授業詳細
CLASS
日本の手しごと「民藝陶器」の作り手を訪ねて~午前開催~
開催日時:2014年10月12日(日) 10時00分 ~ 13時30分
教室:①窯跡の杜(かまあとのもり)/②瀬戸本業窯(せとほんぎょうかま)
レポートUP
先生:
水野 雄介 / 瀬戸本業窯・八代目水野半次郎 後継
河合 君近 / 瀬戸市埋蔵文化財センター調査員
水野半次郎 / 瀬戸本業窯 七代目
カテゴリ:【ものづくり/くらし/瀬戸】
定 員 :8人
※里山を歩きます。蚊の対策をして歩きやすい履物でお越しください。
※午後開催の授業と同じ内容になります。
日本の手しごと「民藝陶器」を訪ねるまち歩きをして
日本の文化と歴史を体験する授業です。
名鉄瀬戸線・栄町駅から「せと電」に揺られて 30分ほど。
都会に一番近い産地、やきもののかくれ里へ。
終着地駅からまち歩きをして20分ほどで
使われなくなった窯道具を積んだ「窯垣の小径(かまがきのこみち)」につきます。
いつ、だれが窯垣を積んだのか?
意図しないデザインはどこから来たのか?
不思議でロマンティックな小径を歩き
文化財が眠る里山公園「洞 窯跡の杜」へ・・・。
入り口からすぐに登り窯の跡。
そしてころがる陶片。
今回の授業のおススメ ひとつ目!
窯跡の杜・東屋にて
今回の先生である瀬戸市埋蔵センター調査員の河合氏と
瀬戸本業窯 水野半次郎七代目が
「せともの」の歴史について対談をしていただきます。
なぜ、「せともの」(瀬戸焼)がやきものの代名詞になったのか?
この杜には何があるのか?
今回の授業のおススメ ふたつ目!
今回特別に埋蔵品の陶片や1300年ごろの文化財である「瀬戸焼」も
ショーケースから飛び出して陳列します。
今と昔の日本の手しごとの素晴らしさを同時に見ることが出来ます。
そして、里山を降りて
瀬戸市文化財の登り窯や瀬戸本業窯の250年の変わらないものづくりの
本拠地を拝見します。
おススメ みっつ目!
大正時代に民藝活動家が集い談話した瀬戸本業窯・水野家本宅にある囲炉裏での一服。
時代を超えて私たちに何を問いかけるてくれるでしょうか。
水野雄介氏(水野半次郎八代目後継)が
先代から伝わる抹茶椀で一服ずつ、おもてなししてくださいます。
作法など気にぜず、空間と時間を楽しんでください。
どこの地にも歴史文化はあり、
住んでいる人の誇りになっています。
それは、地域を超えて
近隣の、そして日本の誇りになります。
次の世代へつなげたい本物に出会う授業です。
『瀬戸へ行かんでどこへ行く。』
当時の商人と陶工が瀬戸の魅力と好景気を表す時に使った言葉だそうです。
瀬戸の魅力がつたわるきっかけになればと思っています。
【授業の流れ】
9:40~ 受付
9:50~ 自己紹介
10:00~ スタート
駅 ➡ 窯垣の小径 ➡ 窯跡の杜 ➡ 瀬戸本業窯
13:10~ アンケート、集合写真
13:30 解散
※10月12日(日)当日はイベントを開催しています!
瀬戸市中心街の深川神社参道にて「あとりえ参道」
http://www.seto-marutto.info/event.html
洞町にて「窯垣の小径祭り-路地裏工房めぐり-」で窯元が一般公開をしています。
http://www.jalan.net/kankou/230000/230800/evt_0155964/
午前か午後の授業になりますので一日瀬戸のものづくりを楽しんでくださいね!
(授業コーディネーター :斎藤 貴子(YUI))
尾張瀬戸駅のすぐとなりの駅前ビル「パルティせと」が、授業の集合場所です。
受付をすませ生徒さんが全員そろったところで授業スタート!
まずは自己紹介から。
「民藝に興味があって参加しました」、「タイルが好きで多治見にはよく行くけど、瀬戸は初です」、「瀬戸のまちの魅力が知りたくて参加しました」、「器や焼き物が好きで、今日は楽しみにしてきました」
皆さん、この授業を楽しみしていることが伝わってきました。
続いて授業コーディネーターの斎藤さんより、「省営バス(現JRバス)が日本で初めて運行開始したまち」、「世界でも有数なノベルティ産地」、「施釉陶器で日本で一番古いものが瀬戸焼」など、瀬戸のまちの自慢♪
銀座通り商店街とせと末広商店街など、瀬戸のまち中を皆で歩いて窯垣の小径へ移動します。生徒さんは、レトロな雰囲気の商店街に興味津々♪
興味・関心のあるポイントで立ち止まったり、皆さん楽しそうに会話していました。
窯垣の小径は、登り窯に製品を詰める際に使われた窯道具「タナイタ」「ツク」「エンゴロ」などを埋め込んで作られた塀が美しい散策路です。埋め込まれている窯道具には、屋号や窯印が記されていて、使っていた人の息づかいが感じられます。この小径はかつての洞町のメインストリートで、陶磁器を積んだ荷車なども行き交ったそう。
窯垣の小径を抜けて、次は窯垣の杜へ向かいました。
ここは、13世紀~15世紀の「古瀬戸」を焼いていた窯跡をはじめ、江戸時代、そして明治から昭和時代の窯跡が地中に残されている一帯の山を公開している公園です。
瀬戸最大級の登り窯の跡地もあったり、陶片が無造作に足元にたくさん落ちています。800年にもわたる瀬戸のやきものの歴史が蓄積された土地で、歴史の重みを感じました。
ここ窯跡の杜の東屋にて、瀬戸市埋蔵センター調査員の河合君近さんと、瀬戸本業窯 七代目水野半次郎さんに「せともの」の歴史についてのお話しを伺いました。また、埋蔵品の陶片や1300年ごろの文化財である「瀬戸焼」も、ショーケースから飛び出して、実際に手にとって触れることもできました!
戦国時代には、瀬戸で焼き物が焼かれなくなる空白の期間「瀬戸山離散」
があったり、17世紀にはいると、瀬戸山離散で瀬戸を離れていた陶工たちが瀬戸にふたたび戻り、尾張徳川家の保護政策のもとで大きく発展していくことに・・・。など、歴史の話を聞きながら、それが起こっていた場所に立っていると、過去の積み重ねで今があるのだなと、改めて実感しました。
先生役を水野雄介さん(瀬戸本業窯・水野半次郎八代目 後継予定)にバトンタッチし、瀬戸本業窯へ移動。ちなみに、本業窯の「本業」とは陶器のことで、江戸時代後期に技術が伝わりつくり始めた磁器を「新製焼」と呼んだことに対し、「もともとの仕事」という意味で「本業」と呼び分けたことから始まったそう。
4つの房をもち最大幅7m、全長14の登り窯跡、瀬戸本業窯資料館を見学し、民藝運動家・柳宗悦、バーナード・リーチ、濱田庄司などに見出された瀬戸本業窯の歴史を学びました。生徒さんも、先生の話に聞き入っていました。
最後は、大正時代に民藝活動家が集い談話した瀬戸本業窯・水野家本宅へ。皆で囲炉裏を囲んで一服。ここで先生からのサプライズ!特別なお茶碗を生徒さんの人数分用意してくれていました。
ついつい誰が作ったのかを先に知りたくなってしまいますが・・・・・。その気持ちをぐっとこらえて、自分がいいと思ったお茶碗を直感で選んでいきます。先生がたてて下さったお茶を頂きつつ、お茶碗の解説や民藝の話、日々の暮らしの話など、会話を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしていました。
歴史の深みや繋がり、日々の暮らしについて、本当にたくさんの気づきがあり、瀬戸の魅力がすごく伝わる授業となりました。
(レポート担当:ボランティアスタッフ 大野 嵩明
カメラ担当:ボランティアスタッフ 須之内孝弘)
先生
水野 雄介 / 瀬戸本業窯・八代目水野半次郎 後継
「本業焼きの歴史文化を守るために日々作陶している。」 歴史に新しいエッセンスを取り入れ、瀬戸本業窯や瀬戸焼を守る活動に尽力されています。 ■瀬戸本業窯HP■ http://www.seto-hongyo.jp/
河合 君近 / 瀬戸市埋蔵文化財センター調査員
名古屋市生まれ。昭和44年4月16日生。 平成5年3月 富山大学人文学部考古学コース卒業 同4月より財団法人瀬戸市埋蔵文化財センター(現、公益財団法人瀬戸市文化振興財団)勤務 窯跡を中心に瀬戸市及びその周辺地域の遺跡調査に携わる。
水野半次郎 / 瀬戸本業窯 七代目
1975年 その父に師事し7代目後継として作陶 1985年 日本民藝展入選。その後毎年多数入選 1994年 大阪梅田百貨店にて個展を開催。以後2年に1度 1995年 「釜垣の小径」を行政と共に完成させる 1998年 銀座松坂屋にて「水野聡一郎展」を開催 2003年 日本初(明治)の本業タイルを復元 2006年 ニューヨーク近郊コネチカットにてウォーレン・マッケンジー氏(リーチの孫)とワークショーと作陶展を開催
今回の教室
①窯跡の杜(かまあとのもり)/②瀬戸本業窯(せとほんぎょうかま)
住所:集合場所:窯垣の小径駐車場( 〒489-0833 愛知県瀬戸市 仲洞町8)
《アクセスのご案内》
尾張瀬戸駅下車徒歩15分
地図を見る
①窯跡の杜
「窯跡の杜」は、13~15世紀に「古瀬戸」を焼かれていた窯跡や江戸時代から昭和にかけて使われいた窯跡が地中に残されている一体の山を公開して公園です。
②瀬戸本業窯
瀬戸は千数百年に亘り、良土の恵みを受け陶磁器が焼かれてきました。
純白で強度耐火度に優れた陶土は今だ当地の右に出るものがないと言われます。
1800年より磁器(新製焼)の生産が始まり、産業の源が築かれ、
近世に於いては輸出玩具(ノベルティー)、ニューセラミックスなど新しい分野へと展開しています。
しかし、瀬戸本業窯は、すべての窯業基盤となった鎌倉以来の伝統を伝える、本業焼きを守り続けています。
http://www.seto-hongyo.jp/