授業詳細
CLASS
建築家と巡る明治村
開催日時:2016年10月08日(土) 13時00分 ~ 15時40分
教室:博物館明治村
レポートUP
先生:
小谷 陽次郎 / 株式会社日建設計/建築家 Architect
カテゴリ:【歴史・文化】
定 員 :15人
・参加費(交通費、明治村入村料、お茶代は各自負担)として1.000円を頂戴します。
・集合場所:明治村正門内側
・各自チケット(1,700円)を購入し入場してください。
建築好きへ捧げる!・集合場所:明治村正門内側
・各自チケット(1,700円)を購入し入場してください。
近代日本の基盤を築いた時代、明治。
ノスタルジックな雰囲気漂う博物館明治村。
そんな明治村の選りすぐりの建築を、建築家と一緒に巡ります。
江戸時代からの木造建築の伝統と蓄積の上に欧米の様式・技術・材料を取り入れ、
石造・レンガ造などの洋風建築を生み、産業革命に伴い、鉄・セメント・ガラスを用いた近代建築の基を築いた明治。
そんな時代に生まれた、芸術上、歴史上価値のある建築物が明治村には保存されています。
レトロでどこか懐かしくもあり、とびきりの存在感で圧倒する建物を鑑賞するツアーです。
先生は建築家の小谷陽次郎氏。
明治時代の建物に関するいくつかのキーワードを用いて、近代建築の魅力をたっぷり語っていただきます。
犬山の美しい景色と近代建築をぜひ一緒に楽しみましょう!
【スケジュール】
12:45 受付開始(集合場所:明治村正門内側)
13:00 授業開始、挨拶、自己紹介など
13:10 ツアー開始
15:30 ツアー終了
15:40 アンケート、集合写真、解散
授業コーディネーター:洞派 友香
10月8日、犬山市にある博物館明治村にて「建築家と巡る明治村」授業が行われました。
今回の先生は株式会社日建設計の小谷先生です。
私も何度か明治村には行った事があるのですが、今回の授業で建築物を目の前にして説明をしてもらうと驚きと発見の連続でした。
このレポートでその一部を紹介いたします!
明治時代と言えば鎖国が崩壊し、一気に諸外国との交流が増えることになります。近代化が進む中で日本にやってきた外国人建築家によって西洋風の主要な施設が次々と建てられてゆきました。
しかし、都会から離れた地方の官庁舎などはその地域の大工さんが勉強して見よう見まねで作っていたそうです。
そんな時代背景の建築物として、三重県庁舎です。
こちらは明治12年に完成したもので、三重県の大工さんが洋風建築を自分で勉強し作り上げた建物だそうです。
全体を見るといかにも洋風の建物なのですが、ふと屋根を見てみると瓦屋根なんです。なぜなのかというと昔は豪商や武家などの位の高い家には瓦屋根が当たり前。なのでいくら洋風建築といっても庁舎という重要な建物にはやはり瓦屋根でなくては!という日本人特有の意識があったそうです。
さらに、ここで驚いたことが窓の木枠やドアなどに塗装を施しチークなどの高価な木材に見えるよう、木目を手で描いているのです。
生徒のみなさんも小谷先生に説明を受けるまではまったく気づかなかったそうで、何度もドアに近づいて確認されていました。
理由としては日本の木材をそのまま使うとどうしても洋風建築に見えなくなってしまうので、違和感を感じさせないためだそうです。
なんて細かい作業なんだと思いましたが、ここまでこだわることが全体の雰囲気を崩さないんですね!
次に実際に西洋で建築を学び、東京駅や日本銀行本店を設計した明治建築の第一人者 辰野金吾の建築に多く見られる「辰野式ルネッサンス」という様式を取り入れた金沢監獄正門・第八高等学校正門です。
辰野式ルネッサンスとは赤煉瓦と白花崗岩をボーダー状にする独特の様式です。
明治村内ではこの他にもう1つ辰野式ルネッサンスを見る事ができますので3つの辰野式ルネッサンスを比較するのも楽しいかもしれません。
最後に20世紀建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトによって設計された帝国ホテルの中央玄関です!
今までの建築物とはどこか違う雰囲気を感じました。装飾や何気ないところにライトがイメージしたアジアの要素も取り入れられているのではと小谷先生はおっしゃっていました。
よく見るとレンガひとつひとつに施された縦のひっかき模様や窓枠に金色の幾何学模様があったりと、全体のイメージを保ちながら華麗に見せる技術が随所にありました。
さらに全体の建築様式として「有機的建築」というライトが提唱した理念のもとに設計されています。有機的建築とは生物や生命に合わせ、仕切られた空間ではなく自然と調和した建築物のことを指すそうです。
実際に中に入ってみると天井は低いのになぜか窮屈感を感じないのです。
ひとつひとつが計算し尽くされていて不快感を感じさせない、そんな不思議な建築でした。
このレポートでは私が特に印象深いと感じた3つを挙げさせていただいたのですが、これ以外にもたくさんの見どころがある建築物を紹介していただきました。その中でも違う意味で記憶に残った建築物は、「清水医院」です。この建物は土蔵造りなのになぜか屋根がこけら葺きだったり、窓があったりと、少し不思議な造りだそうです。
なぜ違う意味で記憶に残ったかというと小谷先生が「この建物は不思議なところが多くてなんだか可愛いんですよね」とおっしゃっていたからです。
建築物に対してたくさんの知識があると、総合的に見たとき建築物が可愛く思えたり、違う感情が生まれるんだな〜と新しい発見もありました。
授業後、生徒のみなさんから「次から明治時代の建築物を見たときに今日教わったことを思い出しながらいろんな角度から細かく見てみたい」や「今までいくつか見た事があるけれどこんなにたくさんの見所があるなんて知らなかった!」という感想を述べていただきました。
感想を聞きながら生徒のみなさんの建築物に対する見方が変わったのではないかなと思いました。
明治時代の建築物は西洋と日本の建築技術が融合した貴重な時代で、世界中のどこを探してもあまり見られない、不思議な魅力がたくさん詰まった建物があるんだなと感じました。
普段昔の建築物を見るときは全体でしか見ていなかったのですが、次回から小谷先生から教わったいくつかの見どころポイントを思い出してじっくり見ていこうと思えるとても有意義な授業でした!
レポート:川瀬つぐみ
写真:YUI
今回の先生は株式会社日建設計の小谷先生です。
私も何度か明治村には行った事があるのですが、今回の授業で建築物を目の前にして説明をしてもらうと驚きと発見の連続でした。
このレポートでその一部を紹介いたします!
明治時代と言えば鎖国が崩壊し、一気に諸外国との交流が増えることになります。近代化が進む中で日本にやってきた外国人建築家によって西洋風の主要な施設が次々と建てられてゆきました。
しかし、都会から離れた地方の官庁舎などはその地域の大工さんが勉強して見よう見まねで作っていたそうです。
そんな時代背景の建築物として、三重県庁舎です。
こちらは明治12年に完成したもので、三重県の大工さんが洋風建築を自分で勉強し作り上げた建物だそうです。
全体を見るといかにも洋風の建物なのですが、ふと屋根を見てみると瓦屋根なんです。なぜなのかというと昔は豪商や武家などの位の高い家には瓦屋根が当たり前。なのでいくら洋風建築といっても庁舎という重要な建物にはやはり瓦屋根でなくては!という日本人特有の意識があったそうです。
さらに、ここで驚いたことが窓の木枠やドアなどに塗装を施しチークなどの高価な木材に見えるよう、木目を手で描いているのです。
生徒のみなさんも小谷先生に説明を受けるまではまったく気づかなかったそうで、何度もドアに近づいて確認されていました。
理由としては日本の木材をそのまま使うとどうしても洋風建築に見えなくなってしまうので、違和感を感じさせないためだそうです。
なんて細かい作業なんだと思いましたが、ここまでこだわることが全体の雰囲気を崩さないんですね!
次に実際に西洋で建築を学び、東京駅や日本銀行本店を設計した明治建築の第一人者 辰野金吾の建築に多く見られる「辰野式ルネッサンス」という様式を取り入れた金沢監獄正門・第八高等学校正門です。
辰野式ルネッサンスとは赤煉瓦と白花崗岩をボーダー状にする独特の様式です。
明治村内ではこの他にもう1つ辰野式ルネッサンスを見る事ができますので3つの辰野式ルネッサンスを比較するのも楽しいかもしれません。
最後に20世紀建築界の巨匠、フランク・ロイド・ライトによって設計された帝国ホテルの中央玄関です!
今までの建築物とはどこか違う雰囲気を感じました。装飾や何気ないところにライトがイメージしたアジアの要素も取り入れられているのではと小谷先生はおっしゃっていました。
よく見るとレンガひとつひとつに施された縦のひっかき模様や窓枠に金色の幾何学模様があったりと、全体のイメージを保ちながら華麗に見せる技術が随所にありました。
さらに全体の建築様式として「有機的建築」というライトが提唱した理念のもとに設計されています。有機的建築とは生物や生命に合わせ、仕切られた空間ではなく自然と調和した建築物のことを指すそうです。
実際に中に入ってみると天井は低いのになぜか窮屈感を感じないのです。
ひとつひとつが計算し尽くされていて不快感を感じさせない、そんな不思議な建築でした。
このレポートでは私が特に印象深いと感じた3つを挙げさせていただいたのですが、これ以外にもたくさんの見どころがある建築物を紹介していただきました。その中でも違う意味で記憶に残った建築物は、「清水医院」です。この建物は土蔵造りなのになぜか屋根がこけら葺きだったり、窓があったりと、少し不思議な造りだそうです。
なぜ違う意味で記憶に残ったかというと小谷先生が「この建物は不思議なところが多くてなんだか可愛いんですよね」とおっしゃっていたからです。
建築物に対してたくさんの知識があると、総合的に見たとき建築物が可愛く思えたり、違う感情が生まれるんだな〜と新しい発見もありました。
授業後、生徒のみなさんから「次から明治時代の建築物を見たときに今日教わったことを思い出しながらいろんな角度から細かく見てみたい」や「今までいくつか見た事があるけれどこんなにたくさんの見所があるなんて知らなかった!」という感想を述べていただきました。
感想を聞きながら生徒のみなさんの建築物に対する見方が変わったのではないかなと思いました。
明治時代の建築物は西洋と日本の建築技術が融合した貴重な時代で、世界中のどこを探してもあまり見られない、不思議な魅力がたくさん詰まった建物があるんだなと感じました。
普段昔の建築物を見るときは全体でしか見ていなかったのですが、次回から小谷先生から教わったいくつかの見どころポイントを思い出してじっくり見ていこうと思えるとても有意義な授業でした!
レポート:川瀬つぐみ
写真:YUI
先生
小谷 陽次郎 / 株式会社日建設計/建築家 Architect
代表作は神戸税関、陸別小学校、静岡ガス本社ビル。学生時代はフランス新古典主義建築を中心に近代建築までを研究。
今回の教室
博物館明治村
住所:〒484-0000 愛知県犬山市字内山1番地
【アクセス】
「名鉄名古屋駅」から「名鉄犬山駅」下車 バス20分。
※犬山駅は東口です。「明治村行」のバスにご乗車ください。
名古屋「名鉄バスセンター」「栄」から明治村行バス
地図を見る
愛知県犬山市にある野外博物館。明治時代の建造物等を移築して公開し、また明治時代の歴史的資料をも収集し、社会文化の向上に寄与することを目的とする施設。