授業詳細

CLASS


ボウサイをデザインする。被災地支援から学ぶ、自分たちのマチ・ナゴヤ。

開催日時:2013年08月03日(土) 15時30分 ~ 17時30分

教室:STATION

レポートUP

先生: 木寅 健吾 / NPO法人 遠野まごころネット サブマネージャー/盛岡事務所長
岡本 ナオト / R-pro/yamory 代表

カテゴリ:【くらし】

定 員 :25人

※参加費として500円頂戴いたします。
「自分のマチに帰ったら、必ず避難所に指定されている場所をよーく見て下さい。そして 何か不備があれば、それを行政に言ってください。これはここに来た皆さんにお話ししていることです。」

こうお話しして下さったのは、陸前高田で震災の「語り部」をされている方でした。なぜこんな事をお話しくださったのか。それは、避難所に指定されていた体育館などが、そのまま津波に飲まれてしまったからなのです。なぜ?どうして?避難所なのに?津波が建物の中に入り込んできた時、そんな気持ちをもった方々も少なくなかったのではないでしょうか?そうして多くの命が失われたのです。

誰かのせいにするのではなく、自分たちの住んでいるマチは自分たちでデザインする。
そんな世の中になったらかっこいいと思いませんか?

防災を堅苦しく考えるのではなく、まちづくりと考えれば、自然と関心もわいてきて、
とても楽しい活動になるはず。


そう、防災に足りないのは、「楽しさ」と「日常への取り入れやすさ」だと思うのです。


今回は震災直後から被災地・遠野に拠点を構え、今も様々な被災地支援をされている、遠野まごころねっとから、サブマネージャーを務めていらっしゃいます木寅 健吾さんと、非常食定期宅配サービスを提供しているyamoryから、代表の岡本ナオトさんをお招きし、被災地支援から見えてくる地元・ナゴヤのボウサイと、そのデザインについてお話しをして頂きます。

後半はもっと楽しくボウサイを学ぶには?というテーマで、楽しみながらボウサイに強くなる遊びを考えちゃおう!というワークショップを行います。

日本に住む限り災害は避けられないもの。だったらそれを受け入れて、日常生活に楽しくボウサイを取り入れるコト、ちょっと真面目に考えてみませんか?


【授業の流れ】

15:30 司会挨拶
15:40 30秒自己紹介
15:50 被災地支援の経験からナゴヤのボウサイをデザインするトークセッション
16:30 楽しいボウサイを考えるワークショップ
17:10 まとめ挨拶
17:20 アンケート・集合写真
17:30 終了
コスプレ姿や浴衣姿の方々がナゴヤのイベントを楽しむ八月の昼下がり、
この日の大ナゴヤ大学は“ボウサイ”を考える授業です。
授業コーティネーター兼本日の先生の岡本ナオトさんと、もうひとりの先生である遠野まごころネットサブマネージャー木寅(キトラ)健吾さんの紹介後、大ナゴヤ大学恒例の参加者による30秒自己紹介です。
みなさん思い思いの参加動機を話します。
やはりいずれ来る南海トラフ地震を気にされる方が多いようです。
どこか真面目な雰囲気の中、キトラさんによるトークセッションははじまりました。

◆そこには写真を撮るのもためらうほどの状況が目の前に広がっていた
まずはキトラさんが被災地支援に携わったきっかけを話します。
「親戚が阪神大震災で被災してしまったのにそのときは何もできなかったんですよね。だから3.11が起きたときは何かしようとすぐに思いました。そんななか見つけたのが遠野まごころネットです。」
キトラさんは2011年のGWにボランティアとして初めて被災地に足を運びます。
初めて被災地の状況を目の当たりにしたときは写真も撮れないほど衝撃を受けたと話します。
「水産加工会社の冷凍庫が津波で流され何万トンという魚がそこらじゅうに腐敗して散乱していました。」「強烈な腐敗臭がするなか、ボランティアの方々がそれらを手で拾っていました。」
実際に被災地に行かれた人にしか話せないリアルな話は尽きません。
キトラさんの言葉が私たちの風化しかけた記憶を思い出させます。
ボランティアを何度か続けた後、キトラさんは遠野まごころネットの運営に携わります。

◆ある校長先生が下した決断。1年生からではなく6年生から先に避難させたワケとは
キトラさんが被災地で耳にしたエピソードを話します。
「ある小学校の校長先生の下した決断です。校舎に迫り来る津波から児童を避難させる際、6年生を先頭に高学年から避難させました。1年生は一番最後です。それはなぜか。生き残る可能性が高い順番から避難させたのです。この学校の児童は全員無事だったのですが、災害時にはこのような極限状態での決断を迫られます。しかしこれは防災において正しい決断だったのです。」
会場には一瞬の沈黙が広がりました。
3.11のような巨大災害では必ず難しい決断に迫られます。
極限状態でもなるべく正しい決断が出来るよう準備すること、それがボウサイなのかもしれません。

◆名古屋は他に地域と比べて防災の意識が低い?
キトラさんと参加者とのやりとりで「他の地域と名古屋では防災意識に温度差があるのでは?」という質問がでました。名古屋市出身のキトラさんは答えます。
「関西や静岡は防災意識が高いです。それに比べて名古屋は低いように思います。みなさんに伝えたことはふたつ、まずは3.11を忘れないでほしい。そして一度でいいので被災地を訪れて今回の震災を自分事ととらえてほしい。」

◆ボウサイを考えるワークショップ。ボウサイを自分事にするには?
みなさんキトラさんのトークセッションでボウサイを自分事に考える事の大事さに改めて気づいたようです。
でも“防災”を考えるといってもなにから手をつけていいかわからない、“防災”ってなんか堅い・・・
今日の授業の後半は、楽しく日常にボウサイを取り込むアイデアを考えるワークショップです。
もう一人の先生である非常食定期宅配サービスyamory代表の岡本ナオトさんからテーマが発表されます。
テーマは今日から出来るボウサイアイデアと思わず参加したくなる楽しいボウサイイベント!

3グループに分かれてアイデア出しです。
真面目な雰囲気のトークセッションとはがらりと変わり、どのグループからもにぎやかな会話が聞こえてきます。
みなさん思いついたアイデアを付箋に書いていきます。
一見難しそうなテーマですが意外とたくさんのアイデアが出てきているようです。
まずは初めのグループの発表。
“防祭”というスローガンで様々なアイデアを披露します。
備蓄ケースをカワイクしてインテリアにとけ込ませたりヘルメットをデコレーションしたりなど今日から出来そうなアイデアを発表していただきました。

続いては2番目のグループの発表です。
避難所ダッシュ、地震体験車の中で書道や平均台、防災食でフルコース、日本全国で防災休暇の創設・・・
聞いているだけでわくわくするアイデアです。

最後のグループの発表です。
こちらのグループは大ナゴヤ大学の授業に始めていらっしゃった50代のご夫婦もご一緒に発表していただきました。
家族で避難所の確認、お互いの連絡先を紙で保管、通勤経路の避難場所を確認。
でもこれだけでは堅いままだし続かない。
そこで防災の取り組みをするごとにポイントがたまるボウサイカードを創設。
楽しく、そしてお得にボウサイできそうです。

被災地のリアルなエピソード、ボウサイを考える上で大事な“自分事にすること”、そしてボウサイを楽しくする数々のアイデア!
2時間という短い時間でボウサイのこと、まちのことについてとても深く向き合うことができました。


(レポート: ボランティアスタッフ 高橋 翔吾
 写真: ボランティアスタッフ 篠本 リエ)

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

木寅 健吾 / NPO法人 遠野まごころネット サブマネージャー/盛岡事務所長

愛知県名古屋市出身。職歴は商品企画開発・広告制作・イベント企画やショップマネージメントなど。2011年5月より、東日本大震災被災地支援活動のボランティアとして、NPO法人遠野まごころネットに参加。 現在は同法人スタッフとして、主に交流人口の増加や経済的復興を目的とするプロジェクトを担当。 HP:http://tonomagokoro.net/

岡本 ナオト / R-pro/yamory 代表

神奈川県大和市生まれ。高校までプロ野球選手を目指すが挫折。部室の片隅に書いてあった落書き、「人生のレギュラー」が今でも座右の銘。 株式会社R-pro代表取締役。「デザイン」「ボウサイ」「マチヅクリ」「スポーツ」「クラウドファンディング」の5つの十八番で社会課題の解決や改善の事業を展開している。2019年10月からはなごのキャンパスの運営チームに、2020年4月からはN2/LABの事務局としても活動中。
R-pro WEBサイト:http://rpro4dp.com
yamory WEBサイト:http://yamory.com

今回の教室

STATION

住所:〒460-0011 名古屋市中区大須2-10-45 大須ステーションプラザ6F


地下鉄鶴舞線 大須観音駅 2番出口 徒歩1分


■授業について全ての連絡・お問い合わせは、大ナゴヤ大学までお願いいたします。
 TEL:070-5459-8213(代表)
 E-mail:dai-nagoya@univnet.jp
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STATIONは「クリエイターが育つ出発駅」。
様々な分野のクリエイターが、出会い、成長し、成功へと進んで行くための最初の拠点です。
壁際のデスクでじっくり仕事に打ち込んだり、
卓球台のデスクでのびのび作業したり。
駅前広場みたいなラウンジでは、本を読んだりのんびりお茶したり。
それぞれの仕事に没頭しつつも気軽に仲間と会話を交わせる、
自由で楽しさがいっぱいの仕事場。
利用者全員が高い志を持ち、互いを刺激し合う、
そんなクリエイティブなオフィスが名古屋で始まります。


HP:http://station-share.com/