授業詳細
CLASS
「おもしろい人」に会いにいく
開催日時:2019年09月14日(土) 10時00分 ~ 12時00分
教室:尾張瀬戸駅周辺・せともの祭~末広商店街
レポートUP
先生:
南 慎太郎 / ゲストハウス ますきち代表
設楽 陸 / 画家。タネリスタジオビルヂング 代表
カテゴリ:【アート/まち歩き】
定 員 :10人
※集合場所:名鉄瀬戸線「尾張瀬戸」駅改札出口付近
※「せともの祭」は毎年暑いです!暑さ対策をしてご参加ください。
※本授業は2019年9月13日(金)13:00まで先着順でお申し込みを受け付けます。
町のど真ん中を流れる瀬戸川。
賑やかな名古屋市栄から「瀬戸電」と呼ばれる名鉄電車の終着駅。
駅前から続く昭和レトロの商店街や古い町並みと、新鋭デザインの建物やアートが混在する「瀬戸」。
アジアの田舎を思わせるような空気間は、なぜだか懐かしくもあり、何かを見つけられるような期待が高まる町。
まちの魅力は”ひとなり”
働き方や生き方に共感できたり、哲学を持った生き方にあこがれたり、話しているとなんだかうれしい気持ちにしてくれる人を「おもしろい人」と呼んでいる。
愛すべきそんな人に会ったら、その人が住でる”まち”ごと好きになる。
昭和レトロの町なかは開発されていないことが魅力という人がいる。ということは、瀬戸の未来像は誰にでも思い描ける楽しみがあるのではないか!?
今回の授業では、そんなありのままの瀬戸を楽しんでいる「おもしろい人」に会いに行きます!
瀬戸に移り住んで18年。このままの瀬戸を伝えたいとツアーやイベントを企画してきたYUI代表 斎藤が見つけた”いい感じの瀬戸”の一片をご案内します。
当日は一年で一番にぎわう「せともの祭」開催日です!
廉売市も楽しいですが、伝統技術を使いながら、若い作り手の新しい「せともの(瀬戸焼)」も販売しています。
普段は工房にいる作陶家やアーティストと直接気軽に話せる機会でもあります。
おススメのスポットやステキな作家やアーティストをご紹介しながら歩きます。
ご紹介したい「おもしろい人」が居る場所は・・・・・
■ゲストハウス「ますきち」
北海道からUターンして、やきもの卸商の邸宅だった古民家を仲間と共に古材を活かしてリノベしたゲストハウス「ますきち」。25歳オーナーが国内外のゲストハウスを訪ね歩き見つけた理想とするゲストハウスとは?!
■青の広場
瀬戸染付けのブース。瀬戸焼の中でも、「呉須ごす」と呼ばれる青い顔料を使い、濃淡で柄を表現する絵付け方法があり、海外からも人気の染付けのやきものは、日本を代表する優しい美しさ。家業を継ぐとは?!これからやってみたい瀬戸焼とは?!
■アートスタジオ「タネリスタジオ」
2017年、元電気屋の廃ビルをセルフリノベーションし、アートコミュニティとして誕生した「タネリスタジオ」。アーティストが日々作品を制作して普段はなかなか立ち入ることのできない、クローズドで未知なる領域を解放します。画家ってどんな人?現代アーティストってどんな暮らしをしてるの?
「せともの祭」を楽しみながら、「おもしろい人」と出会い、
新たな瀬戸の魅力を見つけてみませんか?
【スケジュール】
9:45 受付開始(集合:名鉄瀬戸線「尾張瀬戸」駅改札出口)
10:00 授業開始(自己紹介、授業説明、まち歩き開始)
10:30 ゲストハウス ますきち (若手ツクリテ市開催中。作家(ガラス、胴、陶器)、珈琲、雑貨)
11:00 青の広場 (陶器、ガラスの若い作り手のブース)
11:30 タネリスタジオ(日常に潜むArtの魅力の入り口となる「ART CHECK-IN」展へ)
12:00 終了
授業コーディネーター:斎藤 貴子
朝から年に一度の「せともの祭」を楽しもう
という人で溢れかえっていました。
今回の授業テーマは「祭を楽しみながら、
瀬戸の地で活躍する『おもしろい人』と出会い、
新たな瀬戸の魅力を見つけよう」です。
残暑厳しい中にも関わらず、
参加者全員が3箇所
(①ゲストハウス「ますきち」
②青の広場 ③アートスタジオ「タネリスタジオ」)
を意欲的に歩き訪ねました。
①ゲストハウス「ますきち」
住所:愛知県瀬戸市仲切町22
・案内人:南 慎太郎(みなみしんたろう)さん
情報発信型ゲストハウス「ますきち」は
尾張瀬戸駅から徒歩8分、
昔ながらのレトロな佇まいの
「せと銀座商店街」のすぐ近くにありました。
落ち着いた雰囲気を漂わせた古民家風の
「ますきち」の家屋は、
“せともの”の魅力を万博などで世界へ発信した、
明治時代の陶芸家・川本桝吉が暮らしていた、
築約140年の邸宅を改築したものです。
改装された内部に入ると、
古民家の魅力を十分に生かしたい
というオーナーの思いが伝わってくる工夫や
アーティスティックな仕掛けが随所に施され、
和風佇まいの雰囲気に満たされた、
ゆったりとくつろげる空間に身を置くことができました。
生徒たちも室内の家具などを写真に収めたり、
感嘆の声を上げたりして各自が思いおもいに
楽しんでいました。
また、心地良さそうなドミトリー形式のベッドが
寝室部屋にも設置してあり、
リーズブルな価格で宿泊できるとのこと、
外国人には人気がありそうです。
「ますきち」は、
オーナーの南 慎太郎氏(1994年1月瀬戸市生まれ。
北海道大学4年生の時にゲストハウス立ち上げを
決意し、2017年3月大学卒業後、
瀬戸市にUターンして、ゲストハウス開業準備を進めた。
学生時代の部活はラグビー部。モットーは
「愉快に快適に暮らす」)が、
仲間と共に古材を活かしてリノベーションし、
改装したゲストハウスです。
昨年末に瀬戸市内でグランドオープンしました。
南氏は、「『瀬戸でゆっくりと滞在したい』
『瀬戸らしい建物で宿泊したい』
そんな方にぜひ泊まっていただきたいです。
宿泊だけではなく、地元の人や観光客の方が
気軽に遊びに来て、お茶をしたり、
パソコンで作業をしたり、
気軽に立ち寄っていただけるようなコ
ミュニティスペースもつくりたいな
と思っています」と語っていました。
この日、ますきちでは、
尾関萌衣/おぜき めいさん
(愛知県立大学フランス語圏専攻 2019年3月卒業)と
尾関真彩/おぜきまあやさん
(名古屋学芸大学デザイン学科4年)らによって
「SETOMONツナグプロジェクト(クラウドファンディング)」
の報告巡回展
(瀬戸市の魅力を再発見し世界に発信する為に、
カナダで瀬戸の展示を開催された展示の報告展が行
われていました。
展覧会には、
現地の観覧者からのメッセージも展示され、
海を越えた人々の想いも伝わってきました。
その他に「ますきち」の庭では、
瀬戸にはやきもの以外の作家や個人店などの
何かしらの“ツクリテ”がものをつくり、
瀬戸に暮らしている人たちやゆかりのある
ゲストも含めた数店が出店しており、
若く新しい息吹が此処彼処に生まれつつある、
そんなワクワク感に包まれていました。
②青の広場
・案内人:加藤 真雪(かとうまゆき)さん
次に訪れたのは、瀬戸染付けのブースです。
瀬戸焼の中でも、「呉須ごす」と
呼ばれる青い顔料を使い、
濃淡で柄を表現する絵付け方法があり、
海外からも人気の染付けのやきものは、
日本を代表する優しい美しさです。
好評を博して大賑わいの青の広場で
案内してくださったのは、若く笑顔を絶やさない
加藤 真雪さん。
彼女は瀬戸染付焼の窯元
「眞窯」に生まれ、四代目として家業を継いでいます。
立命館大学の国際関係学部を卒業後、
多治見市陶磁器意匠研究所でデザインを学んだ後、
2011年から国内外にて個展、
グループ展を中心に活動しています。
<主な受賞歴、活動歴>
高岡クラフトコンペティション 入選(2011・2012・2014年)、
長三賞陶業展 入選(2015年)、
・出展(2015年-2016年)
萌ゆ春、うつわ展(横浜高島屋)
嘉盃百選3(大阪・ギャラリー海野)
涼を彩る 夏のうつわ特集(新宿高島屋)
特別展・瀬戸染付焼展(伝統工芸青山スクエア)
暮らしの道具展(福岡・クラフトギャラリー季粋)
眞窯 藍で彩る食卓(ジェイアール名古屋タカシマヤ)
SETO YAKI DNA (伊勢丹新宿店)
三国演藝―中・韓・日陶藝家交流展
(中国・景徳鎮陶渓川美術館)
made in Seto (東京・スパイラルホール)
ぐいのみ展(愛知・ギャラリー数寄)
産地ゴト展‐瀬戸-(東京・coto mono michi at TOKYO)ほか。
・個展
Kato mayuki ceramics (ソウル・fifteen gallery)
Solo exhibition (ソウル・Duru art space)
Mayuki Kato solo exhibition(ソウル・fifteen gallery)
加藤 真雪 展(瀬戸・かわらばん家)
加藤さんの想いは、
「眞窯の染付の伝統を引き継ぎつつ、
染付の新しい可能性に挑戦したい。
細部まで丁寧に作り、確かな品質のものを
客に届けたい」ということで、国内にとどまらず、
海外にも積極的に広めていきたい
という願いも熱く語ってくれました。
生徒の中からも「ステキ!」
と歓声が上がるほどの、
会場で一際目立っていた優しい表情の作品は、
彼女がデザインしてご両親が焼いたり
絵付けをしたりした合作とのことでした。
家族で力を合わせて伝統工芸をさらなる高みへと
発展させていきたい、
そんな素敵な願いとそれを実現する力強さと
温かさが、作品からも伝わってくる気がしました。
③アートスタジオ「タネリスタジオ
住所:瀬戸市末広町1丁目31-6
案内人:設楽 陸(したらりく)さん
・最後に訪れたのは、
2017年に設立されたタネリスタジオです。
現在、20名ほどで運営、10名ほどがアトリエを構え、
カフェも備えた異空間でした。
タネリスタジオビルヂング代表の設楽さんは
長久手市出身で、芸大教員の父を持ちます。
少年時代には、テレビゲームを禁止されたことから、
新鮮な感覚で受け止めたゲームの視覚効果や
物語世界への心理的傾倒を持ち続け、
絵画やドローイング、ノート、陶の多チャンネルで
作品を制作、発表されています。
<展覧会歴>
【個展】
2009年 parallel reality(CAS /大阪)
2011年
シミュレーテッドレアリズム(ギャラリーM /愛知県)
2012年 サルと兵士と爆弾と僕(ギャラリーM /愛知県)
【グループ展】
2008年 TRANSIT 2008
(カーネギーメロン大学ミラーギャラリー/ピッツバーグ)
Dual Life (愛知県美術館ギャラリー/名古屋)
Asia Students and Young Artists Art Festival
(ソウル旧駅舎/ソウル)
2010年 あいちアートの森
(東陽倉庫テナントビル/名古屋)
感じる世界、紡ぎだす物語 (ギャラリーM/愛知県)
2012年 ポジション2012(名古屋市美術館/名古屋)
モニターとコントローラーの向こう側へ
(ニュートロン東京/東京)
2013年 CRASH×BUILD (アートラボあいち/名古屋)
Flesh and bone (海岸通ギャラリーCASO/大阪)
2015年 Sky Over 1(アートラボあいち大津橋/名古屋)
2016年 設楽陸&矢島与萌
[MATANOZOKI](gallery blanka/名古屋)
となりの人びとー現代美術 in 春日井
(春日井文化フォーラム/愛知)
オカチなAMR(「岡地株式会社」旧社屋/名古屋)
案内された迷路のようなスタジオ内は、
アートな空気感で充満していました。
作家が制作する現場は、
既に其処がアートです。
そんな異空間に生徒たちは
「わー、すごい!」「これは何を作っているの?」など
と感嘆の声をあげたり、
案内人に質問したりして興味津々です。
知らず識らずのうちに自らが半ば
その風景に溶け込んでしまったかのような
錯覚すら起こしそうです。
スタジオ内では、
キノコの生えたベッドを模った作品の作家と
直接話す機会にも恵まれました。
作家が抱くテーマとそれを如何に表現するか
という話を聴くうちに、作家の苦悩や
歓びの一旦に触れた気もしました。
生徒からは現代アートの鑑賞の仕方や
その魅力など次々と質問が浴びせられました。
それに対して、作家や案内人の方は、
自らの生い立ちやアートに関わるようになった経緯
なども織り交ぜながら丁寧に応えてくださり、
作家の一方的な押し付けではなく、
共に考えていくといった、
それこそ現代アートの真髄に沿った態度で
接してくださいました。
最後に、現代アートに魅了された生徒さんたちは、
案内人の設楽さんの大きなキャンパスに描かれた、
色彩豊かな作品の前で記念撮影をして、
せともの祭りの賑わいの中へと散っていきました。
【レポーターの感想】
筆者は数年前にも大ナゴヤ大学の授業で、
営業が始まる前の「ますきち」を訪れたことがあります。
今回の授業をレポートするうちに、
そのときのオーナーの願いが着実に
実を結びつつあり、更に多くの若い人が集まって
何かが動き始めている、
そんなエネルギーを持つ新しい瀬戸に、
私も励まされる思いを強くしました。
大ナゴヤ大学も開校10周年を迎えるにあたり、
こうした“縦軸”の授業の流れも積み重ねられていく中で、
また新たな学びへと繋がる予感もしてきています。
レポート:長老(河辺正太郎)
カメラ:ずんさん
先生
南 慎太郎 / ゲストハウス ますきち代表
瀬戸市出身、北海道大学4年からゲストハウスを準備し、2018年11月「ますきち」オープン
まちとツクリテと旅人を繋げるため、日々奮闘中。
https://www.facebook.com/seto.masukichi/
住所:愛知県瀬戸市仲切町22
設楽 陸 / 画家。タネリスタジオビルヂング 代表
長久手市出身。アートを日常にという思いから、元電気屋さんの廃ビルを自分たちで改修し、瀬戸に初めての アートの拠点を作る。ツクリテが地域に溶け込み定着するための支援 ・ツクリテが根付く仕組みづくり ・ツクリテがくらし、交流するための情報発信中。
https://www.facebook.com/oobabiru/
住所:瀬戸市末広町1丁目31-6
今回の教室
尾張瀬戸駅周辺・せともの祭~末広商店街
住所:名鉄瀬戸線 尾張瀬戸駅周辺
・第88回せともの祭開催中 9/14~15(土日)
・タネリ×ますきち。現代アーティストの制作現場公開&日常に潜むアート展「Art CHECK IN」