授業詳細

CLASS


みんなで覗いてみようカーテンの向こう側
~子宮頸がん検診バーチャル体験授業~

開催日時:2012年04月14日(土) 15時00分 ~ 16時45分

教室:咲江レディスクリニック

レポートUP

先生: 丹羽 咲江 / 産婦人科医 咲江レディスクリニック 院長

カテゴリ:【くらし】

定 員 :10人

※1:本授業の抽選は2012年4月5日(木)に行います。(抽選予約受付は4月5日(木)13時までとなります。)
※ 2:抽選後、定員に満たない場合やキャンセルが発生した場合は、2012年4月12日(木)18時まで、先着順でお申し込みを受付いたします。
※3:本授業は女性限定となっています。また当日は女性スタッフのみで運営します
※4:12時45分より受付を行います。



ちまたでは最近「子宮頸がん」の発症年齢の若年化がニュースで流れるようになりました。SEX経験のある約80%の女性が日常的に感染するウィルスが原因の「子宮頸がん」。
そのほとんどが免疫力などによって排除されていくとはいわれていますが、毎年15000人もの女性たちの体内で自覚症状のないままに進行し、一日約10人がいのちを落としている他人事ではない病気なのです。

2009年より子宮頸がんを予防できるワクチンが日本でも認可されましたが、みなさんはこのワクチンで予防できるのは全体の60%~70%ということを知っていますか?
そして、ワクチンと子宮頸がん検診を合わせることで、ほぼ100%の予防が可能ということを知っていますか?

でも、検診ってあの診察台に乗って足を開いて・・・。
恥ずかしいなぁ。痛そうだなぁ。怖いなぁ。女の先生じゃなきゃ嫌だなぁ。
ワタシはまだ若いから。ワタシだけはきっと大丈夫。 
そんな風に思って検診に踏み出せていない方も多いはず!

「がん」と聞くと、すごく怖いイメージになってしまうけど、誰にでもかかりうる可能性のあるものは、誰にでも知っていてもらいたいもの。
大切なヒトを大切に想うように、自分のカラダも大切に想ってほしい。

そこで、今回は婦人科に行ったことがない方も、定期健診で何度も行ったことがある方も、ちょっと恥ずかしいけど見てみたい。診察台ってどんなものなのか、カーテンで仕切られてる向こう側で何が行われているのか。。。
みんなで覗いてみませんか?
そして、初めてという方にはぜひ!バーチャル体験をして恐怖心や抵抗感を少しでもなくしてもらえればと思います。

今回の先生は、女性の心とカラダを見守るホームドクターとしてナゴヤ女子から絶大なる信頼を集めている産婦人科医、咲江レディースクリニックの丹羽咲江院長です。
クリニックの待合室は、いつも超満員。 
先生もスタッフも全員女性だから。というだけではない、ココロの通った診療やカウンセリング。他にはどんな魅力があるのかは参加したみなさん自身が感じとっていただければと思います。

子宮頸がんのレクチャーって講義はあるけど、実際に体験できるのは大ナゴヤ大学ならでは。
今回は、デリケートなお話もでてくるかも。ということで、女性限定の授業となっていますので、シェアリングタイムでは女子トークでいっぱいになるはず。

恥ずかしがらずに、みんなでカラダのこと、考えてみませんか?



【教室】
咲江レディスクリニック  (池下駅 徒歩3分)

【授業の流れ】

14:45~     受付開始
15:00~15:05 ボランティアスタッフより授業の説明と注意事項
15:05~15:15 参加者 30秒自己紹介
15:15~15:45 子宮頸がん勉強会
15:45~16:05 子宮頸がん検診バーチャル体験&アンケート
16:05~16:30 アンケートをもとにシェアリング
16:30~16:45 全体写真撮影・質疑応答・授業アンケート記入




(授業コーディネーター / 難波ミチヲ・松林あゆ美)


協力:「子宮頸がん」啓発プロジェクト ThinkPearl(シンクパール)
    http://thinkpearl.jp/

がん検診のバーチャル体験?!・・・
と思ったアナタ。そう、女性はもちろん、男性にも知っていてもらいたい子宮頸がん。
実は、誰でも感染する可能性のあるウイルスが原因で発症する病気なのです。
でも、ご心配なく・・・ほぼ100%予防する方法があるのです!
とにかく定期的な検診がたいせつ!!でも、ちょっぴりいきづらいなという声も多い婦人科クリニック。

今回は、女性のみでそんな子宮頸がん検診のバーチャル体験を通じて、カラダのことを真剣に考えてみました。

一見ここに病院が?というごく普通のビルの3階、エレベーターを降りると、かわいらしいステンドグラスが訪れた人の心を和ませてくれる、咲江レディスクリニックが今回の教室です。

ほぼ時間通りにぞくぞくと生徒さんが集まって恒例の30秒自己紹介からスタート。
授業に出席するのは初めてという方から2年前のシンクパールの授業にも参加されていた生徒さん、いきつけの産婦人科がない、男性の先生がこわい、友人が擬陽性らしい…など、30秒では語りきれない悩みをお持ちの方も・・・

今日の先生、咲江レディスクリニック院長 丹羽咲江先生をお迎えして授業開始です。

【子宮頸がんについて】
プロジェクターと参考プリントを用意して、Q&A方式でわかりやすく進めていただきました。
Q1:日本人女性全体での部位別がん罹患率が一番高いのは?子宮である。
答え ×  乳がん 

子宮がん  =子宮体がん 更年期以降に多い
               初期から不正出血がみられる。
      =子宮頸がん  30〜50代
               若い人に多く、初期は自覚症状がない
       
Q2:子宮頸がんの罹患率、発病のピークは25~29歳?
答え × 
  罹患率は35~39歳がピーク。20代〜急激に増加する。

Q3:20~39歳の日本人女性10万人あたりの各種がん発症率。最近、急激に増えているのは子宮頸がんである?
答え ○
   日本では一年間に12000人が発症。3000人が死亡
   欧米に比べて検診率が低いために急激に増加している。

Q4:子宮頸がん検診を積極的に受けていれば、がんを予防できる?
答え × 予防はできません。
   早期発見、早期治療のために子宮頚部細胞診を受けて!!
   かわいらしい女の子のイラストがスライドに出たのをポインタで指しながら
「これ、私です」と咲江先生。次のスライドに回したかと思いきや再度戻して
「これ、私なんです(笑)」とってもお茶目な部分をお持ちでびっくりしました。
まじめな話続きで固くなっていた生徒さんの表情も和みました。
子宮頸がん検診にかかる費用は名古屋市の場合、20歳から40歳まで5年ごとに無料クーポンが送付され、それ以外の年齢の場合、2年に1回は自己負担500円で検診が受けられます。検査法は頚部を綿棒擦過する細胞診を行い、クラス分類し、擬陽性の場合はコルポスコピーという拡大鏡で観察します。
最近では、HPV検査と併用するとさらに精度が高く安心な検診も実施されはじめています。

Q5:子宮頸がんの原因は、ウイルスである。
答え ○
   ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染が原因。
   HPVは15種類あるが、その中の16型と18型が検出頻度の高いウイルスで60~70%を占める。10代の頃に性交感染し0.15%がガン化する。
   がん治療については、手術療法(円錐切除→単純子宮全摘術→広汎子宮全摘術)、放射線治療、化学治療となる。
   
Q6:HPVワクチンを接種すれば、子宮頸がんを100%予防できる。
答え ×
   性交開始年齢が低くなったり、結婚出産年齢が上昇しているなどの社会的背景もあり、若年発症の子宮頸がんは増加の一途をたどる。性交前に接種すると一番効果が高い。12歳前に接種すれば、社会的損失を190億円も抑制できる。
   ワクチンは3回接種するが、1回16000円~20000円で60~70%予防できるため、未来への投資と考えると安価?予防効果は年齢が若い方が高い。40代まで接種しても検診は受けるべき。お医者さんによって、お勧め検診間隔はまちまち…2年に1回では忘れるため毎年検診を受診するのが一番おすすめします。

と、ここまでが先生のお話でした。
生徒さんから感想を述べてもらいました。

「お付き合いしている人がいないために検診に行かなかった。」
「モチベーションアップにつながった。」といった感想が上がりました。
先生からは受診にあたってのとっておきの裏技なども伝授していただきました。
さて次はいよいよ…内診室を覗いてみます。



【内診室体験】
生徒さんを2つのグループに分けて、まずはAチームから内診室へと移動。Bチームには事前アンケートをもとに受けやすい検診とは?について考えてもらいます。

内診台に乗ったことがない人から順番に乗ってもらいました。
緊張した面持ちで座ると

先生:「じゃあ、上がりますよ」
生徒:無言
ウイィィーン(台が上昇)
   「ゆっくりでしょ?緊張するよね~」

上がりきったところで、後ろに倒れて足が開いていきます。

生徒:「こんなに上がるんですか?!」「ウォーイ!!」「うひゃあ~」

いろいろな声が聞かれて見ている人たちも自然と笑顔に。カーテンも下ろしてみて、ガチャガチャと器具の音を立てると、乗っている人は大体、不安に顔が曇ります。
カーテンを開けて、先生が器具の説明をします。

おおよそ15分でチーム交代です。

検診に使う器具はステンレス製のクスコとエコーと綿棒。それぞれ感覚は異なります。
クスコにはサイズがいろいろあり、メーカーによっては体に合わない場合もあり、違和感を覚えたりします。先生の使用しているものは特注品も。実際に触らせてもらえてびっくりしていた生徒さんも!
エコーはおなかの上から見るものが一般的ですが、脂肪により見にくいため産婦人科領域は膣の中にエコーの機械を入れて見ると、子宮や卵巣ががよく見えるそうです。

毎年、会社からのすすめで検診を受けている方は余裕もあって、内診台の上でもカメラに向かってピース。

カーテンを閉められてしまうと、音だけで怖いイメージを持ってしまい、同時に恥ずかしかったり、緊張して不安が募ってしまいがち…でも、実際にやっていることがどんなことかを知っておけば、気楽になれます。

チーム全員乗った後は、内診台を囲んで集合写真。
みんな笑顔です。

【グループワークのまとめ発表】
Aチーム
①感想
産婦人科が身近じゃなかったから検診を受けなかった。
 カーテンの向こうの音が怖かった。
 何も言われず、研修生が見ていた。
 閉じ込められたままで怖かった。
 というマイナスのイメージから、今日、どんな器具を使ってどんな診療をするのかを知ることができて、とてもよくわかったため、検診に行こう!という気持ちが生まれた。
②行きやすい検診制度とは?
 同じ会社の男性も子宮頸がんを知っていて、ワクチン接種してる?と聞かれることがある。(保険会社に勤めている生徒さん)
 男性やファミリー向けの勉強会があるといい。
 バレンタインデーに検診に行こう!などの啓発広告をチョコレートの裏にさりげなく載せる。
 楽しくておもしろいイメージがあれば検診に行きやすいのでは?

Bチーム
①感想
 初めて訪れた産婦人科で年配の男性の先生が威圧的で気持ち悪かった経験がトラウマになってしまった。
 気軽には近寄りがたい産婦人科の情報口コミサイトのようなものがあると嬉しい。
②行きやすい検診制度とは?
 検診率が低いのは知らないため?ならば大学に献血車が来るように、教育機関で学ぶ場があると検診率が上がるのでは?

【先生のまとめ】
婦人科は他の科と違って、受診しにくい病院です。そこで、受診しやすくするにはどうしたらいいか伝授します。実際に、内診したり検診したりする時間はほんのちょっとだということを覚えておいてください。受診される方の中には結局何をどう診たらよいのか心配な内容が伝わってこない患者さんもいるので、おすすめの方法は―

★ 聞きたいことを、メモに5つぐらい箇条書きにする。
★ その中で絶対これだけは!という項目にチェックする。
★ 女医さんしか嫌だ!という患者さんが多くて、どうしても女医さんのいる病院が混雑しがち。男性の先生にもいい先生はいるので、探して欲しい。混んでる病院の先生だって人間だからイライラすることもあります(笑)


最後に、事前アンケートで生徒さんからの質問にお応えいただきました。

Q、妊娠しないと病気が起こる?
A、出産年齢が高齢化して、検診を受けないで、40歳くらいになって妊娠したからと婦
人科に初めて受診したときには、子宮筋腫が見つかったり、子宮内膜症が発症していたりと、出産にも関わってくる病気が見つかることもあります。なるべくちゃんと検診をして欲しい。
 
 Q、友人が、子宮頸がん擬陽性です。開腹手術を勧められているが、そこまでするの?
 A、子宮頸がん擬陽性での開腹は考えにくいと思います。民間療法は危険なので、セカンドオピニオンをお勧めします。

 Q、月経前症候群がひどいので、その対策を教えてください。
 A、月経前症候群の症状のひどい方は、食生活の乱れやカラダの冷えが強い方が多いです。コーヒーやチョコレートが大好き、飲酒する方は血液循環が悪くなりやすいの強で食生活を見直してみてください。ストレッチや1日5分でもいいのでウォーキングをして、体の歪みをチェックしてみて。あとは、黄体ホルモンに大きく関係するため、必要に応じて、ピルを処方します。ピルを使うと著明な改善がみられ、とっても元気になられる方が多いです。

ほかにも質疑応答を受け付けました。

 Q、ヒトパピローマウイルスは男性には感染しないのでしょうか?
 A、 感染します。男性の場合は陰茎がんというがんにはなるのですが、70代くらいにしかなりません。

最後に、授業コーディネーターの難波さんから…
いつもいろいろな話を先生から聞いて、大変勉強になります。自分の体を守る責任、大切な方へ、今日、勉強したことを伝えましょう。ありがとうございました。

授業を通して、いろいろなことが勉強できて、本当に充実した時間がすごせました。
とある、生徒さんは授業後、今夜、彼氏と相談します。と言っていました。
前向きでとても嬉しいコメントでした。
非常に内容の濃いオトナな授業を聞くことができて、大変嬉しく思いました。
授業に協力していただいた関係者のみなさまに感謝します。
ありがとうございました。



(ボランティアスタッフ:鬼頭敦子)

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先生

丹羽 咲江 / 産婦人科医 咲江レディスクリニック 院長

昭和60年4月名古屋市立大学入学 平成3年3月名古屋市立大学医学部卒業 平成3年5月国立名古屋病院勤務(現名古屋医療センター) 平成8年4月名古屋市立城北病院勤務(現名古屋市立西部医療センター) 平成14年1月咲江レディースクリニックを開院。 国立名古屋病院では主に婦人科悪性腫瘍に携わってきました。 名古屋市の周産期医療センターである名古屋市立城北病院では、名古屋市内から搬送されるハイリスク妊娠、分娩などに携わってきましたが、もっとゆっくりと患者さんたちと接し、じっくりと話を聞きながら患者さんの悩みを解消していきたいと思い、クリニックを開設しました。  現在高校3年生の女の子のお母さんです。 (2012年4月現在)

今回の教室

咲江レディスクリニック

住所:名古屋市千種区池下町2-15 ハクビ池下ビル3F
地下鉄東山線 池下駅1番出口 徒歩3分

TEL:052-757-0222


(お問い合わせは所在場所についてのみ、お願い致します。
 授業内容につきましては、大ナゴヤ大学までお尋ねください。)
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