授業詳細
CLASS
民藝・柳宗悦が愛した瀬戸本業窯の釉薬で、アクセサリーをつくろう!
開催日時:2018年07月08日(日) 13時30分 ~ 15時45分
教室:瀬戸本業窯ミーティングルーム
レポートUP
先生:
水野みちこ / 瀬戸本業窯 七代目水野半次郎氏の奥様
カテゴリ:【アート/ものづくり/瀬戸】
定 員 :5人
※参加費として3,000円を頂戴します(手作りしたアクセサリー2個付き)
※集合場所:瀬戸本業窯(〒489-0847 愛知県瀬戸市東町1−6)
※今回は、瀬戸の焼き物文化やものづくり文化の継承活動をされている”NPOやきもの文化・瀬戸洞町”とのコラボ授業になります。
焼き物の歴史文化が1000年続く瀬戸市は、※集合場所:瀬戸本業窯(〒489-0847 愛知県瀬戸市東町1−6)
※今回は、瀬戸の焼き物文化やものづくり文化の継承活動をされている”NPOやきもの文化・瀬戸洞町”とのコラボ授業になります。
六古窯として《日本遺産》に認定されました。
瀬戸の土は粘り強く、白くキメの細かい良質な粘土で、
細かい細工も出来て、丈夫なのでアクセサリーの素材としてはぴったり!
なにより、アクセサリーサイズだと紙みたいな軽さで驚きです。
今回の授業の先生は、瀬戸本業窯の七代目水野半次郎氏の奥様・みちこさんです。
お話もとっても楽しく、フランクな方で場が明るくなる人の代表のような先生です!
瀬戸の良質な粘土と、民藝・柳宗悦が愛した
”瀬戸本業窯”さんが登山をして採ってくるという貴重な
釉薬原料などを使っての贅沢なアクセサリーをつくります。
教室は、洞地区にある民藝陶器を鎌倉時代の製法で
作り続けている『瀬戸本業窯 ミーティングルーム』。
わいわいと賑やかにおしゃべりして、作りましょう!
焼き物の器と同じ工程で作るので、ねんどで形をつくり、
数日で乾燥させて、釉薬をかけて窯で焼成するのですが、
今回は形作りと釉薬付けの両方を体験していただき、
2個を後日送らせていただくことにしました!
ひとつは、みちこ先生が、先に形にして乾燥させたもの
から選んで、好きな釉薬をつけていきます。
もうひとつは、ひとり分の粘土から、ピンバッチや
ブローチサイズの好きな形をつくりるところで今回は
完成とさせていただき、後日乾燥させて釉薬をかけた
ものをお送りします!
時間内であれば、いくつも作っていただけますが、
お届けはお気に入りの2個になります。
瀬戸本業窯の器と同じ窯で一緒に焼成のため、
お届けまでは2ヶ月ほどかかります。
忘れたころに届くかもです。
待っている間に楽しみが倍になりますよ、きっと!
【今回の授業のおねがい】
お届けするのは、お気に入りの2個になりますが、
残りの作ったモノは、毎年、秋に開催する
「せともん探訪ツアー」で販売して、
収益はNPO法人やきもの文化・瀬戸洞町の活動目的の
ひとつである「窯跡の杜」保全活動や文化事業の広報費の
一部に使わせて頂きたく、ご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
<スケジュール>
13:15 受付開始
13:30 授業開始、導入など
13:40 はじめに自己紹介
14:00 みちこ先生から材料と作り方のお話
・使う材料について
・つくり方と道具
・さあ作りましょう!
・完成披露
15:30 ふりかえり~記念撮影
15:45 アンケート、終了
授業コーディネーター:斎藤 貴子(NPO法人やきもの文化・瀬戸洞町)
昨日までの大雨に変わって日差しの強い晴天。午後の昼下がりに授業は始まりました。
【瀬戸本業窯】
瀬戸本業窯とは、鎌倉時代からの製法を受け継ぐ創業250年の窯屋さん。規格化・工業化が進む一方で伝統的な技法、製法にこだわった日用陶器を作っていらっしゃいます。
そしてこの技法を「受け継ぐ」ために名前も「受け継ぎ」当代は七代目の半次郎氏。戸籍もかわります。
当日の授業は、七代目の奥様みちこさんがアクセサリー作りの先生、お嬢様がアシスタント。八代目後継予定の雄介氏が窯・土・釉薬をご案内下さいました。
本業窯の土は手水鉢のような「大きなもの」を作っていたため「土が軽い」そうです。ですので身体に身につけるためのアクセサリーにするともとても軽く、適しているとのこと。
【参加者】
授業に参加された方は5名のうち2名は男性。アクセサリー作りなので全員女性かと思っていたら、、、。お話を聞いてみました。
千葉から単身赴任で名古屋にいらっしゃっているAさん。
ネットで検索されてのご参加。「奥様、お嬢様(2人)の誰か1人は貰ってくれるだろうと。」
そして製鉄会社にお勤めのBさん。
「猪口などの小物はいろいろ作ってきたので次のチャレンジとして。」
他にも陶器の絵付けを実践されてきた方、近くに祖父の家があって、、、という方などが参加されました。
【授業のはじめに】
授業のはじめにみちこ先生から「アクセサリー作り」を始められたきっかけお話しを伺いました。
ご実家は、輸出用のノベルティが中心で伝統的な本業窯はまったく反対の焼き物を作っていたそうです。参考として、マイセンの写しの西洋レース人形や現代風のまねき猫などのノベルティも置いてあり「せともの」にもこんなに種類があるのかということが知れました。
そしてご主人に見初められて嫁いだ後、子育てが一段落してから、趣味の彫金や陶器を使ったアクセサリー作りを始められたそうです。その後もアクセサリー作りをしながら瀬戸の街の歴史、経済などいろいろなお話を伺うことができました。
【登り窯見学】
4連房の登り窯。これだけの規模のものは全国でもここだけ。一見の価値があります。
最大の房は幅3メートル、奥行き10メートル、高さ2メートル。この大きさの窯に薪を投げ込み1240℃で24時間、何日もかけて焼き上げるそうです。炎の色も、青、赤、橙、白と変わり、1000℃をこえると直視できないので職人さんたちの経験と勘が頼りだったそうです。
この窯も戦前はもう一回り大きく14房あり、4〜5件の工房で共同運営していたそうですが、現存するものは昭和24年に構築されたもの。今では火を入れず文化財として保存されています。
【アクセサリーをつくる】
さて今回のアクセサリー作りは「成形」と「施釉」という2つの工程を体験しました。
【「成形」とは】
「成形」とはアクセサリーの形を作る工程。
「手びねり」といって、ひとつひとつ「手で形を作る」作り方。花びらを1枚1枚作って重ね合わせるような感じの作り方と「型」を使って同じものを量産する作り方。
板状にした粘土(「たたら」というそうです)の上からクッキー型でポンポンと抜いていったり、粘土をビー玉大の大きさに丸めてパウンドケーキのような入れ子にポンといれて蓋をしたりと。
「穴、ブスっとあけていいですか?」
「いいですよ!」
そうなんです。釉薬が流れ込んだりすることもあるので遠慮がちな穴では、、、。かといって大きすぎれば焼いたときに割れてしまったり。
そのあたりの加減は経験です。
工業製品として量産する場合にはやはり型で1000個単位で制作。
パコンとはめてポコンととって内職屋さんにバリ(はみ出した粘土)取りを外注して。自動車の樹脂部品と同じような作り方です。
【本業窯さんの「土」】
工房では「土づくり」も見学しました。「バクテリアを使って時間をかけて発酵させる」。
そう、味噌づくりといっしょです。
本業窯さんのこだわり、「土」「釉薬」、、、垣間見させていただいた瞬間です。
【「施釉」】
さて次は施釉(色付け)です。
今回は自分で形を作ったものと、先生にご準備いただいた「素焼き」を終えたものに色付けをしました。
窯の中で割れてしまうこともあり参加者の皆さんが寂しい思いをしないようにとのご配慮です。
ありがとうございます。
【本業窯さんの「釉薬」】
本業窯さんの「釉薬(絵具)」は自然素材にこだわっています。この「釉薬」を作る作業場も見学させていただきました。
材料は「企業秘密」ということですが、仕込みから半年以上かかるそうです。
ベースは「黄瀬戸」の黄色。そこにいろいろと追加して、、、。
【白は黒・赤は緑】
白は黒。緑は赤。何のこと?
「表現したい色」と「釉薬の色」。白で表現したい場所には黒い釉薬を塗り、赤で表現したい場所には浅葱色(うすい緑)色の釉薬を塗り。慣れるまでは「わけがわからん」状態。
色は動く。釉薬の混ざり合った部分。「こうしたい!」と思ってもなかなかその通りの色は出ず、さらに重力の法則にしたがって釉薬が流れて、、、。
「細かくこだわるよりは、大胆にサクッと進めたほうがいい感じになることが多いですよ」というのが先生のアドバイス。
和気あいあいとした雰囲気の中で色付けを終えました。
【民藝の提唱者:柳宗悦】
ところで皆さんは「民藝」という言葉をご存知でしょうか。「民藝」とは日本では柳宗悦氏らによって昭和初期に提唱された1つの「美意識」です。
昭和30年代、日本の経済が急速に発展、いいかえれば「規格化された」「お値打ちな」「普及品」がどっと街に溢れた時代に姿を消しつつあった名もなき職人の作っている日用品に「用の美」を見出していった一つの流れです。
そして柳氏と六代目半次郎氏も交流がありました。
【名を残さない】
芸術家は自らの作品に「銘」を入れ、「ブランド」としての価値を提供していきます。一方で職人は自らの作品には決して「名」入れず、日常「生活」の中で用いられることを望みます。
同時に、その作品は一定水準を越えると銘がなくても誰の作品かは明白です。
「本業窯」さんの作品も例外ではなく、その色、形、風合いなど他人が真似できるものではなくその道の方が見れば一見して窯元がわかります。
【ギャラリーにて】
「成形」「施釉」と和気あいあいとした体験が終わり最後は「ギャラリー」にてお茶をいただきながら本業窯さんの製品を見学しました。
店番をされているのは、お嫁さん。
みちこ先生のお話では「私は輸出物の家から嫁ぎましたが、彼女は内地物の家(瀬戸物の国内向けのノベルティを制作している家)から嫁ぎました」と。
笑顔を絶やさずに接客してくださったのが印象的です。是非一度ギャラリーを訪れ、手に触れてみてください。
レポート:伊藤彰宏
写真:鬼頭 哲雄
【瀬戸本業窯】
瀬戸本業窯とは、鎌倉時代からの製法を受け継ぐ創業250年の窯屋さん。規格化・工業化が進む一方で伝統的な技法、製法にこだわった日用陶器を作っていらっしゃいます。
そしてこの技法を「受け継ぐ」ために名前も「受け継ぎ」当代は七代目の半次郎氏。戸籍もかわります。
当日の授業は、七代目の奥様みちこさんがアクセサリー作りの先生、お嬢様がアシスタント。八代目後継予定の雄介氏が窯・土・釉薬をご案内下さいました。
本業窯の土は手水鉢のような「大きなもの」を作っていたため「土が軽い」そうです。ですので身体に身につけるためのアクセサリーにするともとても軽く、適しているとのこと。
【参加者】
授業に参加された方は5名のうち2名は男性。アクセサリー作りなので全員女性かと思っていたら、、、。お話を聞いてみました。
千葉から単身赴任で名古屋にいらっしゃっているAさん。
ネットで検索されてのご参加。「奥様、お嬢様(2人)の誰か1人は貰ってくれるだろうと。」
そして製鉄会社にお勤めのBさん。
「猪口などの小物はいろいろ作ってきたので次のチャレンジとして。」
他にも陶器の絵付けを実践されてきた方、近くに祖父の家があって、、、という方などが参加されました。
【授業のはじめに】
授業のはじめにみちこ先生から「アクセサリー作り」を始められたきっかけお話しを伺いました。
ご実家は、輸出用のノベルティが中心で伝統的な本業窯はまったく反対の焼き物を作っていたそうです。参考として、マイセンの写しの西洋レース人形や現代風のまねき猫などのノベルティも置いてあり「せともの」にもこんなに種類があるのかということが知れました。
そしてご主人に見初められて嫁いだ後、子育てが一段落してから、趣味の彫金や陶器を使ったアクセサリー作りを始められたそうです。その後もアクセサリー作りをしながら瀬戸の街の歴史、経済などいろいろなお話を伺うことができました。
【登り窯見学】
4連房の登り窯。これだけの規模のものは全国でもここだけ。一見の価値があります。
最大の房は幅3メートル、奥行き10メートル、高さ2メートル。この大きさの窯に薪を投げ込み1240℃で24時間、何日もかけて焼き上げるそうです。炎の色も、青、赤、橙、白と変わり、1000℃をこえると直視できないので職人さんたちの経験と勘が頼りだったそうです。
この窯も戦前はもう一回り大きく14房あり、4〜5件の工房で共同運営していたそうですが、現存するものは昭和24年に構築されたもの。今では火を入れず文化財として保存されています。
【アクセサリーをつくる】
さて今回のアクセサリー作りは「成形」と「施釉」という2つの工程を体験しました。
【「成形」とは】
「成形」とはアクセサリーの形を作る工程。
「手びねり」といって、ひとつひとつ「手で形を作る」作り方。花びらを1枚1枚作って重ね合わせるような感じの作り方と「型」を使って同じものを量産する作り方。
板状にした粘土(「たたら」というそうです)の上からクッキー型でポンポンと抜いていったり、粘土をビー玉大の大きさに丸めてパウンドケーキのような入れ子にポンといれて蓋をしたりと。
「穴、ブスっとあけていいですか?」
「いいですよ!」
そうなんです。釉薬が流れ込んだりすることもあるので遠慮がちな穴では、、、。かといって大きすぎれば焼いたときに割れてしまったり。
そのあたりの加減は経験です。
工業製品として量産する場合にはやはり型で1000個単位で制作。
パコンとはめてポコンととって内職屋さんにバリ(はみ出した粘土)取りを外注して。自動車の樹脂部品と同じような作り方です。
【本業窯さんの「土」】
工房では「土づくり」も見学しました。「バクテリアを使って時間をかけて発酵させる」。
そう、味噌づくりといっしょです。
本業窯さんのこだわり、「土」「釉薬」、、、垣間見させていただいた瞬間です。
【「施釉」】
さて次は施釉(色付け)です。
今回は自分で形を作ったものと、先生にご準備いただいた「素焼き」を終えたものに色付けをしました。
窯の中で割れてしまうこともあり参加者の皆さんが寂しい思いをしないようにとのご配慮です。
ありがとうございます。
【本業窯さんの「釉薬」】
本業窯さんの「釉薬(絵具)」は自然素材にこだわっています。この「釉薬」を作る作業場も見学させていただきました。
材料は「企業秘密」ということですが、仕込みから半年以上かかるそうです。
ベースは「黄瀬戸」の黄色。そこにいろいろと追加して、、、。
【白は黒・赤は緑】
白は黒。緑は赤。何のこと?
「表現したい色」と「釉薬の色」。白で表現したい場所には黒い釉薬を塗り、赤で表現したい場所には浅葱色(うすい緑)色の釉薬を塗り。慣れるまでは「わけがわからん」状態。
色は動く。釉薬の混ざり合った部分。「こうしたい!」と思ってもなかなかその通りの色は出ず、さらに重力の法則にしたがって釉薬が流れて、、、。
「細かくこだわるよりは、大胆にサクッと進めたほうがいい感じになることが多いですよ」というのが先生のアドバイス。
和気あいあいとした雰囲気の中で色付けを終えました。
【民藝の提唱者:柳宗悦】
ところで皆さんは「民藝」という言葉をご存知でしょうか。「民藝」とは日本では柳宗悦氏らによって昭和初期に提唱された1つの「美意識」です。
昭和30年代、日本の経済が急速に発展、いいかえれば「規格化された」「お値打ちな」「普及品」がどっと街に溢れた時代に姿を消しつつあった名もなき職人の作っている日用品に「用の美」を見出していった一つの流れです。
そして柳氏と六代目半次郎氏も交流がありました。
【名を残さない】
芸術家は自らの作品に「銘」を入れ、「ブランド」としての価値を提供していきます。一方で職人は自らの作品には決して「名」入れず、日常「生活」の中で用いられることを望みます。
同時に、その作品は一定水準を越えると銘がなくても誰の作品かは明白です。
「本業窯」さんの作品も例外ではなく、その色、形、風合いなど他人が真似できるものではなくその道の方が見れば一見して窯元がわかります。
【ギャラリーにて】
「成形」「施釉」と和気あいあいとした体験が終わり最後は「ギャラリー」にてお茶をいただきながら本業窯さんの製品を見学しました。
店番をされているのは、お嫁さん。
みちこ先生のお話では「私は輸出物の家から嫁ぎましたが、彼女は内地物の家(瀬戸物の国内向けのノベルティを制作している家)から嫁ぎました」と。
笑顔を絶やさずに接客してくださったのが印象的です。是非一度ギャラリーを訪れ、手に触れてみてください。
レポート:伊藤彰宏
写真:鬼頭 哲雄
先生
水野みちこ / 瀬戸本業窯 七代目水野半次郎氏の奥様
デザインを専門学校で学び、28年前からやきものアクセサリーを作り始められ、大手デパートやギャラリーで販売をされていました。蒔絵や西洋アンティークが大好きで、自分がつけたい!と思うものを作ってこられたそうです。
今回の教室
瀬戸本業窯ミーティングルーム
住所:〒489-0847 愛知県瀬戸市東町1−6
地図を見る
瀬戸は千数百年に亘り、良土の恵みを受け陶磁器が焼かれてきました。純白で強度耐火度に優れた陶土は今だ当地の右に出るものがないと言われます。1800年より磁器(新製焼)の生産が始まり、産業の源が築かれ、近世に於いては輸出玩具(ノベルティー)、ニューセラミックスなど新しい分野へと展開しています。しかし、瀬戸本業窯は、すべての窯業基盤となった鎌倉以来の伝統を伝える、本業焼きを守り続けています。
http://www.seto-hongyo.jp/