授業詳細
CLASS

名勝名古屋城二之丸庭園の「タタキ(三和土)」
開催日時:2024年11月24日(日) 10時00分 ~ 11時30分
教室:名古屋城本丸御殿 孔雀之間
レポートUP
先生:
高橋圭也 / 名古屋城調査研究センター 学芸員
カテゴリ:【城子屋/歴史・文化】
定 員 :35人
※申込みは当ページ「この授業に申し込む」から。
※本講座は、名古屋城主催の「城子屋」プログラムです。
※参加費:無料(別途名古屋城観覧料が必要)
※講座当日の受付場所は名古屋城本丸御殿ミュージアムショップ前です。
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。
歴史、芸能、文化、さらには最新の考古学調査など、さまざまな切り口から名古屋城や尾張藩を学ぶ、名古屋城主催の講座です。
講師を務めるのは第一線で活躍する研究者や伝統を受け継ぐ人たち。名古屋城の調査研究に携わる現役学芸員が、現在進行中の取り組みに関する報告を発表する講座もあります。
本丸御殿・孔雀之間で、名古屋の「城」と「まち」について学びを深めていきましょう。
今回の城子屋で取り上げるのは、名古屋城の各所のタタキ(三和土)。
タタキと聞くと住居の玄関や土間をイメージしますが、庭園の園路などにもタタキは用いられています。
先生を務めるのは、近世の庭園を専門に二之丸庭園の発掘調査と考古学的研究に従事する名古屋城調査研究センター学芸員の高橋圭也さん。
漆喰の施工方法や種類についてまとめ、特にタタキが多用されている二之丸でタタキの施工方法と施工年代を検討します。
【スケジュール】
9:30 受付開始
10:00 講座開始
11:30 終了
主催:名古屋城(名古屋市)
運営:大ナゴヤ大学
【城子屋】
かつて読み書き算盤を学ぶ「寺子屋」が地域に開かれていたように、名古屋城をまちに暮らす人たちの学びの場とするプログラムです。城やまちに関する知識を深められる、老若男女誰もが参加できる場をつくります。
【過去開催した講座】
・本丸御殿を飾る漆工芸―江戸の姿が蘇るまでの裏側を語る―
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/686
・尾張藩主の名古屋城視察 ―城内巡覧記録『御巡覧留』を読む―
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/689
・名古屋城天守から山々の方角を測る
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/707

そもそも「タタキ」とは。あまり馴染みのない言葉かもしれません。「タタキ」は、砂や土と石灰を混ぜ合わせて叩き締めたもののこと。その名の通り、硬く頑丈にするために槌などで叩いてつくられます。漆喰とは異なり、繊維材などのつなぎを含まず、壁に塗り込められるものではありません。タタキは火や水に強く、夏は涼しく冬は温かい建物ができるといいます。酒蔵や寺院などにも使われてきました。

名古屋城では、城内各所からタタキ遺構が出土しています。今回の講座では、34の遺構の一覧が配布されました。高橋さんは、これらのタタキを機能、装飾、用いられた空間によって分類しています。機能面からみると、「硬化面形成機能」「道路・園路機能」「耐水機能」に分けられ、異なる役割を果たしていたことが窺えるそうです。さらに、装飾の有無や、屋内外どこで見つかったかによって、それぞれのタタキの特徴がみえてきます。つくられた時期も、江戸時代から昭和までさまざまです。
とりわけ、二之丸庭園では数々の多様なタタキ遺構が出土しています。例えば、二之丸庭園の北池は、池底と池護岸がタタキで施行された上に、石や木を模した装飾としてのタタキも確認されています。あるいは、二之丸の北側には、タタキを積み重ねた塀も。タタキ遺構として数えられるものの内容は実に多彩です。

名古屋城の構造物や庭園がどのような素材、方法でつくられているのか。詳しく学ぶ機会は決して多くはないでしょう。参加者のみなさんは、タタキというものを知ったことで、場内を巡る際の視点と楽しみが増えたのではないかと思います。
カメラ・レポート/小林優太
先生
高橋圭也 / 名古屋城調査研究センター 学芸員
奈良大学卒業。 名古屋城調査研究センター学芸員として名勝名古屋城二之丸庭園の発掘調査と考古学的研究に従事する。 近年の専門は近世の庭園だが、もともとの専門は倭城、朝鮮時代の城郭。
今回の教室
名古屋城本丸御殿 孔雀之間

住所:〒460-0031 愛知県名古屋市中区本丸1−1
※教室は和室です
地図を見る
徳川家康の命によって建てられた、尾張徳川家の城・名古屋城。その一角をしめる本丸御殿は、尾張藩主の住居かつ藩の政庁として1615年(慶長20)に完成。1945年(昭和20)、空襲により残念ながら焼失し、永らく復元が待ち望まれてきました。幸いなことに、江戸時代の図面や記録、昭和戦前期に作成された実測図、古写真などが残されていたため、2009年(平成21)から復元工事を開始。第一級の史料をもとに、他では類を見ない正確さで忠実に復元を進めてきました。2018年(平成30)には、江戸幕府将軍家光の宿泊のために建造された最も格式が高い「上洛殿」や「湯殿書院」が完成し、その優美な姿を公開しています。