授業詳細
CLASS
まちの工場見学!〜小麦が小麦粉になるまで〜
開催日時:2018年03月10日(土) 10時00分 ~ 12時30分
教室:セントラル製粉
レポートUP
先生:
原口清次 / セントラル製粉株式会社 工場長兼業務部長
竹本 清 / セントラル製粉株式会社 常務取締役
筋誡 一之 / セントラル製粉株式会社 生産部長
カテゴリ:【食】
定 員 :15人
(ゆめあかりで作ったホットドック、お土産(きぬあかり小麦粉1Kg、きぬあかりの乾麺)付き。)
※機械が稼働しており安全確保のため、高校生以上の参加とさせていただきます。
※本講座は、一般参加者向けの特別講座になります。同業者さまのご参加は、ご遠慮ください。
※室内用の靴がありましたら、ご持参ください。(スリッパは、NG。)
※駐車場あり。(名古屋から車で1時間程)
※名鉄常滑線「朝倉駅」よりタクシーで約5分。
キーワードに、様々なまちの先生に出会っていくシリーズ企画の第6弾。
これまでの授業では、うどんやパンなど「きぬあかり」を使って
つくられた製品にふれてきました。
今回の授業では、製粉会社「セントラル製粉」さんにお邪魔します!
日本で1年間に消費される小麦の量は、約700万トン(2013年)。
これだけの量の小麦を製粉して小麦粉にしていく日本の製粉会社の生産技術の高さ。
異なる特性を持つ小麦を配合して、お客さまのニーズに合わせた小麦粉をつくる
技術など、知れば知る程奥が深い、小麦の製粉の世界。
授業では、稼働している工場を見学しながら(普段は、一般の方は入ることは
できません!)小麦粉ができるまでの行程を、セントラル製粉の原口先生に
案内していただきます。(※何班かに分けて実施するため、行程順でない場合もあります。)
小麦粉の製造行程は、国内外から運ばれてきた小麦をサイロに貯蔵し、
次に原料タンクに移します。そこから、小麦以外のものを取り除く精選機、
水を加えて小麦を砕きやすくする調質タンクを経由し、
粉砕・篩分けを何度も繰り返して、小麦粉ができあがります。
その後、包装されて出荷されていきます。
この工程の間に、様々な種類の機械が稼働しています。
機械が稼働している音も含めて、工場の雰囲気を体感してください!
また、港に面した工場群の景色も味わってください。
大ナゴヤ大学×愛知コムギ体験隊さんとのコラボ企画は、今回で最後になります。
10月からのシリーズ授業を通して、愛知県産小麦「きぬあかり」に関わる
研究開発者さん・生産農家さん・料理人さん・製粉会社の方々などを先生に招き、
このまちの小麦のことを学んできました。
食は、私たちの体をつくるもの。顔の見える関係性の中で、
愛情をもって育てられているのが「きぬあかり」。
その熱量を授業の場を通して感じてください!
国産小麦が気になっている、愛知県産小麦「きぬあかり」が気になっている、
小麦のことを知りたい、製粉している方々の想いを聞いてみたい方など、ご参加ください。
【タイムテーブル】
09:30 受付開始
10:00 授業開始、導入、自己紹介
10:15 セントラル製粉のこと、小麦のこと
10:45 工場見学
11:45 質問、感想シェアなど
12:30 終了
【企画協力】
愛知コムギ体験隊(愛知県製粉協会)
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本企画は、愛知コムギ体験隊さんとのコラボ企画の第6弾になります。
2017.10.14.ベジスイーツから考える食のこと、地域のこと
2017.11.11.理想の”うどん”を追い求めて~こだわりのうどんを追求する店主から学ぶ国産小麦のこと、うどんのこと~
2017.12.09.20年以上続くまちのパン屋さんからおいしく学ぼう!〜パンのこと、パンに関わる仕事のこと〜
2018.1.13.まちのシゴト体験〜おいしいパンケーキの秘密に迫る〜
2017.02.10. 収穫量全国4位!愛知県産小麦“きぬあかり”の開発秘密にせまる〜小麦畑にて〜
授業コーディネーター:大野嵩明
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キャンセル料について
安定的な運営のため、開催2日前以降のキャンセルはキャンセル料を申し受けます。あらかじめご了承ください。
やむを得ずキャンセルされる場合は、dai-nagoya@univnet.jpまでお早めにご連絡ください。
※電話連絡も可能ですが、打ち合わせなどで電話に出られない場合があります。留守電にメッセージを残してください。
Tel:070-5459-8213(受付時間:10:00~17:00 ※定休日:土・日・祝)
【キャンセル料】
2日前〜前日のキャンセル:参加費の50%
当日のキャンセル、無連絡不参加:参加費の100%
※電話でのキャンセルは当事務局の営業日、営業時間内にご連絡いただいた日を基準とします。
※代わりに参加できる方がおられる場合、キャンセル料は不要です。その旨をご連絡ください。
※無連絡不参加の場合、以後のご参加をお断りすることがございます。
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授業が始まる前から、セントラル製粉さんで実際に製粉している小麦(国産は北海道、岐阜、愛知の小麦、海外産はオーストラリア、アメリカ、カナダの小麦)の置いてある机を取り囲み、生徒さんそして小麦関係者のみなさんは、産地や生産の仕方で小麦の色や硬さがどう変わるか、などの話に花が咲き、本当に小麦が好きな方が集まっているのだなぁと実感しました。
授業が始まり、恒例の自己紹介(調理師の方や設計士の方など、小麦粉そして工場見学に興味津々の方ばかり!)の後、先生方にセントラル製粉について、小麦粉ができるまでの過程について、工場見学の注意点などのお話をしていただきました。
セントラル製粉は愛知県の製粉工場の中では新しいものだそうで(設立は昭和46年)、江南市の布袋食糧さん、半田市の尾張製粉さん、三河幡豆(現西尾市)のハラダ製粉さんの3社が、海の近くに工場があれば活用できるということで、合同で設立したそうです。(実際に港に出て、船で運ばれてくる小麦を船から吸い上げる機械や、そのままサイロと呼ばれる貯蔵庫に入れるための機械などを見せていただいたのですが、臨海工場が有利だということはよくわかりました。)
また、セントラル製粉さんには、「こうまキッチン」(こむぎこをうまくまぜるキッチン)という小麦を粉にしてから、配合することのできる設備もあり、用途や要望に合わせて、多種多様な小麦粉を作っています。
その後、小麦粉に関する映像を見て、基本的な知識を学習(多くの方にとってはおさらい?)しました。小麦の種類によって、異なる小麦粉ができるのですが、例えば硬質小麦はタンパク質が多く含まれており、強力粉になります。パスタなどに用いられるデュラム小麦も硬質小麦で、特に硬い小麦です。
逆にタンパク質がほどほどに含まれる中間質小麦は中力粉、タンパク質の少ない軟質小麦は薄力粉になります。いつも何気なく小麦粉を使っていますが、粉になる前の小麦は含まれるタンパク質の量が多いほど中に色がついています(割って断面を見せていただきました)。
映像の中ではそれらの小麦粉を水とともに捏ねた場合にできるグルテンの量が硬質小麦でできる小麦粉のほうが圧倒的に多いことが分かる実験をしており、どんな食べ物を作りたいかによって、どんな小麦粉を使うかを考えることがとても大切だと実感しました。
小麦の製粉工程は、まず貯蔵されている小麦から精選機を使って混入物を取り除き、ロール機で小麦を粉砕していきます(いくつものロール機を経て、細かく粉砕されます)。その後、シフター(ふるい)を通って、粉とふすま(皮などの部分。飼料になるそうです)に分けられ、ピュリファイヤーでさらに純化します。
これが何度か繰り返され、最終的にふるいにかけられた粉は包装され、少しの期間立体倉庫に置かれて、出荷されるということです。(タンクローリーに直接小麦粉を入れて出荷するものもあるそうです)
そして、いよいよ工場へ!
3班に分かれ、それぞれ先生の解説のもと、この工程を見せていただきました。稼働している工場を見学する(しかも間近で!)という貴重な体験でした!
まず、立体倉庫の中を見せていただきました。天井まで高く積まれた小麦粉の袋。全てコンピューターで管理しているそうです。その後、小麦粉を粉砕していくロール機。実際に動いているとすごい音で、その中で小麦がどんどん細かく粉砕されているのを見ることができました。
一番ドキドキしたのは、動いているシフターの間を通って歩いたことです。この機械では何層にも重なった篩(ふるい)を粉が通っていくのですが、機械全体が前後左右に振動しています。その間を歩くのは、目がまわるような、本当に不思議な体験でした。
この後もう一度粉砕が必要とされる粉は空気輸送で5階に送られるということで、5階には輸送された小麦粉と空気を分離する機械がありました。小麦粉は工場の中を走り回り、飛び回って、様々な機械を通って、どんどん細かくなり、ようやく製品として袋につめられ、私たちの知っている小麦粉になるのだなぁと思いました。
包装の工程では、機械に「きぬあかり」の袋をひとつひとつ設置していました。25キロきちんと入っているかをチェックし、品質に問題がないかチェックし…そしてようやく最初に見せていただいた倉庫に積まれるのですね。
工場見学後は、振り返りと感想、質問タイムです。用意していただいたのは、「ゆめあかり」を使って焼いたコッペパン!ソーセージも用意していただき、ホットドックにしていただきました。「ゆめあかり」は誕生したばかり愛知小麦の新品種、パンなどに使える硬質小麦です。
モチモチ、香りがいい、美味しい!と生徒さんからは大絶賛の「ゆめあかり」パン。今はまだ小麦粉の生産量が少なく、食べたくても食べられない貴重なパンですが、2~3年後にはパン屋さんで「ゆめあかり」のパンが買えるようになったら嬉しいです。
稼働する製粉工場を見学する貴重な機会を与えていただき、本当にありがとうございました。商品になってしまうと、使われている小麦がどこで生産され、どのように製粉され、配合されたものなのかを意識することがなくなってしまいます。
今回、全6回にわたるタイアップ授業で、愛知県には誇れる美味しい小麦から作られる美味しい小麦粉と、それを使った美味しいごはんがあることを知ることができました。ひとつのものに関わる人が本当にたくさんいることも知ることができました。「きぬあかり」「ゆめあかり」など愛知県産小麦とそれを使用した商品に、これからも是非、注目してください!
レポート:鈴木梨恵子
写真:河田朗奈
先生
原口清次 / セントラル製粉株式会社 工場長兼業務部長
1964年10月愛知県江南市生まれ、53歳。セントラル製粉株式会社 工場長 兼 業務部長。フードアナリスト。大学卒業後、大手製粉会社で小麦、小麦粉の製造、二次加工品に関する基礎を学んだ。1991年にセントラル製粉に入社し、品質管理、製造、設備管理担当。布袋食糧で 小麦粉営業、パン工場管理に従事。「愛知県きしめん普及委員会」の立ち上げや「きしめん・でら・パスタ」の事業に携わった。
竹本 清 / セントラル製粉株式会社 常務取締役
1958年半田市生まれ。大学卒業後、小牧市の食品会社で約10年間勤務。その後、地元半田市の尾張製粉株式会社へ入社し、製粉の知識を得るために平成2年2月にセントラル製粉株式会社へ勤務し、現在に至る。また、愛知県製粉協会並びに中部製粉工業協同組合の運営委員として活動している。
筋誡 一之 / セントラル製粉株式会社 生産部長
1959年生まれ、セントラル製粉生産部長。ジャンルにとらわれないの合理化と省力化が得意。製造工程から従事する人、操業時間に至るまで、あらゆる工夫と着想の元を高め、そのポテンシャルを最大限に引き出すことをモットーとしている。異彩な経歴を活かし、例が無い制御方式を生産工程に組入れ、万象の源流に迫る考察で安全なモノづくりを楽しんでいる。特徴:超ポジティブB型、幼児に負けない好奇心、速い乗り物が大好き、流暢な適当英会話、予約待ちお悩みカウンセリング、みんながやりたくないときにヤル気がでる。