授業詳細

CLASS


名駅ピカデリー1.2.3.4 閉館記念”ありがとう ピカデリー” 映画館関係者が熱く語る だから映画はやめられない!『果てしない映画への愛』

開催日時:2010年03月29日(月) 18時30分 ~ 20時30分

教室:ピカデリー1 三井ビル北館7F

レポートUP

先生: 坪井 篤史 / シネマスコーレ副支配人
森 裕介 / ピカデリー 支配人

カテゴリ:【カルチャー】

定 員 :600人

※1:本授業は、どなたでも参加できます。
※2:途中入場、途中退場も可能です。
  また、大ナゴヤ大学の生徒登録をしていなくても参加できます。
※3:18時00分から受付を開始します。
※4:当日参加できる方もできない方も、こちらの事前アンケートにご協力ください。
   『”ありがとう ピカデリー”事前アンケート』はこちら。


名古屋駅前で52年もの長きにわたり多くの映画ファンに愛されてきた
『ピカデリー1.2.3.4』が、3月31日をもって閉館します。
開館当初から大きく姿を変えることなく歴史を刻んできた昔ながらの映画館。
レトロでノスタルジックな雰囲気は、シネコン全盛のいまとなっては
逆に新鮮な魅力さえ感じます。
多くの名古屋っ子の心に様々な思い出を残し、惜しまれながらその歴史に幕を降ろす
『ピカデリー1.2.3.4』のフィナーレを飾るべく、
この度大ナゴヤ大学では特別授業を開催することになりました!
授業が行われるのはいつもの第2土曜日ではなく 3月29日(月)の夜。
教室は4つのスクリーンの中で最大、なんと600席の広さを誇るピカデリー1。
閉館間近の劇場を教室にしての授業、
こんな貴重な機会はめったに・・・いや、二度とないかもしれません!
映画をこよなく愛するピカデリーの支配人と名古屋で活躍する映画館関係者が語る
“映画の楽しみ方”。みなさんお誘いあわせの上、是非ご来場ください。


ハリウッドの超大作から低予算で製作されたマイナー作品まで、
一言で“映画”と言っても実に様々なジャンルがありますが
あなたは普段、何を基準に観たい映画を選んでいますか?
“話題作だから”とか“自分好みだから”などの理由が重要な決め手になるのはもちろんですが
それによって、思っている以上に楽しめるかもしれない映画との出会いを逃してしまっているとしたら
もったいないと思いませんか?

「良いところも悪いところもひっくるめて映画そのものを愛でる感性、
つまり“観るチカラ”を身に付けることが、映画を何倍も楽しくする一番の決め手!」
これまでに数千本の映画を鑑賞し、独自の映画論を展開する
映画の達人・シネマスコーレの坪井篤史さんが今回の授業の先生です。

坪井さんが愛情を注ぐ作品は決して派手なヒット作ばかりではありません。
それなのに独特の熱い語り口で見どころを紹介されると
なぜだか無性にその映画を観たくなってしまうから不思議です。
今回はそんな坪井さんに、日本で撮影された外国映画、
また地元・名古屋が舞台となった外国映画の中から選りすぐりの作品を紹介していただきます。
さらに、三井ビル北館・ピカデリーの支配人、森裕介さんを交えて
52年の歴史の中で印象に残る映画の数々や老舗映画館ならではの
とっておきエピソードなどを語っていただきます。
タイトルやジャンルだけで好き嫌いを決めてしまう前に、
どんな作品にも必ず楽しめるポイントが散りばめられている、
そんな気持ちで映画を選んでみましょう。
今までとは違う思いがけない作品の魅力に出会えるかもしれません。
映画を面白くするカギは自分自身の“観るチカラ”であることを実感できることでしょう!





【授業の流れ】 18:30〜20:30

18:00 入場
18:30 授業開始〜あいさつ
18:40 日本で撮影された海外の映画
    〜意外に知られていない“ナゴヤ”が舞台の海外映画鑑賞会
19:30 ピカデリー52年の歴史と思い出エピソード
     映画関係者たちが語る“映画の楽しみ方”
20:00 みんなの好きな映画と映画館の思い出
     事前アンケートの内容をもとにトーク
20:20 さいごに〜坪井さん、森さんより
    “映画館関係者として伝えたいこと”
20:30 終了



(授業コーディネーター:佐藤嘉宏 & 谷亜由子)
例年になく春風が冷たい名古屋駅の夕刻。
平日にも関わらず、熱気がほとばしるピカデリー1(三井ビル7F)で開催された大ナゴヤ大学後期特別講座。(2010年3月29日(月))



以下は、私と妻との感想のミックス。

講座は、大ナゴヤ大学コアスタッフ、佐藤の司会により、学長の加藤の挨拶に続き、坪井 篤史(シネマスコーレスタッフ)さん、自分が最後の支配人になるとは夢想すらしていなかった森 裕介(ピカデリー 支配人)さんの対談で始まった。



懐かしい映画の一部を実写しながら機関銃のようにしゃべり続ける坪井さん、相槌を打ちながら的確な論を展開してくださる森さん、実に楽しく時間は過ぎていく。前半は日本を舞台にしたB級映画を解説。休憩をはさんで後半は、全く奇抜な組み合わせの2本立ての不思議な魅力を、これも映画の一部を楽しみながらこれでもかというほどにたっぷりと見せてくれた。



第1部【日本を舞台(又は制作)にした外国映画たち】
面白いという一言では上手く表現できない面白さ。おそらく、そのとき直接観ていたら「くだらん、ばかにするな!金返せ!」とか罵って席を蹴り、トイレに荒々しく放尿し、売店のお姉ちゃんを一瞥し、「次は絶対に面白くて楽しくて勉強になって、もしかしたら恋愛やお金儲けの参考になる映画を観るぞぉ!」と高らかに決意表明したであろうB級映画たち。

しかし、そのカメラのレンズの向こう側に居る制作に携わった人たちが見えるのがB級映画なのかもしれない。どなり声で汗たらたら流しながら必死な姿…。でも、全体のシチュエーションを想像すると滑稽極まり、最終的には可愛くさえ思えてくる映画人たち。

《作品別》
 「香港発活劇エクスプレス 大福星」
どうして香港のレンズを通すと日本はあれほどスローに見えるのかな?つまりは、香港のスピード感と日本のそれとの隔たりなのか。以前、勤めていた会社にジャッキーチェンそっくりな中国人の上司がいたことを思い出した。彼の仕事ぶりは新幹線そのものだった。

そして、新幹線と言えば…
 
「ハンテッド」
坪井さん(シネマスコーレスタッフ)のおっしゃる通り、新幹線車中であることを忘れないで、と映画自身が語ろうとしているところが、カワイイ。自動ドアのシステムをぶち壊してしまう日本刀に投影される西洋人の畏怖がこそばゆい。

「ミスターベースボール」
3作品のうち唯一実際に観たことがある。確か、帰国途中の機内だったと思う。中日ドラゴンズは「ドベゴンズ」なんて言われていたことを思い出す。別に強くなくてもいいよな、ドラゴンズ。ひたすら皆で巨人と闘う姿を見せてくれ。阪神には負けてやれ。強きを倒し弱きを助ける「ドベゴンズ」に栄光あれ。



第2部【愛すべき2本立て上映たち】
2本立てを観る楽しさ、という論は新鮮だった。冒頭にも書いた通り、かつてはB級映画を見せつけられた、という思いがあった。2本見せなくても1本でいいから入場料を半額にしろ、ということだ。もっとも学生時代を過ごした東京では同じ料金で1本だけのことが多かったので、名古屋の方がお得だなとは思っていたが。とにかく、まったく期待していなかった映画を観る(見せつけられる?)ということは、よく考えると豊かな映画の世界を味わえることができた幸せな時代だったのかもしれない。

《作品別》
「トゥルー・ロマンス」
ここでも、第1部と同じようにたくさんの映画の一部やダイジェスト版・予告編などを観させていただいたが、タランティーノの大ファンとしては、独断的に、これを取り上げたい。タランティーノの「パルプフィクション」を観たとき、ストーリーは全く覚えていないが、無茶苦茶で面白かったということだけが頭に残っていた。それ以来、彼の名が少しでも出ているものは片端から観る、見る、ということになってしまっている。この映画についても、これを書き終わったら直ちにレンタル屋さんに駆け込むつもりだ。

予告編では、彼は脚本を担当していた。一つ忠告したい。この「トゥルー・ロマンス」、「パルプフィクション」、「キルビル」シリーズ、最近の「イングロリアス・バスターズ」を観たら絶対に“怖いもの無し”になってチンピラにも絡んでしまいそうな“勇気”をもってしまう“怖さ”がある。(実際に絡んでも私は一切の責任は負わないよ)
この感覚は、鈴木清順監督の「けんかえれじい」と同じものだった。高橋英樹主演「けんかえれじい」は、30数年前に東京で学生だった頃、池袋の文芸坐で終電に乗り遅れてオールナイトで観た。満員で立ち見客もいっぱいだったように記憶している。画面に『鈴木清順』の名が出ると一斉に拍手と「異議無し!」の掛け声が溢れた。そのままデモの隊列を組みシュプレヒコールをあげて池袋駅を占拠してもちっとも不思議ではない空間ではあった…

「ニック・オブ・タイム」
とにかく、ジョニーデップ。今も昔もジョニーだったら許せる。何をやっても許せる…

以上、まだまだ書き足らないが、このような素晴らしい企画にただただ脱帽。

あの場に馳せ参じた映画ファンの中で目立った50代以上―垂涎の映画ポスターをカメラに収める人、年間300本観て集めた半券コレクションを見せてくれる人等々―皆とっても幸せな顔だった。ピカデリーが消えていくのは確かに寂しい。今のシネコンの合理性にはついていけないこともある。しかし、懐かしむことが時代のブレーキになるのも避けたい。消えていくからこそ輝きを放つのかもしれない。





坪井さん、森さん、心からありがとう。



…墓場でも楽しく映画のシーンを味わえる予感がする初老夫婦より…



(ボランティアスタッフ/ 河辺 正太郎)

※写真をクリックすると拡大します。


 

この授業への皆さんからのコメント

1. 森先生、坪井先生、大学関係者の皆様お疲れ様です。楽しい授業をありがとうございます。
授業中に、ここピカデリーで昔立ち見で見たことなど思い出し、ピカデリー閉館と相まって、
ちょっと感傷的な気分を味わいました。でも、授業自体はいままでで一番笑った授業でした。
会場も結構笑いに包まれて、映画のようにハッピーエンドとなったのではないでしょうか。
(まだ明後日までありますが・・・)

ありがとうピカデリー!
2010年03月29日(月) 23時47分(武)
2. 皆さん、ありがとうございました。私は名古屋2年生なので、ピカデリーには初めてお邪魔しました。どこの町にもこのような映画館がありました。二本立て、話を聞きながら、また帰りながら段々思い出してきました。怪獣映画と成人映画の二本立て。子供の頃、母親とあわてて出ました。二本立ては二本観るのではなく、一軒=一スクリーンしかない映画館の共有だったでしょう。でっかい画面、ちょっと柔らかめの椅子にポップコーンとコークが私の映画館です。
2010年04月02日(金) 23時41分(たけちゃん)
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先生

坪井 篤史 / シネマスコーレ副支配人

1978年愛知県生まれ。小3の時に映画から啓示を受けて30年過ぎました。映画のために生きる映画狂人。名古屋のミニシアター、シネマスコーレ副支配人。たまに非常勤講師、たまにテレビレギュラー出演。白石晃士監督と毎月2回<映画狂人ロード>ニコ生にて配信中。中日新聞プラス、中日新聞Clifeにて映画コラム掲載中。北名古屋市にて市民映画講座開講。自分の映画狂人ぶりがドキュメンタリー映画になった『劇場版シネマ狂想曲』と初プロデュース作品『恋のクレイジーロード』(白石晃士監督/田中俊介主演)が全国上映中。『恋するけだもの(仮)』(白石晃士監督/田中俊介主演/2020年夏公開)配給兼宣伝協力担当。

森 裕介 / ピカデリー 支配人

1970年東京都三鷹市生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、中日本興業入社。現在、ピカデリー支配人。名古屋シネマテークで「新・ピンク零年」、シネマスコーレとの共催で「NAGOYAアメージング・カルト映画祭」、ぴあフィルムフェスティバルの名古屋プログラムなどの企画も手掛ける。シネラマ名古屋(現・ピカデリー)で最初に観た映画は『E.T.』。

今回の教室

ピカデリー1 三井ビル北館7F

住所:愛知県名古屋市中村区名駅4-8-14 三井ビル北館7F

※2010年3月31日に閉館