授業詳細
CLASS
金鯱学事始め
開催日時:2021年03月27日(土) 14時00分 ~ 15時30分
教室:オンライン開催
レポートUP
先生:
立川武蔵 / 国立民族学博物館名誉教授
カテゴリ:【城子屋/オンライン/歴史・文化】
定 員 :80人
※本講座は、名古屋城主催の「城子屋」プログラムです。
※参加費:500円
※オンライン決済をお済ませいただきましたら、正式受付となります。申込後の自動返信メールをご確認下さい。
※決済が完了した方へZoomのURLをお送りします。
※迷惑メールフィルタ等が原因で、当方からのメールが届かない場合がございます。お支払い後、数日経てもZoomのURLが届かない場合は、「dai-nagoya@univnet.jp」に必ずご連絡ください。
名古屋城といえば金のシャチホコ※参加費:500円
※オンライン決済をお済ませいただきましたら、正式受付となります。申込後の自動返信メールをご確認下さい。
※決済が完了した方へZoomのURLをお送りします。
※迷惑メールフィルタ等が原因で、当方からのメールが届かない場合がございます。お支払い後、数日経てもZoomのURLが届かない場合は、「dai-nagoya@univnet.jp」に必ずご連絡ください。
と真っ先にイメージする人はたくさんいらっしゃるはず。
では、“金鯱”ってなんですか?
名古屋城のシンボルの金鯱。
だけど、いざ「なんですか?」と問われると困ってしまう人も少なくないのでは。
今回の城子屋のテーマは「金鯱学」。
天守の上に並び立つ金の鯱を通して歴史を探究しましょう。
「鯱は、そもそも何者なの?」
遠い過去まで由来を紐解いてゆきます。
解説してくださるのは、国立民族学博物館名誉教授の立川武蔵先生。
仏教やインド哲学の視点から金鯱について語っていただきます。
話題は日本にとどまらず、中国、インド、ギリシャまで。
世界中で語り継がれてきた幻獣たちも登場します。
「そんなところに鯱の起源が!?」とまだ見ぬ世界観にきっと驚くはず。
そして、金鯱と私たちとのつながりを改めて感じられるでしょう。
今回の城子屋もオンライン講座で開催します。
おうちやオフィスでゆっくりと立川先生の講座をお楽しみください。
<「名古屋城金鯱展 ~守り神降臨、海と山の祈り」のお知らせ>
3月20日より名古屋城二之丸広場にて、
天守から降ろされた金鯱が地上展示される「金鯱展」が開催されます。
(城子屋の中でも展示の様子をちょっとだけお届け予定)
金鯱展に足を運んでから城子屋に参加しても、
城子屋で金鯱に詳しくなってから展示を見にいってもいいでしょう。
金鯱を間近に見られるなかなかない機会を城子屋とともに満喫してください。
※詳細はこちらから
http://kin-shachi-2021.jp
【スケジュール】
13:30 Zoom開室
14:00 開始
14:05 講師、コーディネーター挨拶
14:15 金鯱展案内(会場の様子をお届けします)
14:20 [講座]金鯱学事始め
15:30 終了
コーディネーター:小島伸吾、小林優太、大野嵩明
主催:名古屋城(名古屋市)
企画:VANKI COFFEE ROASTER、大ナゴヤ大学
【城子屋〜学びでつながる城とまち】
かつて「寺子屋」が、読み書き算盤を学ぶ地域に開かれた場であったように、名古屋城をまちに暮らす人たちの学びの場とするプログラムです。城やまちに関する知識を深められる、老若男女誰もが参加できる場をつくります。
かつての「寺子屋」のように、名古屋城を学びの場にしようというプログラム「城子屋」。これまで、城やまちに関するさまざまなテーマを取り上げてきました。
今回は「金鯱学事始め」と掲げ、名古屋城のシンボルである金のシャチホコについて紐解きます。
シャチホコとは、一体何者なのか。
水族館の人気者の、あのシャチと関係あるんじゃないの?なんて思っていたのですが、どうやら意外なところに由来しているとのこと。ルーツをさかのぼると、アジアのはるか遠く、さらには古代ギリシャ神話にたどり着くそうです。
前回に引き続き、今回の城子屋もオンラインでの開催。解説してくださるのは、仏教学とインド哲学を専門とする、国立民族学博物館名誉教授の立川武蔵先生です。まずは、先生とのオープニングトークからプログラムがスタートしました。
「そもそも鯱<シャチ>とは、空想上の動物です。古代の人々は、何か危機に瀕したとき、救いを求めるために幻獣や妖怪を生み出してきました。最近話題になったアマビエも、その例ですね。社会に不安が広がるいま、こうした存在に目を向ける機運が高まっているのではないでしょうか」
そう語り始める立川先生。『聖なる幻獣』と題した著書を執筆されていますが、鯱も“聖性”を有するもののひとつだと話します。
この日はちょうど、天守から降ろされた金鯱が地上展示される「名古屋城金鯱展」の真っ最中。まさに、“聖なる金のシャチホコ”を一目見ようと、たくさんの人が集まっていました。会場の様子はどうなっているのでしょうか。
ここで一旦画面が切り替わり、会場の生中継リポートへ。天守から降臨した金鯱2体が、砂山の上で輝く「山シャチ」、水盤に浮かぶ「海シャチ」として展示されている光景などが紹介されました。
いつも、天守から名古屋のまちを見守ってくれていた金鯱。間近で見ると、その迫力に圧倒されます。桜の開花時期と重なり、ピンクの花びらが舞い散る中で鎮座する姿は、より美しく感じられました。
そんな熱気の余韻を残しながら、いよいよ立川先生の講座が始まります。
「シャチホコを城の天守に据えたのは、織田信長が築いた安土城が日本で初めて。名古屋城も、信長の残したこの伝統を受け継いで、金鯱を取り付けたのです。名古屋では、お城自体はもちろん、天守にそびえる金鯱もシンボルとして大切にされてきました。そんな“金鯱”とは何なのか、どこからやってきたのか。これからお話ししたいと思います」
鯱のルーツとは?その答えは、「マカラ(Makara)」という名前の幻獣だといいます。
「エジプト、ギリシャ、インド、東南アジアなどの広域で、マカラは伝説の動物として知られます。なかでも、中国の寺院の屋根などに見られるマカラは、“鴟尾<シビ>”と呼ばれています。なぜ、屋根に鴟尾をのせたのか。それは、マカラが海の怪獣であるため、火事から建物を守ってくれるとされていたからです」
マカラは、少しずつ形を変えながら各地に伝えられていきました。魚のようで魚でない不思議な外見をした鯱も、マカラの一種なのです。
話はさらに発展し、「マカラは、ギリシャ神話における星座の物語とも関係があります」と語る立川先生。
「天球上の黄道(太陽の通り道)を12等分したとき、山羊座の領域を“磨羯宮<マカツキュウ>といいます。磨羯宮とは、上半身が山羊で下半身が魚の姿をした怪物であり、マカラのことを指します」
つまり、金鯱はもともと山羊座の幻獣だった!?思いもよらぬつながりに驚きです。
ちなみに、名古屋城以外にも、愛知県では春日井市にある内々神社(うつつじんじゃ)でマカラが見られるとのこと。また、半田市の亀崎地区では、複数の寺社の建物にマカラが確認できるそうです。名古屋城の金鯱と見比べてみるのも面白そうですね。
立川先生は最後に、「マカラをはじめとした、神話や伝説に登場する動物たち。彼らは、はるか昔から世界中で語り継がれてきました。私たちの生活や文化を形づくってきた、数々の物語の主人公だったと言えるでしょう」と締め括ります。
天守に輝く金鯱も、江戸時代から人々の心の拠り所となってきました。そして、いまも、守り神として私たちの希望を背負ってくれているような気がします。名古屋城、さらには名古屋のまちを象徴する金のシャチホコに、より敬意と愛着がわく、そんな講座でした。
レポート:齊藤 美幸
カメラ:齊藤 美幸、伊藤成美
今回は「金鯱学事始め」と掲げ、名古屋城のシンボルである金のシャチホコについて紐解きます。
シャチホコとは、一体何者なのか。
水族館の人気者の、あのシャチと関係あるんじゃないの?なんて思っていたのですが、どうやら意外なところに由来しているとのこと。ルーツをさかのぼると、アジアのはるか遠く、さらには古代ギリシャ神話にたどり着くそうです。
前回に引き続き、今回の城子屋もオンラインでの開催。解説してくださるのは、仏教学とインド哲学を専門とする、国立民族学博物館名誉教授の立川武蔵先生です。まずは、先生とのオープニングトークからプログラムがスタートしました。
「そもそも鯱<シャチ>とは、空想上の動物です。古代の人々は、何か危機に瀕したとき、救いを求めるために幻獣や妖怪を生み出してきました。最近話題になったアマビエも、その例ですね。社会に不安が広がるいま、こうした存在に目を向ける機運が高まっているのではないでしょうか」
そう語り始める立川先生。『聖なる幻獣』と題した著書を執筆されていますが、鯱も“聖性”を有するもののひとつだと話します。
この日はちょうど、天守から降ろされた金鯱が地上展示される「名古屋城金鯱展」の真っ最中。まさに、“聖なる金のシャチホコ”を一目見ようと、たくさんの人が集まっていました。会場の様子はどうなっているのでしょうか。
ここで一旦画面が切り替わり、会場の生中継リポートへ。天守から降臨した金鯱2体が、砂山の上で輝く「山シャチ」、水盤に浮かぶ「海シャチ」として展示されている光景などが紹介されました。
いつも、天守から名古屋のまちを見守ってくれていた金鯱。間近で見ると、その迫力に圧倒されます。桜の開花時期と重なり、ピンクの花びらが舞い散る中で鎮座する姿は、より美しく感じられました。
そんな熱気の余韻を残しながら、いよいよ立川先生の講座が始まります。
「シャチホコを城の天守に据えたのは、織田信長が築いた安土城が日本で初めて。名古屋城も、信長の残したこの伝統を受け継いで、金鯱を取り付けたのです。名古屋では、お城自体はもちろん、天守にそびえる金鯱もシンボルとして大切にされてきました。そんな“金鯱”とは何なのか、どこからやってきたのか。これからお話ししたいと思います」
鯱のルーツとは?その答えは、「マカラ(Makara)」という名前の幻獣だといいます。
「エジプト、ギリシャ、インド、東南アジアなどの広域で、マカラは伝説の動物として知られます。なかでも、中国の寺院の屋根などに見られるマカラは、“鴟尾<シビ>”と呼ばれています。なぜ、屋根に鴟尾をのせたのか。それは、マカラが海の怪獣であるため、火事から建物を守ってくれるとされていたからです」
マカラは、少しずつ形を変えながら各地に伝えられていきました。魚のようで魚でない不思議な外見をした鯱も、マカラの一種なのです。
話はさらに発展し、「マカラは、ギリシャ神話における星座の物語とも関係があります」と語る立川先生。
「天球上の黄道(太陽の通り道)を12等分したとき、山羊座の領域を“磨羯宮<マカツキュウ>といいます。磨羯宮とは、上半身が山羊で下半身が魚の姿をした怪物であり、マカラのことを指します」
つまり、金鯱はもともと山羊座の幻獣だった!?思いもよらぬつながりに驚きです。
ちなみに、名古屋城以外にも、愛知県では春日井市にある内々神社(うつつじんじゃ)でマカラが見られるとのこと。また、半田市の亀崎地区では、複数の寺社の建物にマカラが確認できるそうです。名古屋城の金鯱と見比べてみるのも面白そうですね。
立川先生は最後に、「マカラをはじめとした、神話や伝説に登場する動物たち。彼らは、はるか昔から世界中で語り継がれてきました。私たちの生活や文化を形づくってきた、数々の物語の主人公だったと言えるでしょう」と締め括ります。
天守に輝く金鯱も、江戸時代から人々の心の拠り所となってきました。そして、いまも、守り神として私たちの希望を背負ってくれているような気がします。名古屋城、さらには名古屋のまちを象徴する金のシャチホコに、より敬意と愛着がわく、そんな講座でした。
レポート:齊藤 美幸
カメラ:齊藤 美幸、伊藤成美
先生
立川武蔵 / 国立民族学博物館名誉教授
1942年、名古屋生まれ。名古屋大学文学部卒業。文学博士。ハーバード大学でPh.Dを取得。専門は仏教学とインド哲学。2001年に中村元東方学術賞受賞。2008年紫綬褒章、2015年瑞宝中綬章を受章。
今回の教室
オンライン開催
住所:
※オンラインで行います。事前にZoomのインストールをお願いします。
PC(またはスマートフォン)、イヤホン(推奨)の準備をお願いします。
(https://zoom.us/)
※後日、申込みいただいた方に当日視聴していただくためのZoomのURLをお送りします。前
日になってもメールが届かない場合は dai-nagoya@univnet.jp までお問い合わせください。