授業詳細

CLASS


デザインの裏側〜「着れる建築」を“たてる”までから学ぶ

開催日時:2019年12月14日(土) 16時00分 ~ 18時00分

教室:アンビエントデザインズ オフィス

レポートUP

先生: アンビエントデザインズのお二人 / 建築設計事務所

カテゴリ:【 くらし/コミュニケーション/ものづくり】

定 員 :20人

参加費無料(毎月第二土曜日は「大ナゴヤの日」として参加費無料の授業を開催しています。)
私たちの身の回りにはたくさんの「デザイン」が溢れており、普段は何気なく触れている器、服、食事、家具、建築、街並みなど挙げればきりがないのですが、そのつくられた意図や背景を知ることでどうしてそれらがなぜ、決められた材料や見た目で世の中に送り出されているのか知ることで新しい発見をすることができます。

さて、「建築を着る」と聞いて、みなさんどんなことを想像するでしょうか。

初めて耳にした時はきっと頭の中には「?(クエスチョン)」ばかりが浮かぶことでしょう。
授業の表紙を見ていただいているので、この授業ページを見ている人にはなんとなく御察しのことでしょうが、私は初めて聞いた時にはどういうことなのか全く想像がつきませんでした。

この“着れる建築”とは「イエティ」という服です。
ambientdesignsが設計した“広島の住宅”をどこにいても体感していただけるようなコミュニケーションプロダクトの実験として制作されました。“広島の住宅”の音楽をダウンロードすることのできるQRコードが服の背面に記載されており、設計された図面と建築の空間を構成する空気感を音楽から想像し、疑似体験ができるというもの。

なぜ、このプロダクトが生まれたのかというと、建築を表現する情報発信は図面、模型、レンダリング、ドローイングなど、さまざまなものがありますが、実際に建築されたものを訪ね、その空間を体験することが何よりの情報発信となります。しかし、アンビルトプロジェクト(実際に建てられなかった建築)にはそれができません。そんな葛藤を”着れる建築”としてambientdesignsが世に送り出したものが「イエティ」なのだそう。

今回は、デザインとはなんなのかを改めて先生・生徒の皆さんとともに考え、この“着れる建築”「イエティ」を事例にプロダクトが生まれるまでの背景やデザインされるまでの手法を事例に学びます。生徒みんなで日常感じているモヤモヤを形にする方法にチャレンジします。


【スケジュール】
15:40 - 開場
16:00 - 趣旨説明
 ・自己紹介
16:10 - デザインの裏側について知ろう
17:10 - 自分でつくってみよう
17:40 - 感想を共有しよう!
18:00 - 終了
(※スケジュールは予告なく変更になる可能性がございます)

【授業コーディネーター名】
山田卓哉
「着れる建築」っていったい何だろう?
ド文系の自分にとっては未知なる言葉。
でも、発想が面白いなと思いながら
教室へ向かいました。

アンビエントデザインズがある事務所は
お世辞にも分かりやすい場所ではないですが、
扉を開けると周りの雰囲気とは異なる空間で、
積み重なっている大きな正方形の発泡スチロールが
椅子の役目を果たしていたり、
何だか秘密基地みたいな事務所でした。

次第に生徒さんも集まり授業のスタート。
まずはこの異空間の秘密基地で
皆さんシーンとなっているところを、
先生である石黒泰司さんと和祐里さんが
授業開始に合わせて
「他己紹介」を実施しようとの事。



お互い初めまして同士、
質問をしながら相手の情報を得て、
それを発表するというもの。
最初は緊張していた感じでしたが、
発表を通じて一気に教室は笑い声に包まれました。


 この日の生徒さんは、
・ものづくりに興味がある
・デザインに興味がある
・バンドやってました
・不動産関係の部署で建築に興味がある
・4ヶ月の子供がいます
・テコンドーやってます
・旅行が好き
・写真撮るのが好き

と、何とも多彩な生徒さん達が集まりました。



そんな、盛り上がった他己紹介を終えて、本題へ。

まず、アンビエントデザインズは
一級建築士であり、建築家である石黒さんと
デザインや場づくりをしている和さんが営む
建築設計事務所です。

石黒さんの事例紹介、
和さんデザインの事例などのスライドを見ながら
アンビエントデザインズについて学びました。

豊田市金谷町でのまちづくりの場、
「Kanaya Camp」のロゴを作成した和さんは
KanayaCampという文字を途中で終わらせるような
ロゴを作りました。



よーく考えて言われれば
「Kanaya Camp」と読めるけど、
文字が中途半端なロゴにしたのは
「文字がきちんと読めるようなロゴになるまでの
過程はみんなでまちづくりしながら完成させよう」
という意味が込められているとの事。

和さんのデザインに対する想いは熱く、
どういうプロセスでものがつくられていくかを
コミュニケーションをとり、
またどうアウトプットしていくのかがテーマで、
そのために

1.「美しくあること」
2.「カタチ・イロには必ず理由がある」
3.「リサーチ・研究・スタディの繰り返し」
4.「うつくしい物質にする」

という事を常に考えており、
無責任なものは作りたくないという和さん。



いくらデザインのためだとは言っても
自分の想いに嘘をつくような仕事は
絶対に受けないという事です。

一方、石黒さんは建築家として冒頭の
「着れる建築」につながります。



この授業の授業情報にも載っていますが、
広島の住宅を設計していたのに
途中で無しになってしまいました。
建築家は自分が設計したものを形にして
世の中に出してこそ価値があり、
無しになった設計図などをどうしたら
世の中に出せるかを考えたそうです。

建築物として世に出せば実際に
足を運んで建物を理解することが出来るが、
設計図のままだと難しい。
では、その設計図の建物を
そのまま服に印刷をしようと考えました。





表面は広島の住宅の設計図、
裏面は建築の音楽をQRコードで載せています。
それが、「着れる建築」=イエティです。
買った人が色々な場所で伝えてくれる
まさに移動する建築なのです。

そんなデザインや
「着れる建築」の裏側を知ったところで、
今度は生徒さんからの
アイデア出しのワークショップ①を行いました。

「マインドマップ」といって、
A3用紙に【建築】というキーワードからスタートし、
それにまつわるキーワードをどんどん書いていきます。
悩みながら考えるというよりかは
頭に瞬時に浮かんだものを書いていきます。
一種の連想ゲームみたいなものですかね・・・。



【建築】からスタートし、
一番端っこのキーワードとの関係性を考えると
面白い組み合わせになりました。
えっ、何でこうなるの?
みたいなチームもありました。



続いてのワークショップ②は
リサーチをしようという事で、
生徒さんから石黒さんと和さんへ
質問を投げかけ各自でリサーチをしつつ、
最後に
「アンビエントデザインズは〇〇です。
なぜなら〇〇です」
というお題に答えるワークショップです。



生徒さんからの際どい質問があったりしつつも、
お二人の丁寧な回答を通じて出来上がったものは・・・。

 ・「哲学」です。
なぜなら「なぜを追求するから」です。
 ・「旅人」です。
なぜなら「当たり前を再考するから」です。 
 ・「ワクワク」です。
なぜなら「一つのものに対して
真剣に向き合っているから」です。
 ・「ウエディングドレス」です。
なぜなら「宝物になるようなデザインをしているから」
です。



一部抜粋ではありますが、
一人一人が石黒さんと和さんの考え方を基に
2つのワークショップを実践してきました。
白熱した授業で気が付けば
終了時間を超えていました(笑)

石黒さんと和さんの想いに
授業後も熱心に話をする生徒さんもいて、
アンビエントデザインズの
今後の動きも追いかけたいなと個人的に思いました。

これからどんな仕掛けをしてくるのか、楽しみですね!



レポート:石坂喜和
写真:新田遼

※写真をクリックすると拡大します。


 

この授業への皆さんからのコメント

コメントがありません。 ご質問・ご感想など、コメントをお書きください。
コメントを投稿するには、会員登録した後、ログインして頂く必要があります。

この授業への皆さんからのトラックバック

トラックバックがありません。

トラックバック用URL

トラックバック
上の画像の英数字を、上記テキストボックスのurlのあとに入力して送信してください。
例)/subjects/trackback/531/a1b2c3d4e5
また、トラックバックは承認制のため表示に多少時間がかかります。

先生

アンビエントデザインズのお二人 / 建築設計事務所

アンビエントデザインズは場や空間の設計をおこなっている建築設計事務所。 代表であり建築家でもある石黒泰司とプロセスコミュニケーター兼デザイナーの和祐里の二人で活動 ===== 石黒泰司 建築家・アンビエントデザインズ代表 1988年名古屋市生まれ。東京理科大学大学院を修了後、株式会社久米設計を経て、2017年に生活を取り巻く場や空間の設計をおこなう建築設計事務所・アンビエントデザインズを設立。個人住宅・ギャラリー・医療福祉建築など、建物用途・新築・改修を問わず、幅広く建築の設計に取り組む。2019年より大同大学非常勤講師。 和 祐里 プロセスコミュニケーター/デザイナー 1988年東京都生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、凸版印刷株式会社、株式会社BAUMを経て、2017年アンビエントデザインズに参画。ロゴやサインデザインのみならず、場の企画も手がける。2019年より名古屋学芸大学非常勤講師。 ===== 2019年12月26日まで、和が企画・アートディレクションを担当する「生き方見本市TOKAI」クラウドファンディング挑戦中! https://readyfor.jp/projects/ikikatatokai

今回の教室

アンビエントデザインズ オフィス

住所:〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2丁目 奥村ビル2F
地図を見る

アンビエントデザインズは場や空間の設計をおこなっている建築設計事務所。

ambient(アンビエント)は直訳すると『環境』、語源として『取り巻くもの』という意味。

生活を取り巻くモノやコトを設計(デザイン)することで、人々が生活する環境に豊かな空気感を与えています。

7月より名古屋にオフィス移転