授業詳細

CLASS


積直しから読み解く名古屋城石垣の歴史

開催日時:2024年01月14日(日) 10時00分 ~ 11時30分

教室:名古屋城本丸御殿 孔雀之間

レポートUP

先生: 二橋慶太郎 / 名古屋城調査研究センター 学芸員

カテゴリ:【城子屋/歴史・文化】

定 員 :35人

※本講座は、名古屋城主催の「城子屋」プログラムです。
※参加費:無料(別途名古屋城観覧料が必要)
※申込みは当ページ「この授業に申し込む」から。2024年1月12日(金)12時00分まで(先着順、満席になり次第締切)。

※講座当日の受付場所は名古屋城本丸御殿ミュージアムショップ前です。
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。
名古屋城とつくる学びの場「学びでつながる城とまち。城子屋」。
約400年前の名古屋城築城時、そして平成の本丸御殿復元でも用いられた木曽・裏木曽の木材、木が育つ森を守ってきた山守の存在、金鯱の由来、かつて城内にあった庭園の調査、城下町で流行した文化、江戸時代の経済、本丸御殿復元に貢献した伝統の技など、さまざまな切り口から名古屋城そのものや尾張藩について学ぶ講座を実施してきました。

講師を務めるのは、歴史、技芸、教育、文化などの研究者や伝統を受け継ぐ人たちや、名古屋城の調査研究に携わる現役学芸員。現在進行中の発掘調査に関する報告を発表する講座もあります。
本丸御殿・孔雀之間で、名古屋の「城」と「まち」について学びを深めていきましょう。


現在、名古屋城では石垣の積直しが行われています。名古屋城石垣は築城以来災害等により破損、崩落することが多々ありましたが、その都度修理・積直しが行われ、現在に姿を残しています。
今回の講座では、石垣調査および御深井丸発掘調査、天守台穴蔵石垣試掘調査、名古屋城三之丸遺跡天王坊試掘調査等の発掘調査を担当する名古屋城調査研究センター学芸員・二橋慶太郎さんの解説のもと、築城から現代に至る石垣の歴史について、最新の調査成果からたどっていきます。


【スケジュール】
9:30 受付開始
10:00 講座開始
11:30 終了

主催:名古屋城(名古屋市)
運営:大ナゴヤ大学

【城子屋】
かつて読み書き算盤を学ぶ「寺子屋」が地域に開かれていたように、名古屋城をまちに暮らす人たちの学びの場とするプログラムです。城やまちに関する知識を深められる、老若男女誰もが参加できる場をつくります。


【過去開催した講座】
・名古屋城と尾張徳川家の蔵書
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/654

・最新の発掘調査成果からみた二之丸庭園
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/666

・尾張藩とまつり
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/670

2024年1月16日、城子屋「積み直しから読み解く名古屋城石垣の歴史」を、本丸御殿孔雀之間で開催しました。講師は、名古屋城調査研究センター学芸員の二橋慶太郎さん。名古屋城の石垣がどのようにつくられたのか。これまでに、どこで、どんな積み直しが行われてきたのか。築城から400年の歴史の中にある、石垣のエピソードをご講義いただきました。



まずは、名古屋城の石垣に関する基礎知識から。各地の大名によって「公儀普請」で築かれた名古屋城。石垣も大名たちの集めた石によって積み上げられます。城内の石垣の長さは延約9.2km、高さ5〜13m。石垣の規模の大きさを改めて実感します。石材の産地は近辺のものから、遠方のものまでさまざま。ひとつのお城で、いろいろな石が見つかるのは名古屋城の特徴のひとつ。築城期の石垣には、各藩の刻んだ刻印も見られます。400年前に各藩の間で起きたトラブルや大名の配置における苦労などについてもふれられました。



大名たちが築いた石垣は、その後、雨風や地震によってたびたび崩れます。そうして行われた積み直しは、江戸時代だけでも15回以上。主な事例として「宝暦の大修理」の経緯や史料に残るエピソードが紹介されました。宝暦2年(1752年)に始まった天守台石垣の修理。藩内では修復方法に関する議論も起こり、最終的には巨大ろくろで天守を引っ張りながら石垣を積み直しました。その痕跡は今も石垣に残っています。
この他、本丸東門桝形や二之丸東鉄門桝形など、明確な記録には残っていないが、積み直したことが分かる場所もあるそうです。石材の積み方、石を割る矢穴の大きさ、石材の種類といった、石垣を観察して積み直されているか判断するポイントを教わりました。



後半は、近代の積み直しのお話に。明治24年(1891年)、濃尾地震の被害を受けて、石垣が積み直されました。その状況を確認するために発掘調査を実施。そこから明らかになったこと、発掘の手法などを知ることができました。
そして最後に、平成14年(2002年)から進行中の、本丸御殿東に位置する搦手馬出の石垣積み直し工事について。解体から今までに至るプロセスを聞き、現在の工事現場の写真も見せていただきます。この石垣は令和8年(2026年)完成予定です。参加したみなさんは、今後の成り行きも気になるのではないでしょうか。



カメラ・レポート:小林優太

※写真をクリックすると拡大します。


 

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先生

二橋慶太郎 / 名古屋城調査研究センター 学芸員

専門は歴史考古学(近現代)。 平成31年4月に名古屋市に入庁し、現職場に配属。 名古屋城内の石垣調査および御深井丸発掘調査、天守台穴蔵石垣試掘調査、名古屋城三之丸遺跡天王坊試掘調査等の発掘調査を担当。

今回の教室

名古屋城本丸御殿 孔雀之間

住所:〒460-0031 愛知県名古屋市中区本丸1−1
※教室は和室です
地図を見る

徳川家康の命によって建てられた、尾張徳川家の城・名古屋城。その一角をしめる本丸御殿は、尾張藩主の住居かつ藩の政庁として1615年(慶長20)に完成。1945年(昭和20)、空襲により残念ながら焼失し、永らく復元が待ち望まれてきました。幸いなことに、江戸時代の図面や記録、昭和戦前期に作成された実測図、古写真などが残されていたため、2009年(平成21)から復元工事を開始。第一級の史料をもとに、他では類を見ない正確さで忠実に復元を進めてきました。2018年(平成30)には、江戸幕府将軍家光の宿泊のために建造された最も格式が高い「上洛殿」や「湯殿書院」が完成し、その優美な姿を公開しています。