授業詳細

CLASS


ネガティブをポジティブへ。社会的マイノリティに光をあてるWEBメディア“soar” 

開催日時:2016年05月22日(日) 15時00分 ~ 17時00分

教室:グローカルカフェ

レポートUP

先生: 工藤瑞穂 / 『soar』編集長、「HaTiDORi」代表、ダンサー

カテゴリ:【コミュニケーション】

定 員 :20人

※参加費として1,500円を頂戴します(ケーキ・ソフトドリンク1杯付)
※車いすでのご参加大歓迎です!
※ご参加にあたり補助が必要な場合・介助者または同伴者をお連れの場合は、お手数ですがdai-nagoya@univnet.jpまで事前にご連絡くださいませ。介助者または同伴者の方は無料とさせていただきます。(ケーキ・ソフトドリンクをご注文の場合は実費を頂戴します。)
人の持つ可能性が広がる瞬間を捉え、伝えていくメディア“soar(ソアー)”。

代表の工藤瑞穂さんは語ります。
「本来、人は誰でも自分の内側に高いエネルギーを持ち、可能性に満ちている。
けれど、世の中には様々な要因から、その可能性にふたをされてきた人たちがいる。」

LGBT、障がい者、貧困、虐待を受けている人…
いわゆる社会的マイノリティと呼ばれる人たちです。
広義では妊婦さんや高齢者の方も当てはまるかもしれません。
彼らはなんらかの制約によって、自分の持つ力や可能性を発揮できない状態にあったり、
差別や偏見を受けていたりします。
一方で、世の中にはこうしたふたを開けようと、デザインやビジネス、アート、テクノロジーなど、
様々な手法を用いて活動している人たちがいます。

このような事例をリサーチし、発信していくsoarの取り組み。
東日本大震災後、「小さくても、わたしはわたしにできることを」をコンセプトに、
アートや音楽を楽しみながら社会問題を話し合えるイベント「HaTiDORi」や、
東北の未来について楽しく気軽に語り合う「寺フェス」を多数開催してきた工藤瑞穂さんが編集長となり、
2015年12月にスタートしました。

これまでネガティブに見られがちだった社会的マイノリティを、彼らにとことん寄り添って想いを引き出すことで、
ポジティブな見方へ変換していくsoar。WEBメディアには珍しく、編集長自身の心の動きが画面から溢れてくる
ようなインタビューが特徴的です。

「少しでも健常者と障害者の壁をなくしたい」ーー難病・遠位型ミオパチー患者の織田友理子さんが描く世界

今回の授業では、soarではどんな”社会的マイノリティ”の人々と出会っているのか、メディアを始めて何が起こっているのか、
この先どのように活動を広げていきたいと考えているのか…soarに懸ける想いとともに、工藤編集長から直接お話しいただきます。
そして、社会的マイノリティを含む誰もが自分自身に誇りを持ち、自分自身の持つ可能性を活かして生きていける世の中に近づくために、
私たちができることもきっとあるはずです。
ぜひ、一緒に考えてみませんか。

14:45~ 受付開始
15:00~ 授業スタート 自己紹介(参加したきっかけ)
15:15~ 先生のお話
16:00~ 質疑応答
16:10~ ワークショップ
     ①あなたの考える“可能性にふたをされてきた人たち”
     ②“誰もが自分の持つ可能性を活かして生きていける世界”を実現するために、 あなたができることは?
16:40~ ふりかえり・記念撮影
17:00  授業終了

(授業コーディネーター:井上麻衣)
「マイノリティ」という言葉をご存知でしょうか??
日本語で直訳すると、少数、少数派を意味する言葉ではありますが、社会においての少数派を指す言葉としても用いられています。

障害、貧困、性別、虐待…といった、さまざまな理由によって、自分の持つ力や可能性を発揮できない状態にあったり、差別や偏見を受けていたりする方がいます。そういった社会的マイノリティと呼ばれる方たちとは、日常の中では関わることも少なく、結果としてネガティブにうつることも多いかと思います。

社会的マイノリティという言葉はまだまだ一般的ではないのかもしれません。しかし、以前よりずっと耳にする機会が増えた印象です。その背景にいらっしゃる方の一人が今回の授業の先生である工藤瑞穂さんです。



工藤さんは、webメディア”soar(ソア)”の代表、編集長として、社会的マイノリティの活動に光をあて、より広く伝わるよう発信をしています。ネガティブをポジティブへ。社会的マイノリティに光をあてることの意味をじっくりと考える授業となりました!

ーーー

参加者も含めた自己紹介から始まった今回の授業。
参加者は学生、障がい者の福祉の仕事、市役所職員…と年齢も職業もさまざま。日常的に社会的マイノリティと接する機会が多い方もいれば、私と同じくあまり機会も知識も無いとおっしゃる方もいました。



印象的だったのは大ナゴヤ大学のほかの授業に比べて、若い方の参加が多かったこと。これもsoarの発信の仕方やメディアの力によるものなのでしょう。


工藤さんのお話は自らの生い立ちから始まりました。
工藤さんのプロフィールには、『soar』編集長「HaTiDORi」代表と並んで、”ダンサー”とあります。(プロフィールに併記する理由も含めて)ダンサー?と思っていた方は私だけではないはず。しかし、生い立ちを聞いて、それはきれいに繋がったのでした。



【 新しい被災地支援の形 ”HaTiDORi”の立ち上げ 】

目立つこと、音楽が大好きな工藤さんは、勝ち負けが無く自分を表現できるダンスに学生時代から没頭していたそうです。また、苦しんでいる人、弱い人のためになることをしたいという思いから、日本赤十字社に勤務。ダンスに仕事にと、充実した日々を送っていたそうです。

20歳の工藤さんはまさにダンサーといった面持ち!現在のふんわりしたイメージからは想像できません。



そんな日々に突如として現れた東日本大震災。

勤務先が仙台であったため、自らも震災を経験。そして友人、知人の中には大きな被害を受けた方もいたそうです。工藤さんは震災によって友人が苦しむ姿をみて、何か出来ることはないかと考えるようになります。 

物資輸送や現地でのボランティアとして活動を開始した工藤さん。ある日、ボランティア活動で被災地を訪問した際にダンスやライブを披露したところ、とても喜んでもらえたそうです。「音楽、ダンス、アートは無力ではない、そう思えたこの経験が大きな自信に繋がり、”HaTiDORi”を立ち上げるきっかけになりました」と工藤さんはおっしゃいました。



話を聞いて、娯楽を届けるというのは順序やタイミングが重んじられるイメージでしたが、工藤さんの場合、それが押し付けではなく、求められてから行ったという順番のように感じました。これは被災地に何度も足を運び、馴染んだ結果だと思います。馴染むというのはこういうことなんだなと考えさせられました。

HaTiDORiでは、ダンスや音楽のイベント、フェスを開催し、お坊さんと意気投合して寺フェスなるイベントも開催。お寺本来の、”誰でもこれる場所”という意義とリンクしたイベントとなったようです。「知り合いではない人々が集まり、同じ空間を楽しむ。それだけのことなんだけど見知らぬ人でも存在を排除しないことが社会にとってとても大事だと教わったのです」と、工藤さんはおっしゃいました。


【知らないことを伝えるために "soar"スタート】

工藤さんはイベントを開催していく中で、たくさんの人に出会い、楽しい空間を生み出しました。その中で、新たに気付いたことがあるそうです。それは、ここには来ることの出来ない人たちの存在。

身体的な理由、精神的な理由、家庭的な理由などで、こういったイベントに来ることができない人こそ、さらに救済が必要なのではないかと感じるようになったそうです。また、身近な人が統合失調症に。その方は、病院から出られなくなるまでに悪化してしまったそうです。

そんな中、ある場所に出会います。それは"べてるの家"。
精神障害を抱えた方たちが、自身の症状を尊重する形で向き合い、改善していく。治療ではなく共存していくような場所でした。

「この場所をもともと知っていたら、助けることができていたかもしれない」と工藤さんは不甲斐ない気持ちになったそうです。「知らない」ということが、生み出した悲しい現実。知らずに苦しんでいる人に情報を届けたい、そして"soar"は生まれました。

「鳥が空高く舞い上がり、気持ちが高揚する」という意味をもつsoar。様々な可能性を発信し、知られていないことを伝え、ネガティブなことをポジティブに変えていく。人の可能性が広がる瞬間をとらえるwebメディアとしてスタートしました。



ーーー

工藤さんは続けて、soarで紹介されている社会的マイノリティを説明してくださいました。それぞれが本当にユニークで魅力的です。一部をご紹介します。

handiiiと森川さん
義手といえば、肌色で本物の手に似せてなるべくわからないように見せるものという認識がありますが、handiiiはそういう概念を覆す色、形!

ロボットのようなクールな形状で色も自由に選べるそう。腕がないというとかわいそうとみられることが多く、おのずと義手とわからないように見せがちですが、義手自体を見せたいと思えるデザインに変え、使用する側も見る側も印象が変わりました。

handiiiの開発にも協力し、実際に使用されている森川さん。森川さんと握手をすると、子供は自然と笑顔になるようです。”義手ってかっこいい”まさにネガティブなことをポジティブに変えていえる素敵な事例です。



遠位型ミオバチー患者 織田さん
遠位型ミオバチーという、聞きなれない病名。織田さんは大学生の時にこの病気と診断されたそうです。難病と言われているこの病気は体の中心から遠い部分の筋力からどんどん弱っていき、いずれは寝たきりになってしまうという病気です。いまだに薬も治療法も確立されておらず、患者数も少ないために研究も進んでいないようです。

織田さんはこの病気になり、車いすでの生活を余儀なくされる中で、たった数センチの段差が、大きな障害となることを知ったそうです。現在は世界中のバリアフリー情報をマップ化する「みんなでつくるバリアフリーマップ」の立ち上げに奮闘。

このアイデアは、2015年に開催されたテクノロジーを使って社会課題を解決するアイデアを募集していた「Googleインパクトチャレンジ」でなんとグランプリを受賞!

織田さんは、この病気で子供が産めなくなることを知り、早々に結婚、旦那さんとの間に子供を授かったそうです。旦那さんは現在も様々な活動のパートナーとなり、常に織田さんを支えています。織田さんももちろんですが、パートナーの理解の深さに心が温かくなるエピソードでした。



恋する豚研究所
名前からして只者ではない、そしてほんわかと優しい印象ですが、こちらは障害も持った方が働く福祉作業所です。「恋する豚」というブランドで精肉やベーコン、ハムなどを製造・販売しており、レストランも運営しています。

名前、デザイン、雰囲気…どれをとっても従来のそれを覆すイメージ。勝手な印象かもしれませんが、こういった商品がブランドとして成り立つイメージがありませんでした。しかし、外に発信していくイメージを変え、中で働く環境や気持ちも変え…福祉作業所というネガティブなイメージを持たれがちな場所もいくらでもポジティブに発信できるんだなと気づかされました。



ほかにも様々な事例を教えてくれた工藤さん。工藤さんは、社会的マイノリティをとても楽しく話してくれます。そこにネガティブな印象はなく、前向きで、すがすがしいものでした。明るく、だけど真剣で。そして、実際に訪問して話を聞いているからこそのリアリティをとても感じました。

ーーー

お話の後の質問の時間では、実際の反響を工藤さんがおっしゃってくださいました。
メールやtwitterでは、障害や病気の当事者の方に、「障害者の感動のストーリーなどは期待していないので、いい話に仕立て上げるメディアにだけはしないでほしい」という意見を頂いたこともあるそうです。

「そういう風にはならないように気をつけよう」という内容をツイートしたところ、難病当事者の方から「このような当事者と健常者の間に立ってくれるメディアがあって嬉しいし、私は期待しています」というリプライを頂けたそうです。

当事者からの意見に真摯に受け止め、それを形にしていく。そしてそれを喜んでもらえる。常に前を向いて活動しているsoarの皆さんの現状を垣間見ることができました。

ーーー

その後は、数名ごとに分かれて、”「あなたが何とかしたいと思う社会的マイノリティ」「可能性にふたをされてきた人たち」、そのために私ができること”という題材で話を進めるワークショップを行いました。





工藤さんは明るく楽しく話してくださいましたが、やはり、難しい問題である社会的マイノリティ。題材が題材だけに最初は緊張の面持ちの参加者たちでした。
が、もともと興味を持たれて集まった方たちです。途中からはでるわでるわ、思いや自己の経験、体験!予定の時間を大幅に超えて、ワークショップは終了。授業はお開きとなりました。

工藤さんは最後にこう話してくれました。「寺フェスもそうですけど、フェスやイベントはどうしても華やかな印象で、そのせいで足を運べない方も必ずいると思う。もっとおしゃれしないで気軽に来れるようなイベントも行いたい。公民館や市民センターもいいですね」

”ここには来ることの出来ない人たちの存在”に常に目を向け、そこに対しての発信を目指している、揺るがない信念。まずはより多くの人に届くように。楽しいイベントやデザインが整えられたサイトも、すべてそこに繋がっている。

本当にすべてに筋が通っていてはっとさせられます。この活動を応援したい。そう思えるのは、活動の内容もさることながら、やはり工藤さんの人柄によるところも大いにあるのではないでしょうか。

興味のある方はぜひ一度、soarのサイトを覗いてみてください。また、それをぜひ人に伝えてみてください。興味を持つこと、知ること、伝えることはとても大事で確かな一歩です!



ーーー

現在、soarは全国取材費・サイトリニューアル費を募るクラウドファンディングを実施中です。250万円のチャレンジで、もし1円でも足りなかったら1円ももらえないというものです。これまで取材費と交通費をなんとか捻出して取材をしてきたそうですが、よりよい情報を取材したくさんの人々に届けるため、全国に取材に行く費用、サイトリニューアル費用を集めたいとのことです。

存在は知っていて、でも、普段向き合う機会もなくて。

ただ、協力できる機会があれば力になりたいという方。レポートを見て興味を持っていただいた方。ぜひ一度サイトをのぞいてみてください。
https://www.makuake.com/project/soar/

レポート:久保田充
写真:あいざわけいこ

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

工藤瑞穂 / 『soar』編集長、「HaTiDORi」代表、ダンサー

「soar」代表・編集長/「HaTiDORi」代表 1984年青森県生まれ。宮城教育大学卒、青山学院大学ワークショップデザイナー育成プログラム修了。Webメディア「マチノコト」ライター。 仙台の日本赤十字社で勤務中、東日本大震災を経験。震災後、「小さくても、わたしはわたしにできることを」をコンセプトに、仙台で音楽・ダンス・アート・フードと社会課題についての学びと対話の場を融合したチャリティーイベントを多数開催。地域の課題に楽しく取り組みながらコミュニティを形成していくため、お寺、神社、幼稚園など街にある資源を生かしながら様々なフェスティバルを地域住民とともにつくる。2015年12月より、社会的マイノリティの人々の可能性を広げる活動に焦点を当てたメディア「soar」をオープン。イベント開催、リサーチプロジェクトなど様々なアプローチで、全ての人が自分の持つ可能性を発揮して生きていける未来づくりを目指している。

今回の教室

グローカルカフェ

住所:愛知県名古屋市中村区則武1丁目21-3
※名古屋駅 新幹線口から徒歩7分
地図を見る

2015年6月オープン。バックパッカーズホステルの1階にあり、海外からの旅行者たちの利用も多く、地元の若者達との交流をお互いに楽しんでいます。

グローカルカフェHP:https://www.facebook.com/glocalcafe