授業詳細

CLASS


名古屋城を測る。-近世尾張の尺度について―

開催日時:2023年01月07日(土) 10時00分 ~ 11時30分

教室:名古屋城本丸御殿 孔雀之間

レポートUP

先生: 酒井 将史 / 名古屋城調査研究センター 学芸員

カテゴリ:【城子屋/歴史・文化】

定 員 :35人

※本講座は、名古屋城主催の「城子屋」プログラムです。
※参加費:無料(別途名古屋城入城料が必要)
※名古屋城本丸御殿ミュージアムショップ前で受付します。
※講座中は換気をするため、適宜防寒対策をお願いいたします。
※2023年1月6日(金)12時00分まで先着順でお申し込みを受け付けます。
名古屋城とつくる学びの場「学びでつながる城とまち。城子屋」。
これまで約400年前の名古屋城築城時、そして平成の本丸御殿復元でも用いられた木曽・裏木曽の木材、木が育つ森を守ってきた山守について、金鯱の由来、かつて城内にあった庭園の存在など、さまざまな題材を取り上げてきました。

講師を務めるのは、名古屋城や尾張藩にまつわる、歴史、技芸、教育、文化などを研究する人や、伝統を受け継ぐ人たち。
名古屋城の調査研究に携わる現役学芸員が、考古学の専門家の立場から名古屋城について解説する講座もあるなど、登壇する先生によってテーマも内容もさまざまです。
本丸御殿・孔雀之間で、名古屋の「城」と「まち」について学びを深めていきましょう。

今回のテーマは「測量」です。
今の時代、長さは「センチ」や「インチ」などで統一されていますが、江戸時代は長さの単位や規格はさまざまでした。例えば「江戸間」「京間」という言葉があるように、1間(建物の柱の間の距離)の長さは江戸と京で異なり、尾張でも独自の規格が用いられていました。

では、名古屋城で使われていた「モノサシ」とは、どんなものだったのでしょう?
西之丸米蔵等の発掘調査に従事する名古屋城調査研究センター学芸員・酒井将史さんを先生に迎え、遺構や絵図などから当時の「モノサシ」について考えます。

【スケジュール】
9:30 受付
10:00 講座開始 
11:30 終了

主催:名古屋城(名古屋市)
運営:大ナゴヤ大学

【城子屋】
かつて「寺子屋」が、読み書き算盤を学ぶ地域に開かれた場であったように、名古屋城をまちに暮らす人たちの学びの場とするプログラムです。城やまちに関する知識を深められる、老若男女誰もが参加できる場をつくります。

【過去開催した講座】
・尾張名古屋で磨かれ続ける柳生新陰流の技 〜第二十二世宗家が語り、魅せる剣術文化の極意〜
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/609

・殿さまの御庭 ―名古屋城二之丸御庭と下御深井御庭―
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/632

・御深井丸に佇む古代の石造物 ―団原古墳石室と河内飛鳥寺塔心礎―
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/640
2023年1月7日、城子屋「名古屋城を測る。―近世尾張の尺度について―」が、本丸御殿孔雀の間で開かれました。今回は「名古屋城を測る」というタイトルで、近世の尾張藩における、ものを測る尺度や測り方についてのお話。講師は、名古屋城調査研究センター学芸員の酒井将史さんです。



現在は一部の国を除いて、世界中で「メートル法」が採用されています。しかし、明治初期以前の日本では、異なる単位を用いて長さが測られていました。最初に、日本でメートル法が制定されるまでの歴史や、江戸時代の長さの単位についての説明がされます。「寸」「尺」「間」など、聞いたことはあってもどのくらいの長さか分からない単位について、改めて確認できた参加者も少なくなかったのではないでしょうか。





「尺」や「間」といった、広く用いられた単位は、個別に詳しく取り上げられました。近世の1尺を測るモノサシにはいくつもの種類があったこと、文献に書かれている名古屋城の石垣石材の尺度と現地に残る石のサイズがピタリと一致することが話されます。同様に、「間」についても、建物の柱の間隔を示すものとして生まれた日本独自の単位であること、「京間」「中京間」「江戸間」と地域によって「間」の長さに違いがあることなど、長さに関するたくさんの知識が紹介されました。関連して、建物の設計で使われた「柱割」「畳割」や、土地の広さを測る検知で尾張藩が採用した「尺」の解説も。

続けて、名古屋城の各隅櫓や本丸御殿、天守、西の丸の米蔵がどのくらいの大きさか、史料や発掘の成果をもとに示されました。いくつもの記録やデータを照らし合わせることで、それぞれの建物の基準となった長さが分かります。
最後に、江戸時代の測量について。江戸時代の測量の様々な道具と方法が紹介されます。いずれもアナログなやり方ながら、正確な距離を測るための知恵を窺うことができました。



「測る」というテーマで、尺度の基本から名古屋城の設計の基準まで、実に幅広い知識を得られる内容の講座になりました。名古屋城に限らず、近世までの建築物を見る際にも使える、新しい視点を得られた人もいるのではないかと思います。

カメラ・レポート:小林優太

※写真をクリックすると拡大します。


 

この授業への皆さんからのコメント

コメントがありません。 ご質問・ご感想など、コメントをお書きください。
コメントを投稿するには、会員登録した後、ログインして頂く必要があります。

この授業への皆さんからのトラックバック

トラックバックがありません。

トラックバック用URL

トラックバック
上の画像の英数字を、上記テキストボックスのurlのあとに入力して送信してください。
例)/subjects/trackback/648/a1b2c3d4e5
また、トラックバックは承認制のため表示に多少時間がかかります。

先生

酒井 将史 / 名古屋城調査研究センター 学芸員

2010年入庁。教育委員会見晴台考古資料館、文化財保護室を経て、2020年より現職。名古屋城では、西之丸米蔵等の発掘調査に従事。専門は日本考古学(弥生・古墳時代)。

今回の教室

名古屋城本丸御殿 孔雀之間

住所:〒460-0031 愛知県名古屋市中区本丸1−1
※教室は和室です
地図を見る

徳川家康の命によって建てられた、尾張徳川家の城・名古屋城。その一角をしめる本丸御殿は、尾張藩主の住居かつ藩の政庁として1615年(慶長20)に完成。1945年(昭和20)、空襲により残念ながら焼失し、永らく復元が待ち望まれてきました。幸いなことに、江戸時代の図面や記録、昭和戦前期に作成された実測図、古写真などが残されていたため、2009年(平成21)から復元工事を開始。第一級の史料をもとに、他では類を見ない正確さで忠実に復元を進めてきました。2018年(平成30)には、江戸幕府将軍家光の宿泊のために建造された最も格式が高い「上洛殿」や「湯殿書院」が完成し、その優美な姿を公開しています。