授業詳細
CLASS
ラッコナイト〜カワイイあの子が教えてくれること〜
開催日時:2016年02月24日(水) 19時00分 ~ 20時30分
教室:喫茶アミーゴ
レポートUP
先生:
小林優太 / コピーライター/大ナゴヤノート.エディター/ RACCOLABO代表
カテゴリ:【環境、カルチャー】
定 員 :15人
・参加費として1,000円を頂戴します(軽食、ソフトドリンク付)
つぶらな瞳に大きなお鼻。ぷかぷかゆったりと水に浮かび、
くるくると愛くるしく動き回り、
石を使って上手に貝を食べる。
そう“ラッコ”です。
水族館でも人気者のカワイイあの子。
最高に癒し系のあの子。
でも、みんなきっとよくは知らないあの子。
そんなラッコの話をゆる〜くしながら、
せわしない毎日に、安らぎと動物からの気付きを得られる授業です。
先生は、大ナゴヤ大学理事でフリーラーターの小林優太さん。
仲間うちでは“ラッコハカセ”の愛称が定着している、
なかなか出会えないラッコマニア。
あえて平日の夜に、あえて名古屋の街中で
ラッコの魅力をこれでもかー!と語ります◎
「そうだったんだ!」と目からうろこのラッコ知識が盛りだくさん。
癒し系のラッコの裏側に隠された、
おかしかったり、ちょっと悲しかったり、様々なエピソードをのんびり聞かせてもらえます。
一夜限りのラッコナイトをぜひご一緒に♪
【スケジュール】
18:45 受付開始
19:00 授業スタート 自己紹介
19:15 先生のお話
20:10 ラッコ○○をつくろう! (当日のお楽しみ)
20:25 記念撮影、アンケート
20:30 授業終了
※当日は22:00まで会場をご利用いただけます。ぜひ引き続きお楽しみください!
(授業コーディネーター:小林優太、井上麻衣)
大須のカフェ「アミーゴ」に続々と生徒さんが集まり、会場はホームパーティーのように色とりどりの風船や"あの動物"のグッズや写真で飾り付けられています。カフェのカウンター越しにいるのが今日の先生、「ハカセ」ことラッコ大好きの小林さん。水族館の飼育員ではなく、趣味でラッコについて詳しくなったというラッコマニアのこの方が今回の授業の先生です。
まずは参加者のみなさんに自己紹介と共にラッコのイメージを聞きました。「ラッコってどんな動物なのかよく知りません」「漫画の「ぼのぼの」のイメージです」「なんでラッコは貝を持っているの?」「のんびりしていて食いしん坊な印象を持ちました」「youtubeで見て、かわいいなと思いました」など、ほとんどの生徒さんがラッコについて初心者です。
先生の自己紹介後、まずは生徒さんにグレーの風船とペンが配られました。なにをするかと言うと、「あなたのラッコのイメージを風船を膨らませて表現してみてください」とのこと。女性陣はラッコをイメージするよりも風船を膨らませるのに苦戦しつつ、膨らました風船に悩みながらも自分のラッコのイメージを表現していきます。貝を持っている姿を描く人や、風船でラッコの顔を表現する人など個性豊かなラッコ達が出来上がりました。
自分の中のラッコのイメージを確認したところで、いよいよ詳しい話が始まります。
■ラッコは器用
みなさんはラッコがなぜあんなに器用に貝を持つことができるのかご存知ですが?
実はラッコの手は五本指。手を器用に使って貝を持ちます。なんと、霊長類以外で道具をつかうのはラッコだけなんだそう!
お腹の上にのせた石に貝を叩き付け、貝の中身を食べます。器用さはそれだけではなく、水槽の強化ガラスを石をぶつけて割ってしまったなんていうラッコもいたんだとか。ほかにも、飼育員さんたちが出入りするドアを2足歩行でドアノブを回して出てきたラッコもいたそうです。
■ラッコは何者?
そんな器用なラッコは何者なのでしょうか?なぜ海にいるのでしょうか?
海に住むほ乳類の総称を「海獣」と呼び、アザラシやジュゴン、イルカなどの大型動物と同じくラッコも海獣に含まれます。そして、ラッコを生物学的な分類で見てみると「食肉目・イタチ科・カワウソ亜科」。つまり、遠い昔にカワウソの祖先から分かれて海に行ったものがラッコ。その証拠に英語では「Sea otter」と呼ばれ、otterの意味はカワウソです。
日本ではなぜラッコと呼ぶのでしょうか?
千島列島や日本の北の方にもともとなじみがあった動物という事もあり、ラッコの語源は「アイヌ語」で、それがそのまま日本語になりました。
■ラッコは食いしん坊できれい好き
ある動画を先生は見せてくれました。それは、ラッコが水に浮かびくるくる回りながら顔や体に手をあてて全身をこすっている姿でした。この姿を水族館で見た人は大抵「ラッコは体がかゆいんだね」というそうです。
しかし、先生は言います。
「痒いわけではないです。これは生きていくのに必要なグルーミングという行為なんです。」生きていくために必要な行為??一体どういうことなんでしょうか。それにはラッコの生態と大きな関係があります。体長が100cm~150cmで体重が15kg~32kgの海獣の中では小柄なラッコは、誰にも負けない上質な毛皮を持っています。毛皮の構造は、ガードヘアと呼ばれる一本の荒い毛のまわりを約70本のアンダーファーと呼ばれる羽毛のような柔らかい毛で取り囲む2重構造です。この構造により、毛の間に空気を蓄え保温し冷たい水から体温を奪われないようにしているのです。
しかし、その毛皮を維持するためにはグルーミングが必要不可欠。グルーミングをおこたると、病気や死の可能性があります。また、海で暮らす動物たちは多くの脂肪をため温かさを保っています。しかしラッコは体重が軽く、このことは海で生きていくには命取りになります。そのため、ラッコは一日に自分の体重の5分の1から3分の1の量の食料が必要で、それによって体温を生み出しています。ラッコのかわいさの裏には生きることへの一生懸命さが隠れています。そんなところがラッコの魅力であると先生は言います。
ここでお話の前半戦は終了。
■ラッコに関連した食べ物が登場
先生がこの日のために用意してくださった、ラッコに関連メニューが登場。
【ゆずソーダゼリーとフルーツのせ"ラッコ"寒天ゼリー】
ラッコの型を使用した牛乳寒天ゼリーがゆずソーダゼリーのうみの上に浮いている、なんともかわいい一品。
【ラッコブレンドコーヒー】
BeansBitouさんにお願いし、先生のラッコのイメージを元にブレンドしてもらったという一杯。「かわいい!」と生徒さんたちのテンションも急上昇し、おいしいゼリーとコーヒーでちょっと休憩をとり、後半戦がスタートです。
■ラッコと人と
先程も書いたようにラッコは大変上質な毛皮を持っているため、19世紀の大航海時代に人々によって乱獲されたという歴史があります。また、近年では1989年に起きたエクソンバルディーズ号原油流出事故では、ラッコの生息地であるアラスカ湾での事故のため多くのラッコが命を失いました。そして現在では、ラッコは絶滅危惧種に指定されています。
■ラッコに気軽に会えなくなる日はそう遠くない
現在の日本では9館の水族館で13匹のラッコに会うことができます。これは世界的に見ても稀で、こんなに狭い地域でこんなに多くのラッコに会える国は日本しかないのだとか。しかし、そんな日本でもラッコの高齢化や繁殖の難しさから訃報が続いています。そんな中でも希望の光となっているのが、福岡県にあるマリンワールドで2012年1月に生まれた「マナちゃん」の存在です。人工保育が難しいとされている中で、元気に育った近年で唯一成功した事例。なんとマナちゃんの本まで販売されるほど大人気となっています!
■最後にラッコが先生にくれたもの
ラッコについて詳しくなっていくうちに気づいたことの1つに、ラッコは進化の過程がとても優しいということ。他の動物を傷つけることなく自分の長所を生かして進化を遂げてきたり、ちょっとおちゃめで水族館の人を困らせながら過ごしているところにラッコの優しくて可愛げを感じます。そして2つめに、ラッコに関わるようになって悪いことがおきない!ということです。
授業の最後に生徒さんから、
「今までラッコをちゃんと見たことがなかったけれど、これを機会に観に行こうと思います」
「ラッコはいつも水族館にいるものだと思っていたのに、現状がそうではないと知って寂しい気持ちになった」
「ただ可愛いだけではなく、ラッコの歴史を知れてよかった」など最初に感じていたイメージから皆さんかなりラッコについて詳しく、そして様々なことを考えてもらうことが出来たのではと感じます。
授業中も生徒さんは先生の話を興味深そうに聞きながら、ちょくちょく出てくるラッコの写真を見ては笑顔になっている姿がとても印象的でした。もしこのレポートを読んでラッコに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、名古屋から一番近いラッコに会える水族館は三重県の「鳥羽水族館」です!!ぜひただ可愛いだけじゃないラッコたちに会いに行ってあげてください。
(レポート担当:ボランティアスタッフ 本多由季(ユキ)
カメラ担当:ボランティアスタッフ あいざわけいこ)
まずは参加者のみなさんに自己紹介と共にラッコのイメージを聞きました。「ラッコってどんな動物なのかよく知りません」「漫画の「ぼのぼの」のイメージです」「なんでラッコは貝を持っているの?」「のんびりしていて食いしん坊な印象を持ちました」「youtubeで見て、かわいいなと思いました」など、ほとんどの生徒さんがラッコについて初心者です。
先生の自己紹介後、まずは生徒さんにグレーの風船とペンが配られました。なにをするかと言うと、「あなたのラッコのイメージを風船を膨らませて表現してみてください」とのこと。女性陣はラッコをイメージするよりも風船を膨らませるのに苦戦しつつ、膨らました風船に悩みながらも自分のラッコのイメージを表現していきます。貝を持っている姿を描く人や、風船でラッコの顔を表現する人など個性豊かなラッコ達が出来上がりました。
自分の中のラッコのイメージを確認したところで、いよいよ詳しい話が始まります。
■ラッコは器用
みなさんはラッコがなぜあんなに器用に貝を持つことができるのかご存知ですが?
実はラッコの手は五本指。手を器用に使って貝を持ちます。なんと、霊長類以外で道具をつかうのはラッコだけなんだそう!
お腹の上にのせた石に貝を叩き付け、貝の中身を食べます。器用さはそれだけではなく、水槽の強化ガラスを石をぶつけて割ってしまったなんていうラッコもいたんだとか。ほかにも、飼育員さんたちが出入りするドアを2足歩行でドアノブを回して出てきたラッコもいたそうです。
■ラッコは何者?
そんな器用なラッコは何者なのでしょうか?なぜ海にいるのでしょうか?
海に住むほ乳類の総称を「海獣」と呼び、アザラシやジュゴン、イルカなどの大型動物と同じくラッコも海獣に含まれます。そして、ラッコを生物学的な分類で見てみると「食肉目・イタチ科・カワウソ亜科」。つまり、遠い昔にカワウソの祖先から分かれて海に行ったものがラッコ。その証拠に英語では「Sea otter」と呼ばれ、otterの意味はカワウソです。
日本ではなぜラッコと呼ぶのでしょうか?
千島列島や日本の北の方にもともとなじみがあった動物という事もあり、ラッコの語源は「アイヌ語」で、それがそのまま日本語になりました。
■ラッコは食いしん坊できれい好き
ある動画を先生は見せてくれました。それは、ラッコが水に浮かびくるくる回りながら顔や体に手をあてて全身をこすっている姿でした。この姿を水族館で見た人は大抵「ラッコは体がかゆいんだね」というそうです。
しかし、先生は言います。
「痒いわけではないです。これは生きていくのに必要なグルーミングという行為なんです。」生きていくために必要な行為??一体どういうことなんでしょうか。それにはラッコの生態と大きな関係があります。体長が100cm~150cmで体重が15kg~32kgの海獣の中では小柄なラッコは、誰にも負けない上質な毛皮を持っています。毛皮の構造は、ガードヘアと呼ばれる一本の荒い毛のまわりを約70本のアンダーファーと呼ばれる羽毛のような柔らかい毛で取り囲む2重構造です。この構造により、毛の間に空気を蓄え保温し冷たい水から体温を奪われないようにしているのです。
しかし、その毛皮を維持するためにはグルーミングが必要不可欠。グルーミングをおこたると、病気や死の可能性があります。また、海で暮らす動物たちは多くの脂肪をため温かさを保っています。しかしラッコは体重が軽く、このことは海で生きていくには命取りになります。そのため、ラッコは一日に自分の体重の5分の1から3分の1の量の食料が必要で、それによって体温を生み出しています。ラッコのかわいさの裏には生きることへの一生懸命さが隠れています。そんなところがラッコの魅力であると先生は言います。
ここでお話の前半戦は終了。
■ラッコに関連した食べ物が登場
先生がこの日のために用意してくださった、ラッコに関連メニューが登場。
【ゆずソーダゼリーとフルーツのせ"ラッコ"寒天ゼリー】
ラッコの型を使用した牛乳寒天ゼリーがゆずソーダゼリーのうみの上に浮いている、なんともかわいい一品。
【ラッコブレンドコーヒー】
BeansBitouさんにお願いし、先生のラッコのイメージを元にブレンドしてもらったという一杯。「かわいい!」と生徒さんたちのテンションも急上昇し、おいしいゼリーとコーヒーでちょっと休憩をとり、後半戦がスタートです。
■ラッコと人と
先程も書いたようにラッコは大変上質な毛皮を持っているため、19世紀の大航海時代に人々によって乱獲されたという歴史があります。また、近年では1989年に起きたエクソンバルディーズ号原油流出事故では、ラッコの生息地であるアラスカ湾での事故のため多くのラッコが命を失いました。そして現在では、ラッコは絶滅危惧種に指定されています。
■ラッコに気軽に会えなくなる日はそう遠くない
現在の日本では9館の水族館で13匹のラッコに会うことができます。これは世界的に見ても稀で、こんなに狭い地域でこんなに多くのラッコに会える国は日本しかないのだとか。しかし、そんな日本でもラッコの高齢化や繁殖の難しさから訃報が続いています。そんな中でも希望の光となっているのが、福岡県にあるマリンワールドで2012年1月に生まれた「マナちゃん」の存在です。人工保育が難しいとされている中で、元気に育った近年で唯一成功した事例。なんとマナちゃんの本まで販売されるほど大人気となっています!
■最後にラッコが先生にくれたもの
ラッコについて詳しくなっていくうちに気づいたことの1つに、ラッコは進化の過程がとても優しいということ。他の動物を傷つけることなく自分の長所を生かして進化を遂げてきたり、ちょっとおちゃめで水族館の人を困らせながら過ごしているところにラッコの優しくて可愛げを感じます。そして2つめに、ラッコに関わるようになって悪いことがおきない!ということです。
授業の最後に生徒さんから、
「今までラッコをちゃんと見たことがなかったけれど、これを機会に観に行こうと思います」
「ラッコはいつも水族館にいるものだと思っていたのに、現状がそうではないと知って寂しい気持ちになった」
「ただ可愛いだけではなく、ラッコの歴史を知れてよかった」など最初に感じていたイメージから皆さんかなりラッコについて詳しく、そして様々なことを考えてもらうことが出来たのではと感じます。
授業中も生徒さんは先生の話を興味深そうに聞きながら、ちょくちょく出てくるラッコの写真を見ては笑顔になっている姿がとても印象的でした。もしこのレポートを読んでラッコに興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、名古屋から一番近いラッコに会える水族館は三重県の「鳥羽水族館」です!!ぜひただ可愛いだけじゃないラッコたちに会いに行ってあげてください。
(レポート担当:ボランティアスタッフ 本多由季(ユキ)
カメラ担当:ボランティアスタッフ あいざわけいこ)
先生
小林優太 / コピーライター/大ナゴヤノート.エディター/ RACCOLABO代表
広告制作会社を退職後、地元・あま市のまちづくりに関わる。行政の中でまちづくりに関わり始めると同時にコピーライターとしてのキャリアをスタート。 2017年より「RACCO LABO」を屋号に掲げ、フリーランスとして活動する。 コピーライターの他に、大学講師、まちづくりコーディネーター、ラッコの魅力発信とグッズ開発に勤しむラッコ愛好家など、多彩な顔を持つパラレルワーカー。キャッチフレーズは「あま市と歴史とラッコを愛す」。