授業詳細
CLASS
名古屋城と尾張徳川家の蔵書
開催日時:2023年05月03日(水) 10時00分 ~ 11時30分
教室:名古屋城本丸御殿 孔雀之間
レポートUP
先生:
今和泉 大 / 名古屋城調査研究センター 学芸員
カテゴリ:【城子屋/歴史・文化】
定 員 :35人
※本講座は、名古屋城主催の「城子屋」プログラムです。
※参加費:無料(別途名古屋城入城料が必要)
※申込みは当ページ「この授業に申し込む」から。2023年5月2日(火)12時00分まで(先着順、満席になり次第締切)。
※当日の受付場所は名古屋城本丸御殿ミュージアムショップ前です。
名古屋城とつくる学びの場「学びでつながる城とまち。城子屋」。※参加費:無料(別途名古屋城入城料が必要)
※申込みは当ページ「この授業に申し込む」から。2023年5月2日(火)12時00分まで(先着順、満席になり次第締切)。
※当日の受付場所は名古屋城本丸御殿ミュージアムショップ前です。
これまで約400年前の名古屋城築城時、そして平成の本丸御殿復元でも用いられた木曽・裏木曽の木材、木が育つ森を守ってきた山守について、金鯱の由来、かつて城内にあった庭園の存在など、さまざまな題材を取り上げてきました。
講師を務めるのは、名古屋城や尾張藩にまつわる、歴史、技芸、教育、文化などを研究する人や、伝統を受け継ぐ人たち。
名古屋城の調査研究に携わる現役学芸員が、考古学の専門家の立場から名古屋城について解説する講座もあるなど、登壇する先生によってテーマも内容もさまざまです。
本丸御殿・孔雀之間で、名古屋の「城」と「まち」について学びを深めていきましょう。
今回取り上げるのは、尾張徳川家の蔵書。
名古屋城を居城とした尾張徳川家は、江戸時代を通じて膨大かつ良質な蔵書コレクションを形成していきました。
二之丸庭園に関する文献調査等に従事する名古屋城調査研究センター学芸員・今和泉 大さんの案内のもと、これらの蔵書群がどのように形成され、また継承されていったのかを紹介します。
【スケジュール】
9:30 受付
10:00 講座開始
11:30 終了
主催:名古屋城(名古屋市)
運営:大ナゴヤ大学
【過去開催した講座】
・尾張名古屋で磨かれ続ける柳生新陰流の技 〜第二十二世宗家が語り、魅せる剣術文化の極意〜
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/609
・殿さまの御庭 ―名古屋城二之丸御庭と下御深井御庭―
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/632
・御深井丸に佇む古代の石造物 ―団原古墳石室と河内飛鳥寺塔心礎―
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/640
2023年5月3日、城子屋「名古屋城と尾張徳川家の蔵書」を、本丸御殿孔雀之間で開催しました。江戸時代、尾張徳川家は膨大な書物からなる蔵書コレクションを形成しました。それは、いつ誰がしゅう集し、どのように管理・活用されたものなのか。名古屋城調査研究センター学芸員の今和泉大さんにお話しいただきました。
尾張家の当主や家臣たちが集めた蔵書群は、現在は名古屋市蓬左文庫や徳川林政史研究所に伝わっています。蔵書の原点のひとつは、1617年に江戸の将軍家と徳川御三家に分譲された徳川家康の旧蔵書「駿河御譲本」。また初期の蔵書には、初代尾張藩主・徳川義直が1615年に京都で購入したものも。その後、江戸時代を通して、さまざまな書物が尾張徳川家の蔵書に加えられていきます。歴代当主それぞれの蔵書、婚礼調度でもあったという当主夫人たちの蔵書、家臣たちの編著書や収蔵書。購入した書物ばかりでなく、本を写したものや献上本もありました。貴重な書物を書写する際などには、学者、僧侶、公家らの伝手を頼り、徳川一族としての権威も使って、良質な書物をしゅう集していたようです。具体的な書物の紹介も交えながら、どのように蔵書が増えていったかをみていきました。
集められた書物は、名古屋城二之丸の表御書物蔵や奥御文庫のほか、江戸屋敷にも収められ、管理されました。蔵書目録も作成され、各書物に附された蔵書印からしゅう集の時期が絞れるといいます。また、必要に応じて名古屋と江戸の間を書物が行き来したり、他家からの依頼に応じて貸しされたりすることもありました。例えば、水戸の徳川光圀の修史事業において、尾張徳川家が所有していた書物が資料として借用されています。他家から貸し出しを求められた事実は、尾張家の蔵書への信頼が窺えると同時に、書物の価値を理解して活用できる文化基盤が近世社会にあったことが分かると説明されました。どんな書物を所蔵していたか、それらを通してどんなやり取りがなされたか。そんな視点からみえてくる歴史の一場面も、とても興味深いものです。
カメラ・レポート:小林優太
尾張家の当主や家臣たちが集めた蔵書群は、現在は名古屋市蓬左文庫や徳川林政史研究所に伝わっています。蔵書の原点のひとつは、1617年に江戸の将軍家と徳川御三家に分譲された徳川家康の旧蔵書「駿河御譲本」。また初期の蔵書には、初代尾張藩主・徳川義直が1615年に京都で購入したものも。その後、江戸時代を通して、さまざまな書物が尾張徳川家の蔵書に加えられていきます。歴代当主それぞれの蔵書、婚礼調度でもあったという当主夫人たちの蔵書、家臣たちの編著書や収蔵書。購入した書物ばかりでなく、本を写したものや献上本もありました。貴重な書物を書写する際などには、学者、僧侶、公家らの伝手を頼り、徳川一族としての権威も使って、良質な書物をしゅう集していたようです。具体的な書物の紹介も交えながら、どのように蔵書が増えていったかをみていきました。
集められた書物は、名古屋城二之丸の表御書物蔵や奥御文庫のほか、江戸屋敷にも収められ、管理されました。蔵書目録も作成され、各書物に附された蔵書印からしゅう集の時期が絞れるといいます。また、必要に応じて名古屋と江戸の間を書物が行き来したり、他家からの依頼に応じて貸しされたりすることもありました。例えば、水戸の徳川光圀の修史事業において、尾張徳川家が所有していた書物が資料として借用されています。他家から貸し出しを求められた事実は、尾張家の蔵書への信頼が窺えると同時に、書物の価値を理解して活用できる文化基盤が近世社会にあったことが分かると説明されました。どんな書物を所蔵していたか、それらを通してどんなやり取りがなされたか。そんな視点からみえてくる歴史の一場面も、とても興味深いものです。
カメラ・レポート:小林優太
先生
今和泉 大 / 名古屋城調査研究センター 学芸員
専門は日本近世史(文献史学)。名古屋城では、二之丸庭園に関する文献調査等に従事。
今回の教室
名古屋城本丸御殿 孔雀之間
住所:〒460-0031 愛知県名古屋市中区本丸1−1
※教室は和室です
地図を見る
徳川家康の命によって建てられた、尾張徳川家の城・名古屋城。その一角をしめる本丸御殿は、尾張藩主の住居かつ藩の政庁として1615年(慶長20)に完成。1945年(昭和20)、空襲により残念ながら焼失し、永らく復元が待ち望まれてきました。幸いなことに、江戸時代の図面や記録、昭和戦前期に作成された実測図、古写真などが残されていたため、2009年(平成21)から復元工事を開始。第一級の史料をもとに、他では類を見ない正確さで忠実に復元を進めてきました。2018年(平成30)には、江戸幕府将軍家光の宿泊のために建造された最も格式が高い「上洛殿」や「湯殿書院」が完成し、その優美な姿を公開しています。