授業詳細

CLASS


POPで本の交換会! −ことばを通じてピンとくる出会いを楽しむ−

開催日時:2021年04月10日(土) 10時00分 ~ 11時30分

教室:EAST ENDERS COFFEE

レポートUP

先生: 山谷 麻美子 / 自動車エンジニア、バリスタ

カテゴリ:【大ナゴヤの日/アート/カルチャー/コミュニケーション】

定 員 :6人

※本授業は「大ナゴヤの日」の授業として企画しております。毎月第二土曜日は参加費無料の授業として開催しています。

※本授業の抽選は2020年3月29日(月)に行います。(抽選予約受付は3月28日(日)23時までとなります)
※授業運営の都合上、当選後のキャンセルはご遠慮ください。しかしながら、体調面への不安などがある場合は、その限りではございませんので気軽にご相談ください。
※抽選後、定員に満たない場合やキャンセルが発生した場合は、2020年4月8日(木)20時まで先着順でお申し込みを受け付けます。

※授業中は換気を徹底するなどして、感染対策に努めてまいります。生徒の皆様におかれましても、マスクの着用と手指消毒にご協力をお願いいたします。
皆さんにとって、本を買うときの「決め手」って何ですか?
好きな著者の作品だから、最近の関心事について書かれているから、
デザインが素敵だったから、などなど。いろんな「決め手」が浮かびます。
その中のひとつに
「POPのコメントが気になったから」
なんていうのも、あるのではないでしょうか。

出版社が作成したPOPも増えてきましたが、書店員さんお手製のPOPもまだまだ健在。
最近では、書店員さんがSNSで書評を紹介しているのも多く見られます。

誰かの「おすすめ」って、目を惹くもの。
おすすめポイントにピンときたら、これまで読んだことのないジャンルでも
「読んでみようかな」と考えるきっかけになるかと思います。

一方で、「おすすめ」に惹かれても
「この著者の作品、前に読んだけれどちょっと合わなかったんだよな…」
「このデザインは趣味じゃないから…」
と、伸ばした手にブレーキがかかる、なんてことも。

じゃあ、本のデザインもわからない、著者もタイトルも記していない、
おすすめポイントが書かれているだけの「POP」のみなら、
ブレーキはかかりづらくなるのでは?

POPを通じて心惹かれた本を、そのままお持ち帰りいただく。
今回は授業を通じて、新しい「本の交換会」を開催したいと思います。

当日は生徒さん一人ひとりが本を1冊ずつ持ち寄って、授業内でオリジナルのPOPを作成してもらいます。
持参していただく本のテーマは…「誰かに読んでもらいたい本」としましょう。
ジャンルは、小説でもエッセイでも、人文書でも漫画でも、何でもOKです。
あなたの中にある「読んでもらいたいな」と感じたポイントを、ことばに表してください。
でき上がったPOPはその場で見せあって、良いなと思ったものがあれば、本と併せてお持ち帰りいただけます。

授業では、ことばにまとめるときのコツなどもレクチャーいたします。
「自分の考えたことを、ことばにするのが苦手…」という方もご安心くださいね。

先生を務めるのは「EAST ENDERS COFFEE」の山谷さん。
読み終わった本をコメントを添えて寄贈し、本棚から新しい本を受け取っていくという、「本」を使った新しい交流の仕組み「Baton Book Box(以下、BBB)」を生み出し、まちの人との関わり合いを広げている人です。
授業では、BBBが生まれた背景や、BBBの取り組みを通じて山谷さんが体験した、「本」を介しての出会いなどについても語っていただきます。

「新しいジャンルに挑戦したい、って思っても、なかなか手を出せない」
「読書しようかなって思っても、どこから手をつけて良いのやら…」
と思っている方にとって、もしかしたら今までにない「本との出会い」が訪れるかも。
新しい「本との出会い方」を、一緒に体験してみましょう!

<スケジュール> 
09:45 受付開始
10:00 授業開始
    -大ナゴヤ大学の説明
    -授業の趣旨説明
    -自己紹介
10:20 BBBについてのご紹介
10:40 持ち寄った本の「おすすめポイント」をPOPにまとめてみよう!
11:00 作成したPOPをお披露目
11:15 本の交換タイム
11:30 終了

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【感染症予防および拡散防止対策へのご協力のお願い】
・飛沫感染防止のため、授業中のマスク着用をお願いいたします。
・受付時の、検温と手指消毒にご協力ください。
・ご参加より14日以内に新型コロナウイルス感染症への罹患が確認された場合には、大ナゴヤ大学まで速やかにご連絡ください。また、濃厚接触者になった場合も同様とします。
・後日、参加者・関係者の新型コロナウイルス感染症への罹患が確認された場合には、保健所等の公的機関へ個人情報を提供することがあります。

下記に該当する場合、当日の授業参加をお控えください。
・37.5度以上の発熱がある、または発熱が続いている
・咳・くしゃみ・咽頭痛などの症状がある
・新型コロナウイルス感染症の陽性患者の濃厚接触者に該当する
・同居家族や身近な知人に感染が疑われる方がいる
・過去2週間以内に入国制限、入国後の行動制限がある国・地域への渡航歴および当該地在住者との濃厚接触があった
・マスク未着用(2歳未満を除く)

【授業コーディネーター名】
伊藤成美
本に出会うとき、何を基準に選びますか。

今回は、「POPで心惹かれた本を紹介し、皆で交換する」という今までにあまりない本との出会い方を体験してみようという授業が行われました。



今回の教室は名鉄豊田線豊田市駅・愛知環状鉄道新豊田駅から西へ徒歩数分のところにある「EAST ENDRES COFFEE」。土日のみ営業のコーヒースタンドで、店舗の外には誰でも24時間自由に使える交換本棚「Baton Book Box」を設置しています。ちなみに周辺エリアはここ2〜3年開発が進んでおり、おしゃれな店も増えているそうです。





このコーヒースタンドの店主の山谷麻美子さんが今回の先生。授業では「Baton Book Box」に込めた想いなどを語ってもらいます。
と、その前に。先生と4人の生徒さんの自己紹介タイムです。今回はたまたま全員が女性でした。
主な参加動機は以下です。

・いつも同じジャンルや作者の本ばかり読んでしまうから、冒険がしたい。
・図書館司書をしていて、本をうまくおすすめするヒントが欲しい。
・イメージを言葉にするのが面白そう。書いてみたい。

普段、本を手にするきっかけも伺いました。
人から借りる、ビジュアルに惹かれて手に取る、自分の興味のあることに関する本を徹底的に読むなどさまざまでした。

いよいよ授業の本編がスタート。まずは先生のお話です。
実は山谷さん、平日は会社員として働いており、仕事がお休みの土日に、同じく会社勤めの旦那さんと「EAST ENDRES COFFEE」を切り盛りしています。夫婦でコーヒースタンドを持つのがひとつの夢だったそうです。



「Baton Book Box」は読み終えた本を入れたついでに、好きな本を1冊持ち帰ることができる本棚。ドイツの「マイクロ・ライブラリー」「無人図書館」をヒントに、歩道に本棚があることで気軽に本と触れ合えるきっかけになればと、お店のオープンとほとんど時を同じくして店先に設置しました。





交換していった結果、図書館にある、返却されたが整理されていない本棚のようにさまざまなジャンルの本が並ぶようになりました。山谷さん自身も読書家で普段から図書館を利用していて、「返却直後の本がまとめて置かれている棚を見るのが好き」とのこと。偶然目にする瞬間が楽しみのひとつだそうです。

この本棚には「レコメンドカード」も設置されており、入れた本のおすすめポイントを書いておくこともできます。ただ、おすすめポイントを一言で表すのは難しく、添えてくれる方はまだまだ少ないそうです。

これを受け、今回の授業では読んでほしい本を人におすすめしてみるというチャレンジをしてみます。



ここで授業コーディネーターの伊藤さんによる、「感じたことを言葉にする」方法のレクチャーが行われました。本業がライターという、言葉を使って仕事をされている方です。
「言葉にする時に意識したいこと」と「言葉をまとめる時に心に留めておきたいこと」について話してもらいました。

前者については、次の4つを意識するとよいそうです。
1:おすすめしたいと思ったポイントを書き出す
2:おすすめしたいと思った作品の魅力を整理する
3:おすすめしたい相手を思い浮かべる
4:おすすめしたいと思った理由をひもとく

伊藤さんは「いろいろ挙げましたが、シンプルに言えば“自分の感想をまとめる”のを意識してもらいたいです」と一言。読み手として、どんなふうに心が動いたのか、どうしておすすめしたいと思ったのかを、分析して整理していくと、伝えたいことがまとまりやすくなるそうです。
3の相手を思い浮かべるということにはあまり考えもしなかったという方も多く、初めて考えるかもしれないという方もいらっしゃいました。

後者についても、4つのポイントを心に留めるとよいそうです。
1:文章はできるだけ短く
2:一番伝えたいことは最初か最後に
3:断定的な言い回しは使わない
4:伝わったらいいなくらいに考える


3の断定的な言い回しについては、本の帯や広告などに使われるキャッチフレーズを参考に解説が。
「例えば『全米が泣いた』と書かれていても、続けて『あなたは涙する“はず”』『見た人全員が感動するに違いない』など、言い切った表現が続くことはあまり多くないように感じます。『きっと●●する』などの表現も多いですが、これは“はず”とも“だろう”とも補足しやすいですよね。意外と断定的な表現って使われていなんです。
これは個人的な推測ですが、きっぱりとした言われ方をすると『私は違うかも』と感じたり『そう思えなかったらどうしよう』とプレッシャーを感じたりしやすくなるのでは。
断定的な言い回しを、絶対に使っていけないわけではありません。大事なのは受け止められ方について知っておくことですね」

断定的な言い回しが、かえって可能性を狭めたりプレッシャーを与える可能性があるとは。これには皆さん驚きの声が上がりました。

そして、先生も参加していただき、POPの作成タイムに移りました。





「言葉にする」という結構難しいことをしているようにも関わらず、自力でPOPを作っている姿には私自身、感銘を受けました。
言葉にするだけでなく、図解したり、絵を入れたりする方もいて、バラエティに富んだものができたと思います。
作成後は、一人ずつPOPを見せながら発表をし、本を交換しました。







生徒のみなさんが持ってきた本のジャンルは、
図鑑、小説、小説のコミカライズ本・・・。多様なジャンルが揃いました。

POPを書きながら、みなさんの読書スタイルや手に取る本のジャンルを伺っていたこともあり、普段読まないものを選んでいた方が多かったように思います。







最後に生徒のみなさんから感想をいただきました。
・本の楽しみ方が増えた
・読む人によって切り取り方が違うのが面白かった
・本が好きな人の熱意が感じられた
・いろいろと情報をふせて説明するのが難しかった

先生からは、おすすめしたい本を1冊選び、さらに言葉にするのがとても難しいなと実感したとの感想をいただきました。

授業後も生徒さん同士でコーヒーを飲みながら、話をされていて、良い雰囲気で授業が終わりました。



「言葉にする」生徒さんや先生の反応から、意外と本好きの人同士で関われる機会がないのかもしれないなと感じました。そういう場がもっと増えると良いなと思います。



レポート;どぅー
カメラ:てつ

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

山谷 麻美子 / 自動車エンジニア、バリスタ

自動車設計エンジニアとして会社員をしながら、 週末だけのコーヒー屋「EAST ENDERS COFFEE」を経営。 旅行、コーヒー、本、車、アート好き。 世界30カ国以上を訪れ、世界のコーヒー屋、本屋、図書館、自動車博物館、 美術館をめぐった。

今回の教室

EAST ENDERS COFFEE

住所:豊田市西町2−33−1
名鉄 豊田市駅から徒歩4分
愛知環状線 新豊田駅から徒歩6分

地図を見る

バリアフリーについての情報もあれば記載
週末だけオープンするコーヒースタンド。

スペシャルティコーヒーとクラフトチョコレートが楽しめるお店。
5日以内に焙煎した新鮮な豆だけを使い、一杯ずつハンドドリップ。

文化の発信地としての場づくりをコンセプトに、
店内のギャラリースペースでは、企画展示を年数回開催。

店舗前に交換本棚「Baton Book Box」を設置。
本をバトンのように繋いでゆく、
誰でも24時間自由に使える交換本棚。