授業詳細

CLASS


里山Iターン者の生活大解剖
~都会と田舎の生活ビフォーアフター~

開催日時:2015年09月26日(土) 13時00分 ~ 17時30分

教室:東栄町体験交流館のき山学校

レポートUP

先生: 山口美知英 / ベッケライミンデン 店主
金城愛 / 体験型ゲストハウスdanon
水野慎也 / 獣医
森田泰史 /
松浦歩雄 /

カテゴリ:【くらし】

定 員 :30人

【参加費】500円(軽食代含む)を頂戴します。
【集合】公共交通機関の方
    「東栄」駅より公共バス12:35東栄駅発→
    東栄町役場12:46役場着

    お車でお越しの方
    東栄町役場に12:30までにおこしください。
    愛知県北設楽郡東栄町大字本郷字上前畑25番地
2015年3月に名古屋で「田舎暮らしというライフスタイルの選択」という授業を開催しました。
田舎暮らしに興味を持つ80名を越える参加者さんと共に、
都市部の人が田舎への移住を考える時に気になる「仕事、家、地域コミュニティ」について
対話を深めましたが、一番関心が多かったのが「どうやって仕事をみつけるのか」ということ。

ハローワークや求人サイトで数ある職種や勤務地から
自分にあった仕事を探す都市部のスタイルと少し違います。

インターネットには載っていない地元の仕事。
里山に暮らす人達から求められている仕事。
里山の資源をつかった起業。などなど。

聞きたいことは実践した人に聞くのが一番!ということで
実際に里山へIターンした移住者に、どのように今の仕事に就いたのか教えてもらいましょう。

今回のIターン者さんは5名
名古屋コーチンの養鶏組合で働く 森田さん
往診獣医として集落をまわる 水野さん
森林組合で木こりをする 松浦さん
名古屋から移住したドイツパン屋の 山口さん
150年の古民家でゲストハウスを運営する 金城さん

仕事のことをはじめ、
1日のスケジュール、生活環境の変化、生活費のビフォーアフター、
移住して良かったこと、移住のハードル、地域活動のことなども聞かせてもらいます。

実際に暮らしている里山「東栄町」を訪れ、
Iターン者さんの生活感を肌で感じる1日をすごしましょう!


また今回は特別に
東栄町にある企業「三信鉱工株式会社」(http://www.sanshin-mica.com/)も見学させていただきます。
三信鉱工さんは世界中の女性の美に貢献している会社。
化粧品ファンデーションの原料「絹雲母」で世界シェア1位を誇るすごい会社さんです。
東栄町でも多くの雇用を生んでいる会社の社長さんみずから「絹雲母」の採掘現場の洞窟へも案内してもらいます。

最後は東栄町の皆さんと交流会も開催します。
普段聞けない里山暮らしのアレコレを直接聞けるいい機会になると思います。


【スケジュール】
12:30  集合:東栄町役場 
13:00~ 里山Iターン者さんの仕事や生活について
15:00~ 三信鉱工株式会社さんの会社見学
     社長さんと世界No,1の「絹雲母」採掘現場へ
16:30~ 東栄町の皆さんと交流会(軽食付き)
17:30  終了

授業コーディネーター
加藤幹泰
雨の予報で不安も募るなか、お天道様が微笑んでくれたのか快晴で迎えることができました。
3月に名古屋にて開催された「田舎暮らしというライフスタイルの選択」の続編で
都会の人が田舎暮らしを考える際、一番不安の声が多かった田舎での「仕事」をテーマにしたのが今回の授業。

名古屋から車で2時間の奥三河の東栄町まで足を運び、
実際にIターン者として仕事をしている5人の方をゲストに迎え、田舎での仕事と生活を伺います。

会場は、閉校となった旧東栄町立東部小学校を利用し、
現在は交流施設として活用されている"のき山学校"です。



今回参加してくださった生徒さんは、20代から60代の幅広い年齢や性別の方々。
Iターン者を増やす試みを学びたい、と隣町からみえた方や
自然や田舎暮らしに惹かれる、と名古屋市などの都市部からみえた方など住んでいる地域も参加の動機も幅広い方々に、
集まっていただきました。



「Iターン者大歓迎ですすめてゆきたい!」
東栄町 副町長さんの熱いお話を皮切りに、
今回の先生であるIターン者5人のお話を伺います。


=case1=
「人生物語の積み重ねでいまの自分がある。」と語られた"水野慎也"さん。

父が亡くなったことをきっかけに、ふるさとについて考え
父の実家だった東栄町に妻とお子さんを3人抱え、移住されたそうです。
都会での働き方と大きく異なるところは決まった仕事をして給料をもらう、
いわゆるサラリーマンではなく、その季節にあるお仕事をして、
いくつも仕事を持つという考え方をされていること。
昔は、「季節労働」という言葉に抵抗があったそうですが、
季節労働をする人がいなければ、その仕事は成り立たないという考えになってからは、
特に抵抗もなくなったと語ってくださいました。
獣医師の資格を持つものの、田舎では使うことがないと思われていたそうですが
巡り巡って人の縁から動物の往診をされることも、いまではひとつのお仕事となっているそう。
現在は、米づくりにも挑戦中とのことです。



=case2=
林業を仕事にするためにハローワークの紹介で、東栄町にたどり着いた"松浦歩雄"さん。

神奈川で生活をし転職を重ねるもしっくりくる職業がなく、
林業体験に参加し、これなら仕事にしたい、と思われたそうです。
仕事が無事決まり、東栄町への移住が決まったものの、
住むところを探すことが、一番ハードルが高かったとのこと。
田舎では都会とは違い不動産会社に出していない物件がほとんどで、
探すにも人と人とのつながりで探すことが必要不可欠。
会社の方の協力があり、なんとか住むところが見つかったそうです。
たとえば家のまえでBBQをするなど、都会でできないことができるという
おもしろさがあることが田舎で暮らしてよかったところではないかと語ってくださいました。

=case3=
4ヶ月なら…と気軽に暮らしたことがきっかけの"金城愛"さん。

沖縄出身で、バックパッカーの経験も持つ金城さんは
海外経験を通じ、もっと日本についても知りたいと思い、
地域の情報発信をするという短期のお仕事がきっかけで
東栄町に住んだそうですが、人と関わるうちに東栄町が好きになり
その後、2年間の地域おこし協力隊を経て、現在は古民家利用した
体験型ゲストハウスdanonを運営。
東栄町の人たちのオープンで親切な人柄は、毎年、冬の時期に渡り東栄町内の各地区で開催される
花祭も関係しているのではないか、と語ってくださいました。

=case4=
「最初は山奥すぎて、つづかないな…と思ったんですけどね。」と"森田泰史"さん。

もともとは名古屋市内で暮らし農業系のサラリーマンをされていましたが
一転、当時の上司からの紹介で現在は名古屋コーチンの養鶏業をされています。
移住をするまえまでは、人と関わることが苦手で家に籠りがちだったという森田さんですが、
いまではすっかり人がいないと寂しいとまで感じるようになられたそうです。
雛鳥を育てているときは早朝から深夜まで養鶏場に籠って過ごすこともありますが、
積極的に町内の行事などには参加されているとのことです。


=case5=
ドイツパンに魅せられてドイツパン職人になられた"山口美知英"さん。

東栄町のご近所、豊根村でドイツパン屋さんをされています。
仕事でドイツに行かれた際に食べた、ドイツパンの味が忘れられず
働いていた会社の人の反対を振り切って、
妻の夢であった「田舎暮らし」と引き換えに妻を説得。
渡独しドイツパンを学んだのちに、夏にたまに遊びに来ていた豊根村に
縁があり、店を構えることになったそうです。
Iターンをするといっても、何の気なしに来るのではなく
食べていかなきゃならないということを考えて、
なにかを持って来られたほうがいい。というアドバイスも。




参加者の方からの質問の中で特に印象的だったのは、
Q:田舎での収入は上がりましたか。下がりましたか。
A:田舎での仕事で収入は減った。ただ困ったことはそんなにない。
  
ないならないで、身の丈にあった生活をすればいいし、お金をつかうところも少ないと笑いながら
答えられていた先生の皆さんの明るい表情が印象的でした。



一旦のき山学校とはお別れ。
化粧品のファンデーションの原料である
"絹雲母"(セリサイト)の採掘を日本で唯一行い、
世界シェア50%を誇るすごい会社さん、
三信鉱工株式会社の鉱山を見学します。



まずは社長の三崎さんから会社のお話を伺います。
もともと祖父が鉄道マンであり
山を切り開く必要があったことから金山開発を夢みて創立したのだそう。
今では世界中の有名化粧品メーカーのほとんどの会社と取引をされているようです。

いよいよ鉱山の見学!
傾斜のそこそこある山肌をのぼり、
映画インディージョーンズやラピュタのような世界観の
トロッコレールのある洞窟の入り口にたどり着くと
思わず感嘆の声があがりました。



全員で山の神様に一礼をして
ヘルメットをひんやりとした洞窟のなかに踏み入れます。
洞窟というだけあって湿度は高めで、キノコもよく生えるそう。
セリサイトは凝灰岩と安山岩の境目にできるので
そのポイントを狙ってダイナマイトで1日1メートル進んで
また採掘して、また進んで…という作業を繰り返します。

先端のところまで進み、実際に採掘していただきました。
つるでカンカンと叩くとポロッと
簡単に手のひらサイズの岩がとれました。
触らせていただくと普段想像するような岩とは違い
サラサラでツルツルとした触り心地に女性の生徒さんはウキウキでした。



都会では、なかなか体験することのない
貴重な会社見学に生徒の皆さんは大興奮の1時間でした。

最後に再びのき山学校へもどり、参加者の皆様やゲストの方々、
さらに今回のイベントを知り駆けつけてくださった予想以上に多くの方々と交流会。
参加者のなかにはゲストさんと友人になったので
今度は地元の食材を交換するんだ、というお話も。



和気あいあいと話もはずみあっという間にお時間。
「もう一度また来て、本当の東栄町を見てほしい。」と、副町長さん。

長丁場な今回の企画でしたが
「ただの観光では体感できないようなことができてよかったです。」
「田舎暮らしになんとなく興味があったが、素直にたのしめました。」
と、生徒さんからの嬉しい声。

先生の一人である森田さんも
「改めて自分のことを振り返り、再認識することができた。」
と、関わった人それぞれがお互いに刺激をし合い関係を築けたよい企画でした。


どの土地で住むのか、という環境の選択は
その人も、その人に関わるすべての人の人生も
左右する大きな選択だと感じます。
それは田舎なのか都会なのか、北なのか南なのか。
「暮らしの選択肢を増やす。」
ということは、より各々が求める豊かな暮らしに
繋げるためのカギになるのかもしれません。



(レポート担当 ボランティアスタッフ 黒田 愛美
 カメラ担当 ボランティアスタッフ 石坂喜和)

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

山口美知英 / ベッケライミンデン 店主

豊根村で本場のドイツパンが人気のドイツパン屋さん。

金城愛 / 体験型ゲストハウスdanon

東栄町で150年の古民家をつかった体験型ゲストハウスを運営

水野慎也 / 獣医

東栄町で往診による獣医診療を行っている。

森田泰史 /

東栄町で名古屋コーチンの養鶏組合で勤務している。

松浦歩雄 /

横浜から東栄町の古民家に移住して林業をしています。

今回の教室

東栄町体験交流館のき山学校

住所:愛知県北設楽郡東栄町大字下田字軒山13-7
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のき山学校とは、平成22年に閉校した旧東栄町立東部小学校を利活用し、地域内外住民の交流促進とともに観光の振興及び集落の活性化をはかる目的で生まれ変わった木造2階建ての山里の学校です。

正式名「東栄町体験交流館 のき山学校」といい、館内には東栄町図書室「のき山文庫」、「Caféのっきぃ」などの施設を備えています。

講堂、グランド、各教室では、常設の体験イベントをはじめ、フリースクールなどの利用も可能。主な体験イベント(要予約)は、石窯での手作りピザ体験、和太鼓体験、木工体験などがあります。

のき山学校では、魅力あふれる奥三河東栄町の自然や風景、歴史、文化、技、人に刺激を受け、ここに集う皆さんが新たなつながりを発見、創造できる「みんなの学校」を目指して様々な企画を行い運営することで、東栄町、奥三河地域の元気と笑顔を生み出していきます。