すため、豊川市のレンタルスペースFun Factoryにて月に一度の焼き菓子屋を始める。その後、周りの人の協力もあり2018年8月、焼き菓子Noisetteを開業。 開業にあたり、クラウドファンディングに挑戦、お店のDIYなど、次に続く人への道標になる取り組みもした。

服部浩太郎 / 隠れ家ギャラリーえん店主

1978年4月生まれ。学生時代の海外研修でコーヒーの魅力に目覚め、2003 年、生まれ育った名古屋市南区の古民家でカフェ「隠れ家ギャラリーえん」をオープン。自家焙煎コーヒーをメインにイベントや稽古ごとなどを開催しつつ、カフェとは?を考え続けた結果、地域の交流の場・わが町をもう一度元気に!との思いが生まれ、2006 年より「えんの縁日」を開催、2009 年より「わがまちを元気にする会」を設立。カフェから生まれる文化を地域に発信、地元神社でのマルシェ主催等、地域が元気になるよう活動。2017年より移動カフェ& 図書館「ひふみよBook&Coffee Stand」をオープンし、人がふれあう場とコーヒーを掛け合わせた場を展開。「街とコーヒー」が密接な関係であり続けられるよう活動している。

今回の教室

モーヤーコ

住所:名古屋市北区志賀南通2-51
地下鉄黒川駅 4番出口 徒歩3分程度(黒川交差点サイクルJOYさんの隣)

地図を見る

モーヤーコは障がい者の方の働く場です。主にお菓子の製造と販売を行います。『からだにやさしいおいしいおやつ』をコンセプトに、『安心・安全』なお菓子を目指して、材料はできる限り国産やオーガニックのものを使用しています。新しくって楽しい!と思えるような仕事場を障がい者と一緒になって造り上げていきたいと思います。
http://mo-ya-co.info/welfare.html#moyaco