授業詳細
CLASS

障壁画に描かれた異国
開催日時:2026年01月11日(日) 10時00分 ~ 11時30分
教室:名古屋城本丸御殿 孔雀之間
レポートUP
先生:
渡野りつ佳 / 名古屋城調査研究センター 学芸員(美術工芸)
カテゴリ:【城子屋/歴史・文化】
定 員 :35人
※参加費:無料(別途名古屋城観覧料が必要)
※申し込み開始日時は2025年12月10日10時です。
※申込みは当ページ「この授業に申し込む」から。2026年1月7日(水)12時00分まで(先着順、満席になり次第締切)。
※講座当日の受付場所は名古屋城本丸御殿ミュージアムショップ横(天守閣側)です。
※会場は和室のため、座布団にご着席いただきます。机の用意はございません。
歴史、芸能、文化、さらには最新の考古学調査など、さまざまな切り口から名古屋城や尾張藩を学ぶ、名古屋城主催の講座です。
講師を務めるのは第一線で活躍する研究者や伝統を受け継ぐ人たち。名古屋城の調査研究に携わる現役学芸員が、現在進行中の取り組みに関する報告を発表する講座もあります。
本丸御殿・孔雀之間で、名古屋の「城」と「まち」について学びを深めていきましょう。
1月の城子屋は11・12日に連日開催!
「異国」や「外国人」と、海外に関連する内容を扱う講座を実施します。
11日の講座では、名古屋城本丸御殿の障壁画に描かれた異国を取り上げます。
先生を務めるのは、日本中世近世絵画史を専門とする名古屋城調査研究センター学芸員・渡野りつ佳さんです。
障壁画に、どんな異国が描かれているのか?主題や、図像の成立などの知識に触れ、鑑賞眼を養ってみませんか。
【スケジュール】
9:30 受付開始
10:00 講座開始
11:30 終了
主催:名古屋城(名古屋市)
運営:大ナゴヤ大学
【城子屋】
かつて読み書き算盤を学ぶ「寺子屋」が地域に開かれていたように、名古屋城をまちに暮らす人たちの学びの場とするプログラムです。城やまちに関する知識を深められる、老若男女誰もが参加できる場をつくります。
【過去開催した講座】
・名古屋城三の丸遺跡−調査成果から土地の移り変わりを考える−
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/743
・縁(へり)から知る名古屋城〜三の丸・「外堀」・御深井大堀(水堀)〜
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/738
・上空のまなざし、地上の記憶 〜名古屋城が燃えた日〜
https://dai-nagoya.univnet.jp/subjects/detail/739

なぜ障壁画の異国のモチーフに注目するのか。当時の権力者は、異国からの学びや交易によって得たものを力の象徴としていました。そのため、描かれたものに権力者たちの理想を見てとることができ、当時の文化や政治を探るヒントが得られます。さらに、日本にないものをどう描いたのかもひとつのポイントです。制作過程を明らかにすれば、当時の絵画制作の実態が見えてくるといいます。

冒頭、室町時代以降の狩野派の絵師たちが紹介されました。初代の狩野正信、流派の基盤を築いた狩野元信。彼らが狩野派への支持を広げ、本丸御殿の障壁画は創建時も増築時も狩野派の絵師が制作しました。現存する障壁画は1049面。江戸時代のものがこれだけ残っているのは貴重なことです。

では、なにがどのように描かれていたのか。具体的な作品の画像を投影し、同様のモチーフが描かれた作品とも比較して、詳しく説明いただきました。主題のひとつとなったのは、障壁画の中のめずらしい動物たち。例えば、慶長19年(1614年)制作の表書院三之間の「麝香猫図」には日本には生息しない麝香猫(ジャコウネコ)が描かれています。異国情緒を演出する麝香猫は、権力の象徴として機能しました。また、狩野派の麝香猫は、過去の中国絵画や同流派の先例に倣っていることが分かるそうです。
同時期に、吐綬鶏(トジュケイ)という、中国から舶来したキジ科の鳥も描かれています。元信も室町時代から吐綬鶏を描いており、狩野派のレパートリーのひとつだった吐綬鶏も異国を想起させる動物であり、本丸御殿では藩主の坐す部屋の障壁画に選ばれていました。
時代が進み、寛永期に入ると「江戸狩野の祖」とされる狩野探幽守信が登場。本丸御殿の障壁画で、すっきりとした端麗な画風を完成させたといいます。探幽が寛永11年(1634年)に描いた「琴棋書画図」が紹介され、その描かれ方には同流派の先例だけでなくさまざまな作品の図像が取り入れられているそうです。探幽の積極的な絵画学習の様相がうかがえます。
障壁画に描かれた動物や景色について細部まで解説をいただき、参加者のみなさんもこれからどこに注目するといいか、いくつものポイントを押さえられたと思います。ご自身の学生時代からの研究エピソードにもふれられた渡野さんのお話はとても興味深い内容でした。
カメラ・レポート/小林優太
先生
渡野りつ佳 / 名古屋城調査研究センター 学芸員(美術工芸)
2025年入庁。専門は日本中近世絵画史。名古屋城西の丸御蔵城宝館の展示「表書院の障壁画―めずらしい動物―」、「名古屋城本丸御殿の障壁画」を担当。
今回の教室
名古屋城本丸御殿 孔雀之間
住所:〒460-0031 愛知県名古屋市中区本丸1−1
※教室は和室です
地図を見る
徳川家康の命によって建てられた、尾張徳川家の城・名古屋城。その一角をしめる本丸御殿は、尾張藩主の住居かつ藩の政庁として1615年(慶長20)に完成。1945年(昭和20)、空襲により残念ながら焼失し、永らく復元が待ち望まれてきました。幸いなことに、江戸時代の図面や記録、昭和戦前期に作成された実測図、古写真などが残されていたため、2009年(平成21)から復元工事を開始。第一級の史料をもとに、他では類を見ない正確さで忠実に復元を進めてきました。2018年(平成30)には、江戸幕府将軍家光の宿泊のために建造された最も格式が高い「上洛殿」や「湯殿書院」が完成し、その優美な姿を公開しています。