授業詳細

CLASS


“ブーム”はどこからやってくる? 映画の周辺にいる人たちと「インド映画」について語り合おう

開催日時:2020年03月14日(土) 13時00分 ~ 15時30分

教室:HORIE BLDG 【2F/Gallery NA2】

レポートUP

先生: 坪井 篤史 / シネマスコーレ副支配人
伊藤 憲子 / アニメーター

カテゴリ:【アート/カルチャー】

定 員 :15人

※本授業につきまして。2020.2.26.時点では、予定通り開催の方向で調整を進めております。注意事項を更新しておりますので、再度ご確認をお願いいたします。

※参加費:1000円(お土産・場所代として)
(当日のお茶の提供を中止し、お土産の提供に変更しました)

※本授業の抽選は2020年2月28日(金)に行います。(抽選予約受付は2月28日(金)12時までとなります)
※授業運営の都合上、当選後のキャンセルはご遠慮ください。しかしながら、体調面への不安などがある場合は、その限りではございません。
※抽選後、定員に満たない場合やキャンセルが発生した場合は、2020年3月13日(金)13時00分まで先着順でお申し込みを受け付けます。
※授業当日はうがい・手洗い・消毒にご協力をお願いいたします。また授業中はこまめに換気を行います。屋内での開催ではありますが、寒さ対策などは各自お願いいたします。
世の中の流行やブームって、どこからやってくるんでしょう?

マルチメディアでの発信など、広告戦略の影響力も大きいでしょうが、「バズる」ということばが生まれたように、たった一人のつぶやきや振る舞いが、大きな盛り上がりを生む、なんてことも珍しくなくなって今の時代、一人ひとりが「ブームの立役者」と言えるかもしれません。

もしかしたら、ブームの大きさや持続性、深みなども、一昔前とはちょっと違うのかも?
考えてみると意外と?深みがありそうな「ブーム」について、ここらで一度じっくり考えてみませんか?

今回「ブーム」について考えてみるにあたって題材に選んだのは…インド映画!

「え、どうしてインド映画!?」「インド映画って流行ってるの!?」と思われた方、あなどるなかれ。インドは年間映画製作本数だけでなく、映画館観客動員数も世界一を誇る、映画大国!日本でも1995年に上映された「ムトゥ!踊るマハラジャ」が大ブームになり、当時映画館は超満員になりました。

その後ブームは一度終息してしまいましたが、実は最近新たな盛り上がりが生まれています。全国各地の映画館でインド映画祭が共同開催されたり、インド映画ファンが自主上映会を企画したり。調べてみると、ナゴヤ圏でも有志を募って市民ホールなどでインド映画上映イベントが催されているようです。大規模ではないかもしれませんが「好きな人たち」が集まり、活動している。その動きが、ブームのうねりの一つともいえるでしょう。

授業では、現在のインド映画の盛り上がりの熱源近くにいる人たちにインド映画を取り巻く状況がどんなふうに変容してきたのか、現在どんな状況にあるのかを対談形式でお話しいただきます。

登壇するのは、年間を通じてアジア映画、日本映画、インディーズ作品などを中心としたプログラムを上映する「シネマスコーレ」の副支配人・坪井さんと、熱心なインド映画ファンで最近ではテルグ語講座にも通い始めたいとうのりこさん。映画を上映する人と、上映された映画を観る人、双方の立場からインド映画について思うぞんぶん語ってもらいます。

授業を通じて、ブームの変遷や映画業界全体を取り巻く現状なども耳にできるかもしれません。とはいえ、マニアック過ぎる内容にはいたしませんのでご安心を。

グループワークや質問タイムなどもご用意していますので、当日集まった皆さんで一緒に「インド映画」を中心に置いてブームについて語ってみましょう!

<スケジュール>
12:45 受付開始
13:00 授業説明・自己紹介
13:15 トークセッション
14:45 アイスブレイク
15:00 グループワーク「ブームをつくるのは誰/何?」をみんなで考えてみよう
15:20 質問タイム
15:30 終了

授業コーディネーター名:いとうえん、ひとみん
インド映画は、1990年代に「ムトゥ 踊るマハラジャ」が公開され、日本にインド映画の大ブームが起こりました。
それ以降はブームの浮き沈みはあったものの、2017年に公開された古代インドを舞台にした「バーフバリ 伝説誕生」と続編の「バーフバリ 王の凱旋」が日本をはじめ世界各国で大ヒット。インド映画ブームの再来となっているようです。

今回は、そんなインド映画を切り口に「ブーム」について考える授業が行われました。
参加された生徒さんは女性が多く、大ナゴヤ大学の授業自体が初めての方も結構いました。
過去にインド映画を見てからその魅力に取りつかれハマっている方やインド映画はほとんど見ないが新しいものに触れてみたくて来たという方、何かにハマっている人の話が聞きたい方など、初心者から熱心なファンまでさまざまな方に参加いただけました。

まずは、今回の先生の一人である名古屋の映画館「シネマスコーレ」の副支配人であり、ご自身も映画が大好きな坪井さんからのお話。

「ムトゥ 踊るマハラジャ」を観に行った当時の映画館の混雑状況はとてつもなくすごかったという話や、インド映画とはそもそもどんなものかということをこれまで日本で公開されたインド映画作品の紹介を交えて、解説をしていただきました。



トークには、坪井さんご自身の「ブーム」についての考察も盛り込まれていました。
ファンの心情を熟考せずに当時の勢いで他のインド映画作品を安易に公開してしまい、かえってブームの火消しとなってしまった配給会社側の問題点。
ご自身の映画館の運営の経験してきたからこそ話せるウラ話などなど。間髪入れない軽快なトークを展開する坪井さん。

ジョークあり、豆知識ありの坪井さんのボリューム満載のトークに生徒さんたちは、関心したり驚きの声を上げたりして楽しまれていました。最後に、とあるワケありインド映画作品の紹介もされたのですが、交差点や遊園地など、とんでもない所で踊るインド人カップルのシーンの数々に、スタッフも生徒さんたちも驚き&大爆笑でした!



続いて、もうひとりの先生である、伊藤さんからのお話。
エリート大学で友人たちの青春を描いた「きっと、うまくいく」という作品を見てから数々のインド映画を観てきた伊藤さん。ある日の同僚との飲み会の場で激推しされたのが「バーフバリ」でした。ツイッターでも話題になっていたこともあり、伊藤さんは劇場に足を運ぶことに。
そこで一気に作品の世界観に魅了されたそうです。

また歓声を上げ、紙吹雪を撒き散らす「マサラ上映」の楽しさにもハマってしまったとか。
インド衣装を買って着てみたり、ファンが主催する鑑賞会に参加したり、仲間を募って同人誌を制作したり…。
しまいには、「バーフバリ」のロケ地などをめぐる王国ツアーに参加し、実際にインドを訪れた話などを、写真を交えてたっぷり話していただきました。



伊藤さんをそこまでに魅了した「バーフバリ」の魅力とは何なのでしょうか?
伊藤さんいわく、「バーフバリは登場人物それぞれに個性が立っていて、どの場面を切り取っても絵になるほど絵面が強い。それでいて、普遍的な家族の話を描いている所に魅力を感じた。」とのこと。
日本のコンテンツに置き換えるとしたら「アニメ・マンガ文化」に通じるのではないかと分析をされていました。
普段はアニメーターとして活躍されている伊藤さんならではの考察です。
世界に誇れる日本のアニメ作品も、その魅力から大ファンになる人もいますが「バーフバリ」もそれと同じくらい魅力的だから熱いファンが生まれるのでしょう。

濃密なトークセッションを終え、休憩を挟んだ後にグループワークが行われました。
テーマは「ブームを守るのは誰/何?」。
先生たちも交えて3〜4人のグループに分かれ、各グループごとに授業の感想をアウトプットしつつ、ブームについての各自の考察をしていきました。



共有した内容としては・・・

・名古屋は関東や関西と比べてファンのファンの集まるような環境がないので、
 なかなか火が付きにくい。
 けれど火がついたら熱量はすごいと思う。
 いかに火をつけるかが重要ではないか。

・1つのヒット作品に出演している俳優の他の作品を上映したりして、
 他につなげていくといいかも。
 とにかく地道にやっていくことが重要だと思う。
 また、作品と出会うきっかけを作る事も大事。

・影響力のあるユーチューバーなどが広めてくるのが一番だと思う。
 ただ最近ではSNSなどで情報を得ることが多いので、
 各個人が宣伝役となって広めていくことが重要。



といった意見が出てきました。
ブームとはなにか、そしてブームを作り出し、どう継続していくかについてそれぞれ有意義な話し合いができたようです。

今回の授業はインド映画にとどまらず、「ブーム」について深く考えさせられた内容でした。
それと同時に、生徒さんの中にはインド映画自体、全然知らなかったけど、今回の授業で興味を持ったので、インド映画を観たり、インド料理店などに行って、もっと文化に触れてみたいと感想を残す方もいて、新しい発見につながっていくような授業だったと思います。

2020年3月現在、「バーフバリ」2作品の完全版が名古屋をはじめ愛知県内のいくつかの映画館でも上映されているようです。
動画配信サービスで観られる作品もたくさんあるので、このレポートを読んでいるあなたも、これを機にインド映画のブームの波に乗ってみてはいかがでしょうか?
(5月には、シネマスコーレでもインド映画の上映があるようですよ!)



レポート: 河津 一輝
カメラ: 大野 嵩明

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

坪井 篤史 / シネマスコーレ副支配人

1978年愛知県生まれ。小3の時に映画から啓示を受けて30年過ぎました。映画のために生きる映画狂人。名古屋のミニシアター、シネマスコーレ副支配人。たまに非常勤講師、たまにテレビレギュラー出演。白石晃士監督と毎月2回<映画狂人ロード>ニコ生にて配信中。中日新聞プラス、中日新聞Clifeにて映画コラム掲載中。北名古屋市にて市民映画講座開講。自分の映画狂人ぶりがドキュメンタリー映画になった『劇場版シネマ狂想曲』と初プロデュース作品『恋のクレイジーロード』(白石晃士監督/田中俊介主演)が全国上映中。『恋するけだもの(仮)』(白石晃士監督/田中俊介主演/2020年夏公開)配給兼宣伝協力担当。

伊藤 憲子 / アニメーター

東京都出身。物心ついた頃からこよなく愛してきたのが、テレビアニメと映画。多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業後はフリーランスのアニメーターとして数多くの映画アニメ作品・テレビアニメ作品の製作に従事する。過酷なアニメ製作現場の前線に立つ一方で、時間を(無理やり)作っては、インドをはじめ国内外を旅するのが趣味。《参加作品》ユーリ!!! on ICE[プロップデザイン・原画・作画監督]/この世界の片隅に/この世界の(さらにいくつもの)片隅に[作画]/鹿楓堂よついろ日和[料理デザイン・料理作画監督]/さよならの朝に約束の花をかざろう[作画監督]/など

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