授業詳細

CLASS


田舎暮らしというライフスタイルの選択
~新しい田舎暮らしについてみんなで考える1日~

開催日時:2015年03月08日(日) 13時00分 ~ 16時30分

教室:7th cafe(ナディアパーク内)

レポートUP

先生: 三河山間エリアの皆さん /
兼松佳宏 / greenz.jp編集長
坂田賢治 /

カテゴリ:【くらし】

定 員 :50人

※参加無料 ◎1ドリンク+ドーナツが付きます
※先着50名 
生き方や働き方を改めて考えなおす人が増えている今、
その多くの人が注目しているのが「田舎で暮らす」というライフスタイル。
自然との距離も近く、新鮮な食材がすぐ手に入る環境は、
子育てや仕事場にも向いていると田舎への移住を考える人が増えています。

多くの企業や店舗からつらなる都市部から約1時間車を走らせると
愛知県には豊かな自然や、祭りや食など独自の風土や文化が残る「三河山間エリア」があります。

今回は、「田舎暮らしに興味があるが身近に話を聞ける人がいない」という人達のために、
三河山間エリアで暮らし活躍される方々から、
田舎暮らしに大切な「家・仕事・地域コミュニティ」のリアリティを聞ける場をつくります。

また、全国で広がる若者の「田舎暮らし」の事例を
greenz.jp 編集長 兼松佳宏さん http://greenz.jp/
福岡R不動産 坂田賢治さん http://www.realfukuokaestate.jp/chikugo-trialstay2014/
のお二方をお招きし、紹介してもらいます。

普段の生活とは違う環境で生活する人達の話を聞くことで、
自分の暮らしを見つめ直すきっかけにもなれば嬉しいです。

【スケジュール】
12:30 受付開始
13:00 ゲストトーク① 兼松佳宏さん
     なぜ今、田舎暮らしに注目があるのか。全国事例をふまえて
14:00 ゲストトーク② 坂田賢治さん<福岡R不動産>
     ちくご移住計画2014 仕事付きトライアルステイの取り組み
14:45 クロストーク 三河山間エリアで活躍の皆さん
     ・山口美知英さん パン屋を田舎で開業
     ・金城愛さん 古民家をつかったゲストハウス運営
     ・安形真さん 農業+CAFEの6次産業化
     ・安藤征夫さん 空き家の開拓・マッチング
15:30 交流トーク
     ゲスト、三河山間エリアの皆さん、参加者さんを交えての交流タイム
16:30 集合写真、解散

(授業コーディネーター 加藤幹泰)

主催 愛知県交流居住センター
企画・運営 大ナゴヤ大学
春の暖かさを感じるこの日、外では名古屋マラソンが大盛り上がりをみせている。このマラソンの熱気に負けないくらいの盛り上がりを見せそうなのが、ナディアパーク7階で行われる「田舎暮らし」について考える授業だ。この授業に70名を超える参加者が集まった。大都会の1つである名古屋でも田舎暮らしの関心が高まっているということであろう。参加者は、名古屋を中心に尾張や三河、岐阜、そして山梨から来ているそうである。そして、やはり参加者の多くが「田舎暮らしをしてみたい」、「興味がある」といった人たちのようである。
今回の「田舎暮らし」を考える授業は、greenz.jpの編集長「兼松佳宏さん」、福岡R不動産「坂田賢冶さん」と、愛知県の「三河山間エリア」で実際に田舎暮らしをされている4人の方がゲストとして来てくださった。特に、兼松さんと坂田さんという超豪華ゲストに興奮する参加者やスタッフも見られた。
私は都会が大好きであり、田舎暮らしをしたいなんて全く思っていなかった。しかし、この授業を通して、私はすごくモヤモヤしたものが残った。私と同様なモヤモヤが残った参加者もいるようだった。そんな「田舎暮らし」のよさを考える以上に、もっと深くて刺激的であったこの授業の振り返りをしたい。

(1)ゲストトーク① greenz.jp編集長 兼松佳宏さん
最初は兼松さんに、今話題の田舎暮らしについて、全国各地の事例を踏まえて話していただいた。あのgreenz.jpの編集長ということもあり、参加者からの緊張感がすごく伝わってきた。兼松さんは、北海道、青森、鳥取、岡山、四国、福岡、熊本、鹿児島・・・など、greenz.jpに掲載されている全国の移住促進のプロジェクトや移住者による現地を盛り上げるプロジェクトについて紹介と解説をしてくださった。全国の事例には、もちろん田舎には何もないから自分次第で何でもできる、何でも作り出すことができるといった普通の人には難しいような「DIY」や「クリエイティブ」な要素をもつものが多くあった。しかし、目の前の草刈りに一生懸命頑張っている「最強の地域おこし協力隊」や、「作り出すのではなく見つけ出す」鹿児島のプロジェクトや、自分の特技を田舎で生かしてそれ以外のほとんどのことが周りの人に助けてもらう移住者など、自分のイメージとは違う田舎暮らしも多くあった。
この事例を見てると、自分は羨ましさと、悔しさがこみ上げてきた。しかし、驚いたことに、兼松さんもgreenz.jpの記事を見ると悔しくなるそうだ。ただ、悔しさやモヤモヤはエネルギーになること、全国のロールモデルを見ることは気づきになることであるそう。兼松さん自身も東京から鹿児島へ移住し、田舎暮らしを実践されている方である。兼松さんにとって、田舎暮らしも都会暮らしもどちらも素晴らしく、大変であるそうである。兼松さんが大切にしたいことは、「誰とともに生きていくのか」をしっかりと考えることのようである。

(2)ゲストトーク② 福岡R不動産 坂田賢治さん
 兼松さんのあとは、坂田賢治さんに福岡R不動産の取り組みについて話していただいた。全国に9都市で活動しているR不動産の1つである福岡R不動産では、福岡のちくご地区での「トライアルステイ」という体験移住プロジェクトに取り組んでいる。移住でのハードルは、「物件」「仕事」「コミュニティ」の3つであるそう。田舎の物件には賃貸はあまりなく、売買物件しかないため、田舎暮らしをするには物件を購入しなければならない。このトライアルステイでは、短い間田舎暮らしを体験できるので、2年間で24組の募集に対して100組の応募があったそうである。また、このトライアルステイでは、ちくご地区ならではの仕事も体験することができるそうである。また、筑後地区でも最も何もない「上毛町(こうげ町)」を盛り上げてくれる人を募集したプロジェクトが熱くなっているそうである。このプロジェクトで、移住者が増えたわけではないが、新しい仕事を生み出してくれたり、定期的に上毛町に足を運ぶ仲間ができたそうである。
坂田さんによると、少子高齢化の中で、移住促進をしても田舎の人口を増やすことは難しいとのことである。それよりも、その町のことは自分で考え、行動できるような新しい地域の担い手を一人でも増やすことが大切だそうである。地域は、そこでできる仕事やライフスタイルを紹介し、実際に足を運んでもらうことが一番だそうである。最後に、坂田さんは、移住したい人は、「自分はどんな暮らしがしたいのか」を、移住者を求める町は「どうゆう町にしたいのか」「どうゆう人に来てもらいたいのか」をしっかりと考える必要があると話された。

(3)三河山間エリアで田舎くらしをされている4人によるゲストトーク
 二人の方によるゲストトークの次は、三河山間エリアで田舎暮らしをしている4人の方によるゲストトークが始まった。

①山口美知英さん
 山口さんは、豊根村でドイツパンの店をやっている方である。もともとはサラリーマンであったが、子どもが成長したことを機に、夢であったドイツでのパン修行をされたそうである。そして、名古屋の緑区でパン屋を開き、豊根村へ移住をされた。山口さんは最初、田舎へ移住するつもりはなかった。きっかけは、奥さんにドイツへパン修行に行きたいことを話したところ、奥さんの夢が田舎へ住む事であり、その夢をかなえてほしいということであるそう。山口さんの田舎暮らしでのコツは、村のイベントに積極的に参加して溶け込むこと。会場では、山口さんが参加者の方に作ったパンを試食する機会もあり、ドイツパンの味を堪能することができた。愛知県で本場のドイツパンを食べてみたいならぜひ。

②金城愛
 金城さんは、現在東栄町で地域おこし協力隊をされている沖縄県出身の美人田舎暮らし実践家。金城さんももともとは、田舎暮らしをするつもりはなく、四日市で働いていたそうである。しかし、夢であった海外でのバックパッカー生活から、自分は日本のことを全然知らないことがわかった。日本のことをもっと知るために、4ヶ月間の田舎暮らし体験をし、その経験から地域おこし協力隊になることを決めたそうである。金城さんは、田舎は不便だと思っていたが、生活していくうちに、何もなくても生きていけるし、逆に知恵が生まれることを実感し、生きることをシンプルに考えるようになったそうである。そして、金城さんは、4月から東栄町で古民家を使った田舎暮らしを体験できるゲストハウスを始めるとのこと。田舎暮らしに興味がある方は、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。

③安形真さん
 元探偵である安形さんは、地元新城市にもどり、事務仕事をしたのちに、現在は農業を通して新城市のまちおこしをしている方である。安形さんは、持ち前のクリエイティブさと行動力を生かした面白い農業の取り組みをいくつも実践し、大人から子どもまでを農業に巻き込んでいる。安形さんの取り組みの1つに、農業をしている祖父とスイカを取り上げた「しげじいの命のスイカプロジェクト」があるが、その中の「スイカフェス」にはぜひ参加してみたかったという後悔が残った。そして、今は有機野菜に力をいれており、野菜BOXや農業体験、さらには「古民家カフェはちどり」という農業カフェを運営している。とれたての野菜を使った、日替わりのランチはぜひ食べに行きたいものである。

④安藤征夫さん
 公務員であった安藤さんは、現在は豊田市敷島自治区の定住プロジェクトにかかわっている方である。安藤さんは、空き家の開拓とマッチングをしており、「空き家によそものを呼び込む」ことに力をいれているそうである。また、空き家のオーナーの説得が大切であるが、安藤さんは直接オーナーの顔を合わせて、オーナーの断る理由を1つずつ消していくとのこと。安藤さんの話によると、田舎暮らしでは、むしろその不便さを求めたり楽しんだりすることがいいとのことである。そして、田舎にとって、外部との交流は新しい刺激になるそうである。また、安藤さんは、子どもが自然を使って遊んだり学んだりしたりすることのできる「ツリーハウス作成」「ガキ大将育成」などの面白いプロジェクトをいくつか立ちあげている。このプロジェクトは、子どもはもちろん、自然で遊ぶ機会が少なくなった大人の方にも楽しめるものであると思う。

(4)おわりに
6人の方のゲストトークが終わったあと、ゲストと参加者との交流タイムがはじまった。参加者は疑問に思ったことや興味をもったことをどんどんゲストにぶつけていた。中には、授業を聞いて感じたモヤモヤをぶつける参加者もいた。
今回、いろいろな田舎暮らしに触れることができた。田舎暮らしといっても、その人のやりたいことによって様々な田舎暮らしの形があることがわかった。そして、田舎暮らしをしている人は、なぜみんな楽しそうに暮らしているのかという理由も少しわかった気がする。もちろん田舎がいい場所なのかもしれない。しかし、それ以上に、自分が田舎でどんな暮らしをしたいのか、さらには、自分はどんな生き方をしたいのかを真剣に考えているように思えた。
この授業を通して、参加者のほとんどが、田舎暮らしをこえた「自分の生き方」について気づき、考えるきっかけになったと思う。私は、兼松さんのお言葉である「誰とともに生きていくのか」を考えることが大切であると感じた。この「誰と」には、大切な人、海や山のような自然、・・・人それぞれであると思う。そして、その先に、田舎暮らしなのか都会暮らしなのかの選択、さらには自分の生き方が見えてくるのではないか。

(レポート担当:ボランティアスタッフ 片岡 優紀
カメラ担当:ボランティアスタッフ 山田 卓哉)

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

三河山間エリアの皆さん /

■仕事を外から持ちこんだ(パン屋を田舎で開業)
・山口美知英 <ベッケライミンデン> (豊根村)
■古民家をつかったゲストハウス運営
・金城愛 <地域おこし協力隊>(東栄町)
■一次産業でチャレンジ(農業+CAFEの6次産業化)
・安形真 <LLC agriholic代表>(新城市)
■空き家の開拓・マッチング
・安藤征夫 <敷島自治区>(豊田市)

兼松佳宏 / greenz.jp編集長

1979年生まれの勉強家 兼 お父さん。秋田市出身、鹿児島市在住。一児の父。 ウェブマガジン「greenz.jp」の立ち上げに関わる。2010年より編集長。 greenz.jpは”ほしい未来”をつくるためのヒントを発信するウェブマガジンです。 私たちは、”共感”を生むグッドアイデアこそ、人を前向きにし、社会を動かす力があると信じています。

坂田賢治 /

株式会社DMX(福岡R不動産)平社員兼アートスペースFUCAディレクター。 福岡R不動産にて福岡県内14の自治体と移住者向けのトライアルステイプログラムを運営。 学生時代は建築の意匠設計と創造都市論を学んでいた。 27歳で就職を機に地元福岡にUターン。 現在、株式会社DMXで働きつつ、福岡移住計画など様々なプロジェクトに参加。 飲み会と本があれば基本的に幸せな30歳独身。

今回の教室

7th cafe(ナディアパーク内)

住所:名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパーク内 
デザインセンタービル7階
地下鉄「栄」駅7・8番出口より徒歩7分
地下鉄「矢場町」5・6番出口より徒歩5分

ナディアパーク7階の7th cafeでは、
絵画、写真、イラスト等作品の展示や、
ライブ、パフォーマンス、美術作品の展示などの
イベントを行うアートな空気漂う空間です。
イベントを楽しんでいただけると共にお茶も楽しめるスペースです。