授業詳細

CLASS


雇われるでもなく起業でもない働き方!?—ミライの職業訓練校×大ナゴヤ大学—

開催日時:2018年05月13日(日) 13時00分 ~ 15時30分

教室:SHAREBASE

レポートUP

先生: 高野雅夫 / 名古屋大学大学院環境学研究科教授
戸田友介 / 株式会社M-easy代表取締役

カテゴリ:【くらし】

定 員 :15人

※参加費として1,500円(ソフトドリンク付き)を頂戴します。
※学生:1,000円
何のために働くんだろう?

生活のため、欲しいものを手に入れるため、社会のため、
自分以外の誰かのため、どれも正解なんだと思います。

では、それらを実現するためには、どんな働き方があるのだろうか?

会社員になる、起業する、フリーランスになるなど・・・。

名古屋など都市部にいると副業などの制度ができつつあり、
働き方の選択肢の幅は広がってきているけれど、
働く(稼ぐ)=「”会社員になる”or”起業する”」が
まだまだ多いのではないだろうか。

一方で、都市部ではない他の場所に目を向けると、
そこには既に多様な働き方が存在している。

3年前から豊田市にある山里では、生きるために必要な技を学び、
仲間とともに実践し、切磋琢磨しながら山里で生きる『糧』を身につける
学びの場「ミライの職業訓練校」という活動がおこなわれています。

この活動を通して、「雇われるでもなく起業でもない働き方」という
新しいカタチの働きかもあるのでは?ということがみえてきたと、
ミライの職業訓練校 校長の高野先生はいいます。



今回の授業では、前半は、高野先生が考えるこれからの社会の中での生き方、
働き方についてお話を伺います。

その後、豊田市旭地区で「雇われるでもなく起業でもない働き方」を
実践している戸田友介さんや「ミライの職業訓練校」の受講生で、
これから田舎に移住するタイミングの野田侑希さんにも登壇いただき、
その具体的なようすを話していただきます。

後半は、ミライの職業訓練校で実際に使われている
ワークショップ(自分史曼荼羅)を体験しながら、
「雇われるでもなく起業でもないはたらきかた」を皆さんとともに考えていきます。

これからの自分の生き方、働き方を、じっくりと考えてみませんか?

【スケジュール】
12:30 受付開始
13:00 授業開始、導入、自己紹介など
13:10 高野校長 講義
     なぜ「雇われるでもなく起業でもないはたらきかた」が求められるのか?
13:40 パネルディスカッション
     「雇われるでもなく起業でもないはたらきかた」とはなにか?
14:20 ワークショップ「自分史曼荼羅」 
     今の働き方・暮らし方をふりかえり今後の方向性を見定める
15:20 振り返り
15:30 終了

【パネルディスカッション メンバー】
コーディネータ:高野雅夫
パネリスト:
・戸田友介(株式会社M-easy代表、ミライの職業訓練校代表世話人)
・木浦幸加((一社)おいでんさんそん職員、デザイナー・ライター)
・野田侑希(山村への移住準備中)


授業コーディネーター:はたらく課 大野嵩明

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キャンセル料について
安定的な運営のため、開催2日前以降のキャンセルはキャンセル料を申し受けます。あらかじめご了承ください。
やむを得ずキャンセルされる場合は、dai-nagoya@univnet.jpまでお早めにご連絡ください。
※電話連絡も可能ですが、打ち合わせなどで電話に出られない場合があります。留守電にメッセージを残してください。
Tel:070-5459-8213(受付時間:10:00~17:00 ※定休日:土・日・祝)

【キャンセル料】
2日前〜前日のキャンセル:参加費の50%
当日のキャンセル、無連絡不参加:参加費の100%
※電話でのキャンセルは当事務局の営業日、営業時間内にご連絡いただいた日を基準とします。
※代わりに参加できる方がおられる場合、キャンセル料は不要です。その旨をご連絡ください。
※無連絡不参加の場合、以後のご参加をお断りすることがございます。
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『ミライの職業訓練校』ってどんな職業を訓練してくれる学校でしょうか?

AIやロボットなど近未来の先端技術のお仕事を教えてくれる職業訓練なのでしょうか?

いいえ、仕事の訓練する学校ではありません。

『ミライの職業訓練校』とは、未来の働き方を豊田市の山里を舞台に、働き方の中で感じる“モヤモヤ”を深め、 自分がやりたいことを見つけ、仲間とともに切磋琢磨しながら、 カラダとココロが喜ぶ「あなたの天職」を探すための学校です。

長寿化が進み100年人生といわれていますが、長い人生でどんな仕事に就いて働き暮らしていくのでしょうか?

都市にはたくさんの職業があり、その働き方も多様です。同時に地方にもその土地ならではの仕事があって暮らし方も多様です。今と違った働き方や暮らし方をミライの職業訓練校を通して探してみませんか?



自己紹介は近くの人同士の4~5人で行われ、同時に授業に参加したきっかけも話しました。
・田舎に移住をしてみたい。
・旅行好きで田舎での生活に憧れている。
・今とは違った働き方を考えてみたい。
・仕事で副業が認められているので、自分の持っている技術を生かして地域に貢献したい。
・都会の生活にはない面白いことを田舎でしたい。

当日は大雨の天気でしたが、早くに満席になった授業ということもあって、申し込んだ生徒さん全員が参加し、初めて大ナゴヤ大学の授業に参加された方が半分近くと、田舎暮らしを知りたい、働き方を考えてみたいという意欲的な方ばかりでした。



はじめにミライの職業訓練校の高野校長から「なぜ”雇われるでもなく起業でもないはたらき方”が求められるのか?」として、どういった働き方や暮らし方が理想なのかを、大きな紙に書かれた図の解説とともにお話をいただきました。



【働き方と暮らし方】
会社などの組織に入って雇われて働く「会社員」。会社組織での仕事は、「やりたいこと」、「できること」、「求められること」の3つどもえの中、通勤をして、上司や顧客の指示の元で毎日の仕事をこなし、休日には遊びながら働くことになります。



雇われない働き方をするのであれば、「自営業者」として起業することになります。特別な技術、アイデア、専門性などを持っているのでしょうか?

起業はできるのですが続けることは難しく、リスクをとってやってみなければわかりません。目指したいのは、先程の3つどもえの、全てのエッセンスを持った天職を見つけ、”暮らしごと”を楽しみごとにできることです。



【田舎の頼まれごと事情】
都市部に人口が集中したこともあり、国は人口が減少した地方への移住を促進しています。その中で、今までにない仕事として地域おこし協力隊ができました。地域おこしのために3年間、中山間地域への移住を促進しました。

田舎に入り、草刈や田植えや稲刈りなどのご近所の頼まれごとを続けて、自分のできることは何かを模索しながら仕事をこなし、収入がない時はご飯をもらうなどして、経験値を積んでいきます。

実力がつくと、いろいろな仕事が任されるようになり、今ある仕事を継いでほしいということにもなってきます。田舎の生活は周りの人と地域を支え合って生きています。

【光合成をしない植物】
光合成をしない植物で菌根菌というものがいます。どう生きているのかというと、周りの木々の根から養分を吸って成長して生きています。

都市の生活は1つのプランターに植えられた草のようで、その中でのみ成長しています。田舎の生活は地面に植えられた草木で、大地から栄養を得るとともに地面の下で繋がって支え合って成長しながら環境を維持しています。

田舎には都市部にはない人と人の繋がりがあり、集落に根を下ろすことは、コミュニティに根差すことでもあります。田舎暮らしの働き方や暮らし方で湧いてきている疑問「モヤモヤ」を体験者のお話を聴いて、「スッキリ」させてしい。



高野校長のお話のあとは休憩を入れてから、豊田市旭町で山里での働き方、暮らし方を実践している2名の方と、昨年のミライの職業訓練校に参加し、今年7月から移住をする1名の方の経験談を中心にパネルディスカッションで話しが進められました。



「山里で暮らしながら、おいでんさんそんセンターで働いている木浦さん」
結婚して名古屋市天白区に住んでいたが、旭町出身の旦那さんが実家に戻ることになったので付いていった。UターンやIターンではなくYターン「嫁ターン」でやってきた!

田舎暮らしは全く乗り気ではなかったが、豊田市の山里で森を仕事や暮らし、まちをつなぐ「豊森なりわい塾」に参加して、山里を徐々に知っていった。

その後は、豊田市の都市と農山村の交流をコーディネートする取り組みの「おいでんさんそんセンター」の仕事を紹介してもらい、広報を担当して地域を知るとともに情報発信をしていった。

今のやりたいことは、今日資料として配った旭町の情報誌「シットルカン」のライターで、旭町の素敵なところを伝えたいのでボランティアで記事を書いている。

4月から「おいでんさんそんセンター」の正社員になって雇われて働いているが、8時間勤務でなく、6時間勤務にしてもらっている。田舎で働きながら、ライターとして記事を書きながら自分の好きなことをして暮らしていきたい。



「ミライの職業訓練校の世話人で(株)M-easyを起業して山里の総合商社を営む戸田さん」
北名古屋市で生まれ育った。学生時代に農業に興味を持ち、今の会社を立ち上げた。過疎化の課題解決の「日本再発進!若者よ田舎をめざそうプロジェクト」に参加したご縁で、旭町にはIターンでやってきた。地域のなんでも屋になったのは、来た依頼は断らずに全て受けて今に至っている。

大きな仕事は新聞販売店の経営。旭町の新聞販売店が廃業するので継いでくれる人を探していた。なくなってしまうと大変なので引き継ぐかということとなったら、隣町の小原村の販売店も引き継いでくれないかということになり、今は2つの販売店を経営している。たくさんの任されごとがあるが、山里合唱団「こだま」の団長が好きな任されごとで、とても楽しい。頼まれごとはこれからも引き受けていきたい。



資料として配られた「私の経歴書」は、現在に至るまでの戸田さんの今までの人生をまとめたもので、好奇心旺盛な人となりが、とても分かりやすく書かれています。また、「暮らしのシゴト一覧」は移住してから頼まれた仕事でA3用紙の両面に、過去4年間で162件の仕事があります。1回で終わった仕事もあれば、4年間ずっと続いている仕事もあります。戸田さんは持ち前の明るさもあってか、大忙しかと思いますがたくさんの任されごとを楽しんでいるようです。

「昨年のミライの職業訓練校に参加し、これから旭町に移住する野田さん」
名古屋市中区で訪問看護の仕事をしていたが、辞めて7月から旭町にIターンで移住する。田舎暮らしには興味があり、山に行くととても落ち着いた。ミライの職業訓練校に参加し、約1年かけて計画し実行することになった。これからのことは全くの白紙だが、稲作をやって1年分の米があれば生きていけることを確信した。

田舎暮らしにはあれこれ理想や希望があり、戸田さんからは「理想が高い」と、告白してフラれた人に現実を思い知るように言われたことがある。

ミライの職業訓練校に参加して良い体験ができた。理想だけで移住していたら失敗していたと思う。地域に入っていろいろと体験できた。職業訓練でいろいろとモヤモヤを晴らすことができた。



高野校長のお話と3人の体験者のお話を聞いたあとは、自己紹介を行ったグループで、今の自分の考えや田舎での働き方、暮らし方へのモヤモヤを話し合い、代表的な意見や質問を発表してもらいました。



・田舎のしきたりは厳しそう。閉鎖的な地域でコミュニケーションが取れずやっていけなかったら心配。でも、都会では働く時間が長いので田舎暮らしのように働き方を変えたい。最近ではシェアハウスのような環境があるが、支え合って一つだけではなく、大きなプランターに植えられた植物にように地面の下で繋がっていければいいと思う。

・移住したいが難しいだろう。都会と田舎ではやりたいことやしたいことは違う。やりたいことやできることは会社に求めている所もある。田舎と半分ずつの生活ができないものだろうか?

・田舎暮らしに憧れていたが、何をしたらいいかわからなかったが今日の話を聞いて体験してみたいと思った。どういったコミュニティや集会がいいのか見分け、働き方を見つけたい。ミライの職業訓練校に参加して、田舎暮らしを考えるきっかけにしたい。

・田舎暮らしは家族もあって今すぐには難しいが、もう少し年齢をとって落ち着いてから考えたい。田舎暮らしもいい話だけではない。行ったときに住民関係がうまくいくような支援があればいい。

・移住したいけど何処にいったらいいのか?もう少しメリットやデメリットを知ってみたい。



参加者からの質問や疑問に対して、高野校長や体験者の皆さんがそれぞれ回答をしました。



【戸田さん】
大ナゴヤ大学の授業の参加者は一人で生きている人はいないことを知っている。コミュニティに入ろうとして関わりを持って入っていけば生きていける。都市でなくても、田舎ならではの多様な生き方はできる。草刈、お祭りなどの参加を強いられることはあるが、多業の中で家族を養う事も必要になってくる。働き:2、遊び:1の気持ちで任されごとをやっている。

【木浦さん】
田舎に入った時からいろいろと任され、地域の人に声をかけられる。頑張るように役をこなすが全てのことはできない。今は「シットルカン」の発行がしたくて、できない仕事はお断りしている。何でもやるのでなく、受けないことも大事で自分のやりたいことをやるようにしている。田舎っぽく天然素材などの恰好から入ることもあったが、自分の好きなスタイルはだんだん時間をかけていけばいい。

あったらいいと思うことは、田舎に入ろうとする人のために、既に入った先輩が次の後輩をサポートする仕組み。特に子育て中は大変で、最初は暮らし方もわからない。ちょっと働いて少し休むなどの生活スタイルがあってもいい。

【野田さん】
他にもいいところがあったが、ミライの職業訓練校で体験して迷いながら旭町に入ることになったが、移住の先輩方や仲間もおり、地域の受け入れもあって初心者にはよい所だと思っている。

高野校長からは、今日のまとめと職業訓練校に参加を考えている人への説明とエールが最後にありました。



【高野校長】
田舎の人にならなきゃと思わないようにしてほしい。その地域に合うかどうかの相性もあり、無理しないことも大事で、地元の人になってから受け継いでいけばいい。まずは地元になじむことから始めることをおすすめする。

田舎暮らしはいい話ばかりではない。田舎暮らしへの憧れと都会の人間関係が煩わしさから、インターネットで売りに出ていた家を買ってご近所とかかわらずに来た人もいるが、狭い田舎で人の目があり、地域に長く住み続けられない。また。田舎は人が少ないので自治会費も髙い。人とかかわらずに生きていくことは無理で最終的に出ていくことになってしまう。

また、地域の役に立ちたいという人も問題で、地元の人は若い人が来たからと何でも頼み、どんどん応えることで無理をしすぎて壊れてしまうこともあります。そうすると手伝ってくれなくなったと言われてしまう。これも長く続かない。自分が自由な状況でいないと大変になってしまう。

人口の減少により限界集落がこれから増えてくる。集落の淘汰も始まってくるので残りそうな集落を見分ける必要がある。地域の顔役が、何もない、どうしようもない、役場は助けてくれないなどの、痴しか言わない所でなく、できることを自分たちでやろうとする自治の力のあるところに入っていく必要があります。

働き方、暮らし方は田舎に来た方にとって、簡単か難しいかは人それぞれで、食事が有ればなんとかなるということも一つの考え方です。たくさんではなくても、仲間を作って一緒にやっていけば周りにも相談ができます。



新しい働き方、暮らし方、起き始めている。大きな変化の動きにあります。

今日の参加した皆さんは、憧れや希望や不安それぞれのモヤモヤを出し合いました。

田舎に興味を持って暮らしてみたいけどどうすればいいんだろう?という方は、いきなり田舎暮らしの実践は大変なので、まずはミライの職業訓練校にインターンで現地を見て体験してからでどうでしょうか?

田舎暮らしが全てではなく、自分に合わない場合もあるので体験して考えてみることでも充分だと思います。

田舎で暮らしてみたい。今の働きかたを変えたい。でもどうしたらいいかわからない。頭の中にモヤモヤがあり、晴らしてスッキリしてみたい方は、まずは『ミライの職業訓練校』に参加し、田舎暮らし体験からの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?



レポート:浅野健一
写真:あいざわけいこ

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先生

高野雅夫 / 名古屋大学大学院環境学研究科教授

名古屋大学大学院環境学研究科教授 豊田市おいでんさんそんセンター・(一社おいでんさんそん)理事 再生可能エネルギー技術開発をしながら、農山村の再生支援を行う。近著 高野編著『持続可能な生き方をデザインしよう』明石書店

戸田友介 / 株式会社M-easy代表取締役

1981年、愛知県北名古屋市に生まれる。2009年9月から2012年3月、豊田市と東京大学との産官学連携過疎対策事業「日本再発進!若者よ田舎をめざそうプロジェクト」に取り組んだことをきっかけに2011年3月旭地区に移住。 夫婦と移住してからうまれた3人の子どもたちと5人家族。地域会議委員や、自治区の役員など、さまざまな地域の役割を担ったり、2015年からは旭と小原の新聞販売店を引き受けるなど、暮らしと仕事の両面で、暮らし続けていける地域づくりに取り組んでいる。2017年10月より、つくラッセル推進コンソーシアムの代表機関として、築羽小学校跡地を活用した、子どもからお年寄りまで、暮らし、はたらける、場所づくりを進めている。

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