授業詳細

CLASS


みんなで撮って、学ぶ『映画ワークショップ』

開催日時:2009年10月10日(土) 13時00分 ~ 17時00分

教室:SEANT(セアン) 2Fスペース

レポートUP

先生: 杉田 協士 / 映画監督・番組ディレクター

カテゴリ:【アート/カルチャー】

定 員 :12人

※1:本授業は、費用として1,000円(映像機器、備品等の利用代金)が必要となります。
※2:本授業の抽選は2009年10月6日(火)に行います。(抽選予約受付は10月6日(火)正午までとなります。)
※3:抽選後、定員に満たない場合やキャンセルが発生した場合は、2009年10月8日(木)18時まで、先着順でお申し込みを受付いたします。


動画ってむずかしい。どうやったら映画みたいなムービーが撮れるの?
少しのコツやテクニックを学ぶことで、いつもとひと味違う、雰囲気のあるムービーが撮れるようになったら楽しいと思いませんか?

普段は観客として“観る”立場で接している映画。これを、誰でもできるやり方で撮ってしまおうというのがこのワークショップです。
授業では、参加者全員に簡単な映画づくりをしてもらいます。
どんな映画をつくるかは当日までのお楽しみ!
使用するのは家庭用ハンディカム。必要な操作はただ一つ、録画ボタンを押すだけ!
むずかしい知識も高度な技術も全く必要ありません。当日までに準備するものもナシ!

これまで“観る”ものだった映画を“撮ってみる”ことで、きっとそれまで意識していなかった「観る力」に気づくことができるかもしれません。
映像を撮るってむずかしい!そう思っている人も、肩の力を抜いてどうぞお気軽にご参加ください!
意外にシンプルな映像撮影の楽しみ方、見つけてみませんか?

【授業の流れ】
13:00〜 先生、生徒自己紹介、ガイダンス
13:30〜 映画撮影開始
16:00  映像発表会
16:30  評論
17:00  終了

(授業コーディネーター: 佐藤 嘉宏)
具体的な授業内容は分からないものの、実際に「何かを撮るんだ!」ということで、
かなり前評判・人気の高かったこの講座。
4倍の倍率をみごとくぐり抜けた11名(小学2年の少年含む!)が集合されました。

教室は栄のSEANT(セアン)。
通常は関係者以外立ち入り禁止の2階が教室です。
このスペース、実に不思議な空間で、板の間のだだーっと広い一部屋に
いろいろなものが雑多に置かれています。
カーテンの生地見本、カーペット、テーブル&椅子、カウンター、観葉植物、自転車・・・
そして、なんとも中途半端なところに柱があったり、窓にはピンクのブラインドがあったり。
ここが教室に選ばれたことじたい、これから始まる授業がなんだか楽しみになります。

開始予定時刻になり、まずは自己紹介。
杉田協士さん(先生)、受講生11名、ボラスタ3名、佐藤さん(授業コーディネータ)が、
「名前」「出身」「影響を受けた映画 or いまひとつな映画」について簡単にお話。

続いて、杉田さんから今日のワークッショップについての説明。
時間的流れから言えば、
「アイデア出し」→「撮る」→「観る」→「(各作品ごとに)意見交換&先生の評論」

でも、いきなり、
「今日はみなさんにここで撮ってもらいます。役者もしてもらいます。」って言われても・・・
(先生以外、嬉しいやら困ってしまうやら、戸惑いの表情。ボラスタや佐藤さんも?!)

テーマ:「ホームビデオカメラで一人一作品づつ1カット映画を撮る」
条件 :「(先生と自分以外の14名から)2名を役者として指名する」
    「誰かと誰かが出会って挨拶するシーンを撮る(セリフは挨拶一言ずつのみ)」
    「練習はありだが、本番はNGなし」
ヒント:「二人がどういう関係かを考えるとよい」

杉田さんはいっきに説明されると、
「じゃ、みなさん、誰で何をとるか、考えてくださーい。
20分たったら、撮りたい人から順番に撮っていきますからねー」と・・・

杉田さんのきっぱりした態度に、もうあとにはひけないと観念した受講生&ボラスタ&佐藤さん。
でも、あれこれ一生懸命考えるのですが、そんな簡単に浮かぶものではありません。
ぐぐっと考えるあまり、みんな動きをなくし、教室内のあちこちで固まっています。

(ですが、あっという間に時間はたち、)

「じゃ、撮りますよ。誰から撮りますか?誰も声をあげないと、指名しますよ。」
(杉田さんの授業運営はブレやスキがありません。頼もしい。)

ということで、これから2時間かけて15名が撮影をすることに。

監督「(役者は)○○さんと○○さんでお願いします。」
(監督が役者に場面、状況、動き、セリフ、表情、気持ちなどを説明)
(役者がその説明で動けない場合、役者から質問が出たり、杉田さんがフォローしたり)
監督「じゃ、テストいきます」
(録画せずにモニターで動きやセリフ、カメラ位置などを確認)
監督「じゃ、本番いきます。スタート」
(数十秒の撮影。張り詰めた空気でシーンとなる。全員が真剣に見守る)
監督「はい。いいです」
(高揚感で全員が拍手)

撮影が進むにつれて、いい意味での緊張感が増していきます。
監督の演技指導やカメラワーク、役者の演技が上手くなり、
教室全体の空気も熱くまとまりあるものに。
撮影終了時には、疲労感以上に満足感や安堵感があり、
もう1回撮りたい、演じたいという気分になってしまいました。

そして、いよいよ発表会。
一作品ごとに、監督&役者が感想を述べ、観客が意見を述べ、杉田さんが評論します。

(全ての作品がいいものになっていてほしいという思いで全員が見入る)

くすっと笑ってしまうおもしろさ、目じりが下がってしまうやさしさ、ちょっと泣きたくなるせつなさ、
昭和かぁとつっこみたくなるナンセンスさ、大丈夫だよと声をかけたくなる心細さ・・・

登場人物二人。セリフは「おはよう」「おはよう」。撮影時間数十秒。制作費0円。
こんな、ごく限られた環境で撮られた作品なのに、どれも味わい深い。

杉田さんのコメントは否定、悲観することなく、あたたかいです。
「演技は相手から受け取ったものに返せばいい。自分から何かしなくてもいい」
「役者の登場のさせかたがうまい。小津安二郎監督のよう」
「監督の意図とは違っても、現場で自然に出てしまったもののほうが大切なこともある」
「NGが結果的に効果大のこともある」
「うつりこんだものが全て」
「時間が撮れている」
「キャスティングで9割が決まる。役者選びがうまい」

現場で厳しい経験を積んでこられた杉田さんから、
こういうコメントをいただけるのはありがたく嬉しいことです。

受講生の皆さんからは、
「楽しかった」
「杉田さんのコメントが思いがけない内容だったりして面白かった」
「切り取られたフレームがいつもみている世界と違い新鮮」
「人に何かを伝えることは難しいと思った。自分の考えたようにはとらえてくれないことも」
「これから映画の見方がかわるかも」

自分が撮る、演じるという経験をしたことで、その難しさや面白さを知ることができ、
これから映画の見方がかわったり、見る目が厳しくなったり、
あるいはより楽しむことができるようになるかもしれませんね。



(最後に、SEANTで素敵な時間を共有した皆さんへ)

「みなさん、ほんとにおもしろかったですね。ありがとうございました!」
「カオルくん、よく頑張ったね。カオルくんがいてくれて楽しかったよ。ありがとう。またおいでね!」
「杉田さん、名古屋に杉田ファンが増えました。名古屋で映画を撮ってください。
 役者はたくさんいますよ。そしてワークショップ第2弾を楽しみにしています!」


(ボランティアスタッフ 加太 恵)

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

杉田 協士 / 映画監督・番組ディレクター

1977年生まれ、東京都出身。 映画の助監督として、黒沢清監督『ココロ、オドル。』 青山真治監督『サッド・ヴァケイション』 熊澤尚人監督『虹の女神 Rainbow Song』  田中誠監督『うた魂♪』 浅野忠信監督『224466』など多数の作品に参加。 また、メイキングディレクターとして塩田明彦監督『カナリア』に参加。NHK番組のディレクターなども務める。 映画ワークショップとしては、過去に各地の小学校、高校、大学などで行い、現在は世田谷美術館の美術大学ワークショップリーダーを務める。 現在、商業映画監督デビュー作『にびいろ(仮)』を準備中。

今回の教室

SEANT(セアン) 2Fスペース

住所:名古屋市中区栄3丁目34-41  

TEL:(052)261-4453

(お問い合わせは所在場所についてのみ、お願い致します。
 授業内容につきましては、大ナゴヤ大学までお尋ねください。)
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