授業詳細
CLASS
“あなたのふつうをあつらえる”未来食堂の目指す未来とは?
開催日時:2017年01月29日(日) 15時00分 ~ 17時15分
教室:グローカルカフェ
レポートUP
先生:
小林 せかい / 未来食堂 代表
カテゴリ:【コミュニケーション、食】
定 員 :15人
・参加費としてお一人様3,000円頂戴します(チーズケーキorガトーショコラ+ワンドリンク付)。
・書籍『未来食堂ができるまで』『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』を事前に読んだ上でご参加ください。当日2冊ご持参いただいた方には未来食堂の一食無料券を差し上げます。
あなたの希望にあわせておかずをあつらえる「あつらえ」・書籍『未来食堂ができるまで』『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』を事前に読んだ上でご参加ください。当日2冊ご持参いただいた方には未来食堂の一食無料券を差し上げます。
お店を50分お手伝いすれば一食分をもらえる「まかない」
その一食分を誰かにあげることで、誰かが一食分を無料で食べられる「ただめし」
18歳以上の方は原則入店できない「サロン18禁」
事業計画書も毎月の収支もすべてWEBで公開…
東京・神保町に2015年9月にオープンした“未来食堂”。
たった12坪のお店ながら、ユニークな施策を次々と展開しています。
その奥にある理念は、「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」をつくること。
客層を想定し、それに合わせたお店とすることで売上を作る飲食店は世に溢れていますが
「誰もがふさわしい場所をつくる」という未来食堂のあり方は、なかなか珍しいのではないでしょうか。
今回の授業では、まずは代表の小林せかいさんがそのような理念に至った背景、そして実際やってみて感じたことをじっくりお話いただきます。
賞賛されることも注目されることも、せかいさんにとっては「試練」であり「未来食堂の理念がまだ見ぬ誰かに伝播される」までのひとつの過程。その考え方は、自分を省みるヒントになるかもしれません。
続いてディスカッションタイム。
あなたにとっての「誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所」とは一体どういう場所なのか。
もしもこのような考え方が広がっていったら、いったいどんな世界が待っているだろう?
そんなことを、互いの意見に耳を傾けながら話し合ってみましょう。
あらゆる既存の道徳概念から離れ、そこで起こることは何でしょうか。
わくわくする未来を、一緒に考えてみませんか。
【授業スケジュール】
14:45 受付開始
15:00 授業開始、自己紹介
15:15 せかいさんのお話
16:00 ディスカッション
17:10 記念撮影・アンケート
17:15 授業終了
授業コーディネーター:井上麻衣
(トップ画像は小林せかいさん了承のもと、http://motokurashi.com/the-bamboo-princess-kobayashisekai/20160527
より引用させていただきました)
神保町から少し歩いた昭和なビル、日本教育会館B1Fに、今回の授業の先生をしていただく小林せかいさんが店主の未来食堂があります。
『誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所』
これが未来食堂の根底にあるメッセージです。
と、公開されている未来食堂の事業計画書には書かれています。
『誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所』、どういうことなのでしょうか…今回の授業は、そんな未来食堂と小林せかいさんに興味津々、せかいさんに会えるのが楽しみ!な生徒さんたちが、せかいさんに聞きたいことをじゃんじゃん聞いていく、座談会のようなスタイルで行われました。
せかいさんの著書『未来食堂ができるまで』と『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』を全員読了した状態で、会場グローカルカフェの美味しいお茶とケーキをいただきながら、まずは未来食堂の宣伝用に作られた動画(YouTubeで見られます)を視聴。その後、ざっくばらんな質問タイムになりました。とても全ては書き切れないので、いくつかピックアップしてご紹介します。
◯「ゼロベースの人が来たときが、気づき」
「未来食堂」には1度来た人なら誰でもお店を手伝うことができ、50分で1食分がいただける「まかない」というシステムがあります。「私はすごくどんくさいのですが、そういう人でも大丈夫ですか」という質問に、「ガチでどんくさい人はいる」と笑ってどんくさい人エピソードを披露するせかいさん。しかし、その時のことを振り返れば、説明が足らなかったり、その人が気にする部分を自分が気にしていなかったり、とその人をうまく活用できなかった自分の抜けに気づく。何もできなさそうな人が来たときこそ、その場をなんとか凌がなくてはということではない、根本的な気づきがある、そうです。
◯「ドーナツ型のコミュニケーション」
飲み物の持ち込みは自由でお店に半分残せばOK、頂き物をお店がお客さんに振る舞う「さしいれ」のシステム。いったいどう成り立っているのか、と不思議がるみなさんに、未来食堂のコミュニケーションはドーナツ型、と説明するせかいさん。たとえば素敵なバーで素敵なマスターがいて、お客さんがマスターを中心にコミュニケーションをとるのは「ショートケーキ型コミュニケーション」。ショートケーキではイチゴ(マスター)が大切。未来食堂はドーナツ型なんです、というせかいさん。ドーナツは穴があいていないといけない。何かがないことが大切。自分が中に入らない、けれどもお客さんをつなぐ、だから初めての人もそうでない人も「そこにいてよい人」になる。
「さしいれ」には、空気を読まなければいけないような複雑なルールはなく「半分」というわかりやすい基準があるから、誰にでもすぐにできる、ということです。なぜだか人は知らない人にもものを譲ったり分けたりする、そうやって人が喜ぶことをして良い、とわかっていることがいいんですね。
◯「コンビニの接客+京都の接客」
生徒さんの中に、未来食堂に1度行けばもらえる100円引きのクーポン(手作り感満載のものすごく手が込んだものです)を持っている方がおり、見せていただきました。
毎日来てくれる人もいる、とのことですが、心がけているのは、そっけない、でもわかる人にはわかる、それぞれの人にあった心づかい、というお話をするせかいさん。飲食店の主流は名前や個人情報を覚え、常連さんとしての特別感を出すことだけれど、未来食堂ではそれをしない。名前や個人情報ではなく、食のことのみの特別扱いをするそうです。トマトが嫌いだったな、猫舌だな、そういうことを気づいて何も言わずに対応する。
今では、たくさんのメディアに取り上げれ、せかいさんと話したくてくるお客さんもいるそうです。けれど、話し込むのではなく、お店の作業をお願いしたりして、連帯感や仲間意識を持ってもらうようにしているとのこと。話さなくてもわかりあえた、という気持ち。これが誰もが受け入れられた感につながっていく。
これ以外にも、サロン18禁の話やエンジニア的考え方で数値化される未来食堂の運営(残念ながらエンジニア的考え方のできない私にはまとめられなかった)、家の住所が覚えられなかったり夕食がポップコーンだったりするせかいさん自身について、名古屋の印象は?…などなど話は尽きず、時間をどんどん延長して盛り上がりました。
そして、実はその後、とある土曜日の夕方に、私自身が未来食堂に行く機会がありました。中に入ると、私以外のお客さんは1人。最初の注文の会話が終わると、せかいさんはさっと定食を出してくださり、その後は静かに本を読んでいました。知らない人ばかりに会って疲れていた夕方だったので、私も静かに、美味しい麻婆豆腐の定食をいただきました。
「こんなにそっけないんだ!とびっくりされると思います」というせかいさんの言葉を思い出しつつ。でもそこには、「コミュニティ」などの言葉で作るみんなでいて居心地の良い場所ではなく、自分が「個」として存在していてよい場所、があるような気がしました。
でも、ひとりで生きているのではない。たくさんのお話の中で、せかいさんが言われた「人って合計で100点だなって思うんですよ」という言葉が、とてもいいな、と私は思います。
レポート:鈴木梨恵子
カメラ:あいざわけいこ
『誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所』
これが未来食堂の根底にあるメッセージです。
と、公開されている未来食堂の事業計画書には書かれています。
『誰もが受け入れられ、誰もがふさわしい場所』、どういうことなのでしょうか…今回の授業は、そんな未来食堂と小林せかいさんに興味津々、せかいさんに会えるのが楽しみ!な生徒さんたちが、せかいさんに聞きたいことをじゃんじゃん聞いていく、座談会のようなスタイルで行われました。
せかいさんの著書『未来食堂ができるまで』と『ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由』を全員読了した状態で、会場グローカルカフェの美味しいお茶とケーキをいただきながら、まずは未来食堂の宣伝用に作られた動画(YouTubeで見られます)を視聴。その後、ざっくばらんな質問タイムになりました。とても全ては書き切れないので、いくつかピックアップしてご紹介します。
◯「ゼロベースの人が来たときが、気づき」
「未来食堂」には1度来た人なら誰でもお店を手伝うことができ、50分で1食分がいただける「まかない」というシステムがあります。「私はすごくどんくさいのですが、そういう人でも大丈夫ですか」という質問に、「ガチでどんくさい人はいる」と笑ってどんくさい人エピソードを披露するせかいさん。しかし、その時のことを振り返れば、説明が足らなかったり、その人が気にする部分を自分が気にしていなかったり、とその人をうまく活用できなかった自分の抜けに気づく。何もできなさそうな人が来たときこそ、その場をなんとか凌がなくてはということではない、根本的な気づきがある、そうです。
◯「ドーナツ型のコミュニケーション」
飲み物の持ち込みは自由でお店に半分残せばOK、頂き物をお店がお客さんに振る舞う「さしいれ」のシステム。いったいどう成り立っているのか、と不思議がるみなさんに、未来食堂のコミュニケーションはドーナツ型、と説明するせかいさん。たとえば素敵なバーで素敵なマスターがいて、お客さんがマスターを中心にコミュニケーションをとるのは「ショートケーキ型コミュニケーション」。ショートケーキではイチゴ(マスター)が大切。未来食堂はドーナツ型なんです、というせかいさん。ドーナツは穴があいていないといけない。何かがないことが大切。自分が中に入らない、けれどもお客さんをつなぐ、だから初めての人もそうでない人も「そこにいてよい人」になる。
「さしいれ」には、空気を読まなければいけないような複雑なルールはなく「半分」というわかりやすい基準があるから、誰にでもすぐにできる、ということです。なぜだか人は知らない人にもものを譲ったり分けたりする、そうやって人が喜ぶことをして良い、とわかっていることがいいんですね。
◯「コンビニの接客+京都の接客」
生徒さんの中に、未来食堂に1度行けばもらえる100円引きのクーポン(手作り感満載のものすごく手が込んだものです)を持っている方がおり、見せていただきました。
毎日来てくれる人もいる、とのことですが、心がけているのは、そっけない、でもわかる人にはわかる、それぞれの人にあった心づかい、というお話をするせかいさん。飲食店の主流は名前や個人情報を覚え、常連さんとしての特別感を出すことだけれど、未来食堂ではそれをしない。名前や個人情報ではなく、食のことのみの特別扱いをするそうです。トマトが嫌いだったな、猫舌だな、そういうことを気づいて何も言わずに対応する。
今では、たくさんのメディアに取り上げれ、せかいさんと話したくてくるお客さんもいるそうです。けれど、話し込むのではなく、お店の作業をお願いしたりして、連帯感や仲間意識を持ってもらうようにしているとのこと。話さなくてもわかりあえた、という気持ち。これが誰もが受け入れられた感につながっていく。
これ以外にも、サロン18禁の話やエンジニア的考え方で数値化される未来食堂の運営(残念ながらエンジニア的考え方のできない私にはまとめられなかった)、家の住所が覚えられなかったり夕食がポップコーンだったりするせかいさん自身について、名古屋の印象は?…などなど話は尽きず、時間をどんどん延長して盛り上がりました。
そして、実はその後、とある土曜日の夕方に、私自身が未来食堂に行く機会がありました。中に入ると、私以外のお客さんは1人。最初の注文の会話が終わると、せかいさんはさっと定食を出してくださり、その後は静かに本を読んでいました。知らない人ばかりに会って疲れていた夕方だったので、私も静かに、美味しい麻婆豆腐の定食をいただきました。
「こんなにそっけないんだ!とびっくりされると思います」というせかいさんの言葉を思い出しつつ。でもそこには、「コミュニティ」などの言葉で作るみんなでいて居心地の良い場所ではなく、自分が「個」として存在していてよい場所、があるような気がしました。
でも、ひとりで生きているのではない。たくさんのお話の中で、せかいさんが言われた「人って合計で100点だなって思うんですよ」という言葉が、とてもいいな、と私は思います。
レポート:鈴木梨恵子
カメラ:あいざわけいこ
先生
小林 せかい / 未来食堂 代表
東京工業大学理学部数学科卒業後、日本IBM、クックパッドで6年半エンジニアとして勤めたのち、1年4ヶ月の修行期間を経て「未来食堂」を開業。 女性誌「日経ウーマン」(日経BP社)が選ぶ「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2017」受賞。 未来食堂HP 未来食堂日記 未来食堂 掲載メディア一覧
今回の教室
グローカルカフェ
住所:愛知県名古屋市中村区則武1丁目21-3
※名古屋駅 新幹線口から徒歩7分
地図を見る
2015年6月オープン。バックパッカーズホステルの1階にあり、海外からの旅行者たちの利用も多く、地元の若者達との交流をお互いに楽しんでいます。
グローカルカフェHP:https://www.facebook.com/glocalcafe