授業詳細

CLASS


八丁味噌ってなんだろう?~岡崎のまち、味噌蔵を巡る~

開催日時:2019年04月13日(土) 13時00分 ~ 15時30分

教室:まるや八丁味噌

レポートUP

先生: 浅井 信太郎 / 株式会社 まるや八丁味噌 代表取締役
天野 めぐみ /
早川昌吾 / カクキュー企画室

カテゴリ:【食/まち歩き/ものづくり/歴史・文化】

定 員 :20人

※参加費:500円(味噌スープ代として<サポーターの皆様からの寄付による講座>)
※集合場所:菅生神社(すごうじんじゃ)(〒444-0052 愛知県岡崎市康生町630-1)
 名鉄「東岡崎駅」より、徒歩15分程。

※本授業の抽選は2019年3月29日(金)に行います。
(抽選予約受付は3月29日(金)13時までとなります。)
※抽選後、定員に満たない場合やキャンセルが発生した場合は、2019年4月12日(金)13時00分まで先着順でお申し込みを受け付けます。
岡崎市名産として有名な“八丁味噌”について、みなさんはどのぐらい知っていますか?

名前の由来は、岡崎城から西に8丁(約870m)離れた「八帖村」で仕込みが始まったことから“八丁味噌”と呼ばれるようになったそう。

最近だと、地域の農林水産物や食品をブランドとして保護する「地理的表示(GI)保護制度」を巡っての話題で知った方もいるかもしれません。

岡崎の八丁味噌は、伝統製法を守り、豆と塩と水のみを使い、木桶で仕込み、3トンもの重石を、昔も今も石積み職人たちの手で一つ一つ円錐状に積み上げて、人の手を入れず二夏二冬ねかせ、丁寧につくられています。

今回の授業では、知っているようで、まだまだ知らないことが多い八丁味噌のことを学びます。

味噌汁を、カフェでコーヒーを飲むように気軽に楽しんでもらいたいと、ミソスープスタンドなどを岡崎で仕掛ける天野さんを先生に迎え、岡崎城から味噌蔵のある場所まで(8丁歩いてみよう!)、八丁味噌や岡崎のことを聞きながら歩きます。

「カクキュー(合資会社 八丁味噌)」の早川さん、「まるや八丁味噌」の浅井社長にも先生に加わっていただき、小路を挟んで向かい合わせの立地にある、それぞれの味噌蔵の見学をします。

後半は、まるやさんの食堂をお借りして、カクキューさん、まるやさんの2種類のミソスープの味比べ体験をしたり、感想を共有する時間にします。

地域に寄り添いながらものづくりに取り組む先生のお話を聞いて、改めて食のことや地域のことを考えてみませんか?

【スケジュール】
12:45 受付開始
13:00 授業開始、導入
13:10 岡崎まち歩き
13:40 味噌蔵見学(カクキューさん)
14:10 味噌蔵見学(まるやさん)
14:40 味噌スープ体験
15:00 ワーク
15:25 アンケート
15:30 終了


授業コーディネーター名:大野嵩明、中川光
愛知県が誇る八丁味噌について皆さんどのくらい知っているのでしょうか。

「濃くてしょっぱそう」「塩分が高すぎて飲めなさそう」そんなイメージを持っていませんか。

実はこの八丁味噌がどんな味でどんな歴史で街に根付いているのかを探ろうというのが今回の授業です。

まずは名鉄の東岡崎駅を降りて集合場所の菅生神社へ。

一番乗りだったため授業の成功を祈願するためにお参りをしました。この日は天気も良くポカポカ日和。目の前の乙川の桜も綺麗です。日本人で良かった~。

その後、続々と生徒さんが集まりました。

今回の授業の先生は3人いらっしゃり、まず1人目は天野さんです。



天野さんと共に菅生神社をスタートし、岡崎城と岡崎公園へ。ちょうど13時半になったので、からくり時計が動き出しました。三英傑の徳川家康が岡崎市出身という事で武将の街なんだなと実感。

実は岡崎城には表と裏があるそうで、乙川から岡崎城へ進んで見える方面が裏、国道1号線から見えるのが表だそうです。岡崎城周辺の岡崎公園にも多くの桜が咲いており、人も多かったです。さすが「日本さくら名所100選」ですね。でも、今回は天守閣には入らず、公園を散策しながら次の教室である「カクキュー」へ。



八丁味噌・・・八丁とは言わずもがなですが、岡崎城から八丁(約870m)歩いたところにあります。岡崎城から徒歩5分くらいでしょうか。カクキューさんへ到着。



なるほど、八丁歩いて来たわけか!

カクキューさんをご案内して頂く2人目の先生が早川さんです。ちなみに、カクキューさんの住所ですが岡崎市八帖町です。





早川さんには味噌蔵のご案内をして頂き、
・カクキューの歴史
・八丁味噌と赤だしの違い
などを説明してくださいました。

味噌を作るために欠かせない木桶ですが、木桶職人は現在1社のみになってしまい後継者不足が問題となっていたそうです。でも、そういった危機意識から年々新たな職人も育っているとの事。ちなみに、カクキューさんの敷地は約7000坪で東京ドームの半分。



八丁味噌は2夏2冬寝かせて作られます。

使っている木桶の中で一番古いのは天保15年の木桶だそうです。もう真っ黒になってましたが、もちろん現役バリバリです。



また、カクキューさんで使われている大豆は国内産(地元の三河産、北海道産)がメインで少し欧米産が含まれているそうです。

八丁味噌と赤だしの試飲、味噌田楽を試食し次の教室である「まるや八丁味噌」へ。

カクキューさんから目と鼻の先にある、まるやさん。そりゃ岡崎城から八丁歩くと着くので、お互いが近い場所にあるのは当然ですね・・・と言われてみれば納得。

もちろん、まるやさんの住所も岡崎市八帖町。ここで3人目の先生である、まるや八丁味噌の浅井社長さんです。





浅井さんからもまるやさんの歴史を聞かせて頂いたり、味噌蔵(今回は特別に)を見学させて頂きました。と、その前に集合写真を。



そして、味噌蔵でははしごに登って木桶の中も見させて頂きましたが、びっしりと味噌が敷き詰められていました。凄い量でした。

木桶に積んである石は矢作川の上流の足助辺りの石だそうですが、浅井社長さんですら入社以来買った記憶がないという事ですので、ずっと使い込まれているのでしょう。ひとつでもズラすとバラバラになりかねない、微妙な配置です。これはこれで芸術だと思いますが、この作業を怠ると味噌の味に大きな影響が出るとの事。



味噌は生き物だから一つ一つの作業に慎重さが求められるわけで、時代は変われどこうした地道な作業が今日まで続いているという事を聞くと八丁味噌って凄いんだなと。

・・・何と、まるやさんの味噌蔵にカクキューの早川さんもいらっしゃるではないですか!

お互いライバル同士なのに良いのでしょうか??と思いましたが、「両社はライバルだけどお互いに良い八丁味噌をこの地で作っていくコンビなんだよと。」浅井社長。

素敵な両社ですね!これぞ、八帖町にある八丁味噌会社だ!

浅井社長と早川さんもお互いが仲良しで、本当に八丁味噌が大好きなんだなと感じました。お二人とも生徒さんの質問にも親切に答えてくださいました。

今度はまるやさんの食堂を貸して頂き、そこで自己紹介コーナー。

と、同時にカクキューさん&まるやさんの味噌を使った2種類のミソスープを天野さんに作って頂き改めて試飲です。



両社の味を比べるとやはり違いがはっきりしますね。カクキューさんは味が濃い目かな、まるやさんは甘味(?)とまろやかさがあるかなと思いました。どっちも僕は好きですね。

味噌の味を決める木桶の中の菌はこの地域で育った菌なので、この場所でしかもうこの味は出せないとの事。両社の木桶でそれぞれが違うであろう菌で出来た八丁味噌。ずっとずっと昔の人も同じ味噌を味わいながら生きてきたのかと思うと凄い事です。



 授業に参加された生徒さんも
 ・大人の社会見学に興味があります。
 ・一度、味噌を作ってみたのですが上手く出来なくて。
 ・1日に2つの老舗企業を訪問できるなんて楽しそう。
 といった意見が多かったです。


 
今回、岡崎城から八丁歩いた「カクキュー」「まるや八丁味噌」の2つの超老舗企業を訪問し、実際にお話を聞いてみると八丁味噌が岡崎市の観光や街づくりを担っている事実がわかりました。もう単なる会社ではなく、岡崎市に根付く「家族」みたいなものなのかなと感じました。名古屋でいう名古屋城やテレビ塔といった感じでしょうか。もちろん、歴史の長さが異なりますけど。

徳川家康が長生きしたのは、八丁味噌のおかげだと言われています。また、愛知県は糖尿病の発生リスクが全国で一番低いのも八丁味噌のおかげだという意見も多いです。そう、八丁味噌は歴史上の偉人から現代人まで時代が変わっても多くの県民に支持される愛知県が誇る食文化なのです。その食文化を守るのも止めてしまうのも我々現代人。

後世にも残したい・・・いや、絶対に残してほしい食文化であると思います。

是非、皆さんも岡崎城から八丁歩いて「カクキュー」「まるや八丁味噌」を訪れてみてください!歴史を感じられますよ。


 
レポート:石坂 喜和
写真:鬼頭哲雄


※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

浅井 信太郎 / 株式会社 まるや八丁味噌 代表取締役

1949年 愛知県幡豆郡生まれ。  伝統的な日本文化・産業は世界が認める貴重な遺産であり、世界に発信することは自分の使命と義務であると考え、有機栽培大豆で八丁味噌の醸造に取り組む。 1987年アメリカ有機食品認定団体O.C.I.Aの認定を受け、その後KOSHER、ECOCERT認定を受けこれを世界に発信。 現在約世界約20カ国以上に八丁味噌を輸出。 社長就任後も自ら海外へ渡り、八丁味噌と日本の食文化を普及につとめている。 2007年三河産大豆と神水で八丁味噌の仕込みを実施、2009年10月限定販売開始し、現在も継続中。2008年に新規に吉野杉の木桶の発注、2010年再入荷開始して以来、定期的に仕入れて今年2018年10月3本が届けられた。2019年、2020年各3本発注済。

天野 めぐみ /

昭和36年、横浜市に生まれ、小学校2年生で豊橋市に転居し、結婚で岡崎市民に。2児の母であり、婦人服店を営む傍ら、籠田商店街会長を務める。籠田公園に芝生を植えることを岡崎市に提案し、緑地化した現在は籠田公園清掃かごめ組一員として公園の管理をボランティアで行っている。 好物「ド―ナツのまん中」 趣味「人のホロスコ―プを見る」 モット―「360度から物事を見て、いつも心はニュ―トラル」

早川昌吾 / カクキュー企画室

1984年、岡崎生まれ、岡崎育ち(一時期浜松)。名城大学 理工学部 電気電子学科 卒業。自動車部品メーカー 設計部 (就職➡退職)。カクキューに就職(28歳)。醸造部・製造部を経て、現在に至る。現在は企画室で広報等を担当。

今回の教室

まるや八丁味噌

住所:愛知県岡崎市八帖町往還通52番地

地図を見る

延元二年(1337年)八丁の地で開祖弥治右衛門が醸造業を始める。戦国時代には徳川家康の兵食となり珍重されました。現在は世界20カ国以上に、「Hatcho Miso」の商品名で輸出もしています。